この夜が明けるまであと百万の祈り

とあるマンガ好きの備忘録です。私が元気づけられた出来事や作品について少しでも共有できたら嬉しいです

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ダウンタウンの黒人モノマネ騒動の話について

文脈読め文脈読め言ってる人がいるが、批判されてる側がこの言葉使うのは、基本的にブーメランにしかならんからやめろください。

わたしは後述の理由でダウンタウンの番組は見ないのだが、こんだけ擁護してる人がいると言うことは番組単体で見ればそりゃ問題ないんだろうなとは思う。擁護してる人は一生懸命この番組の文脈を説明する。差別の意図はなかったのは明らかだと。


だけど、それは自分は視野が狭いですって堂々と宣伝してるだけだと思うよ。批判してる人だってみんなそんなことはわかってると思う。そうじゃなくて、向こうが気にしてるのは黒塗りにした顔を笑うという行為そのもの。文脈というならこちらの方がでかい。エディマーフィーがうんぬんだけが問題だと思ってる人は、この問題の土壌が見えてない。

奥さんが日頃の不満を貯めていきなりブチギレた時に、そんなに怒るようなことじゃないだろ?って返答してしまうタイプの致命的な行為だよ。




文脈で勝負しようとしたら普通に負けるの。

文脈で勝負したいなら戦略としてはこのくらいしかないでしょ。

・徹底的に個別事例に引きこもる(この場合は余計なことは一切言わない)

・その文脈で考えても問題ないと答える(相手の文脈を理解する)

・その文脈自体がアメリカのものであり日本では当てはまらないと答える(文脈の切り離し

・そんなこと言わせてしまってごめんな、と答える。


という感じで相手に合わせて考えるべきじゃないかなあ。ダウンタウン嫌いだから別になくなってくれて一向に構わないんだけど、それでも間違えた理屈で無くなるのはあまり好きじゃないので一応。


一番勘違いしてる人にいたっては、エディマーフィーが気にしてないと言ったらどうする?ってコメント。そういう問題だと認識してる限りはお話にならないんだよなあ。ここから説明する必要ある?



つまり、総合的にみたら、日本人が黒人をステレオタイプイメージで見ており、それが日本で住んでる黒人には不快なんだろうなというのは、否定しようのない事実だしらそこは理解はしないといけないって話ね。これ無視していくら番組単体を擁護しても意味ないよ。





その上であえていうと、今回の件、多民族国家アメリカと、未だにほとんどの人が黒人と接する機会がない日本で同じ基準を適用されるのはどうなのか、という気もする。実際に黒人と接する機会が少ないため、知らないのはどうしようもない。

そういう無知によって傷ついたという主張は当然大事にすべきだ。、しかし責められるところまで来ると、悪意がなかった人ほど反発は感じるだろう。

少なくともフローレンス代表の駒なんとかさんのように、この一件を持って人権後進国だと煽るようなコタツ記事を書いてる人はちょっと嫌いだなあ。この人多分この騒動が起きるまでミンストレルショーの歴史についても知らなかったよね。この人左側のネットギークだよね。色々煽り記事書く暇あったら自分の法人のゴタゴタに誠実に向き合えよって思う。





と書いてきたわけだけれど、、、

https://news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20180105-00080159/

この記事を読むと、無知なくせに日本人の政治家が露骨に差別発言をした経緯などがあって、こういうのが蓄積してきていたのなら、日本人も、無知だからとばかりは言い切れないかもしれない。
それにしても日本の政治家はなんでこう、差別的発言をしたがる人が多いんかな。。。





繰り返すけど、今回の件は、知らなかった。ごめんね。で許されるべき範疇だと思う。意図的な悪意ある行為や、意図的な差別行為とみなされるべきではない。
そして、それは抗議をしている人もわかっている。だからこそ、オリンピックの頃までに黒人に対する意識を向上させてほしいという形の訴えになっている。訴えてる人も、今回の件だけを取り上げわたしどうこうしようとはしてない。番組単体を吊るしあげようとしてるわけではない。日本全体について、黒人のことを概念としてとらえるのではなくて、ちゃんと人として見てほしい。こういうことには傷つくんだと意識してほしい。私たちは日本にも住んでるんだよということを考えてほしいって話だろう。


つまり、ダウンタウン日本テレビだけが怒られてると思って擁護してる人は、そもそも勘違いしてる。私たちみんなに訴えられてるわけだ。ダウンタウンの番組単体の問題と思ってる人はそもそも勘違いしてるので、それをどう受け止めるかは私たちなのだという意識で考えたいところだ。







ところでわたしは発達障害当事者な訳だけれど、無理解でいじられることなんかしょっちゅうあったし、社会的にもまだまだ偏見や誤解が多いと思う。

一つ一つのいじりや無知ゆえの言動について悪意がないのはわかってるけど、そういうのはじわじわきいてくる。自分はこの社会では受け入れられないんだな、と、思い知らされるわけだ。それでも普段は感情の折り合いをつけてやってるわけだけれど、テレビとかでそういうのを面白おかしくネタにしてるのを見たらやっぱり気分は良くないと思う。だからホゲタホゲオも批判されたんでしょう?


たとえ悪意がなくても、それどころかリスペクトを持ってやっていたとしても、それに嫌悪感や恐怖を感じる人っていると思う。それを訴える人がいても当然だくらいは受け入れてあげてもいいのではないか。それは、私たちはここにいるよ、私たちのことをもっとしてってください、という話なのだから。



わたしは普通のどつき漫才ですら不快で見れないからね。あれ普段から普通の人と会話や行動にズレがあって笑われることが多かったわたしには恐怖でしかない。実際に旧友には良くどつかれてた。ある時期にそういうのはやめてくれって訴えるまで向こうは全然悪気なかった。そういうのはやっぱり嫌だなあと思う。


こういうことを言うと嫌なら見るな、を言うカスが必ず湧いてくる。言われなくとも実践して吉本系のお笑いはほとんど見てない。だけど、不幸にも目にしてしまって不快な思いをしてしまった人が、自分は傷ついたと表明しているときは、それに周りの人が耳傾けるくらいはしてもいいんじゃないかなあとは思う。





ただし。

これは明言しておきますが、わたしは行き過ぎたポリコレは大嫌いだ。

多分被害当事者じゃない人たちだと思うのだけれど、なんか不快な表現があった時に、対話をすっ飛ばして批判を浴びせて、その存在そのものを根本から否定し、消し去ったり規制しようとする集団には嫌悪感しか覚えない。

せっかくそういう問題があったのだから、それって相互理解のチャンスじゃん。みんなに考えてもらうチャンスじゃん。なんでそこでいきなり相手殺しにいってんの。ゼロかイチでしか考えられないとかあほやろ。

今回の件でも、当事者の黒人作家さんは危機感を覚える、ちゃんと考えてほしいっていってる。文化間での摩擦なんて当然起こりうることだし、いちいちそれごとに相手を抹殺したり強制したり隔離しようとする考えって、一番差別に近いよね。実際ポリコレ訴えてる人ってすぐに自分たちの敵へのヘイトを垂れ流すでしょ。あれほんとひどい。差別に反対してる人たちが、本質的に一番差別に近い行動とってるのってもうギャグでやってるとしか思えない。

あれはポリこれ活動で一体感感じてる本人たち以外誰も幸せにならないと思うから今後も反対していく所存。ポリコレの人が極端すぎるせいで、常識的な訴えなどが伝わりにくくなってると思う。本当に迷惑だ。

「辺獄のシュヴェスタ」6巻(完)

作品評価★★(個人的評価★★★★★)

類似作品
ベルセルク    ★★★★★
風の谷のナウシカ ★★★★★
狂死郎2030     ★★★★★
グリザイアの楽園 ★★★
約束のネバーランド ★★★

作品を構造的に見ると「ベルセルクにおいて、グリフィスという存在をきちんと描ききること無くガッツが倒してしまった」みたいな展開であり、明らかに未完成作品だ。この人のデビュー作である「地の底の天上」を見ても、絶対に「ベルセルク」がやりたかったはずだと確信しているが、それは結局達成できずに終わってしまった感じがある。それはよくわかっているのだが、この作品のことがメッチャクチャ好きです。

この作品については3巻まで出た時に一度感想を書いたことがあった。その時点では2つ期待していた点があって、一つはサバイバル・復讐譚。もう一つが、エーデルガルドとエラという傑出した二人の人物の対決、という部分だった。しかし、実際にはこの作品ではそのどちらも描かれてはいるものの、本当のテーマはそのどちらでもなく、本当のテーマは、作品タイトルの通り「辺獄のシュヴェスタ(姉妹)」だった。

辺獄は、洗礼を受けずに死んだものの行き着く地。罪もないが赦しもない。これは地獄の辺り、辺獄じゃ。

神を信じる視点からみれば、神を信じないというのはイコール地獄のようなものなのだろうが、実際は修道院に染まることを拒否し、彼女たちが押し付けてくる「神」を信じることを拒否し、「姉妹」を信じて戦い続けた少女たちは、苦しい戦いの中でも笑顔だった。
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あまりにも残酷な世界において、彼女たちの友情は奇跡なようなものであり、とても美しく、(彼女たちにとっては酷な話では有るけれど)この友情が紡がれる姿をもっと長く見続けていたかった。それだけ魅力的な作品でした。

辺獄のシュヴェスタ(6) (ビッグコミックス)[Kindle版]

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(1)脱獄劇 / 復讐譚としての本作品 =「ベルセルク」「狂死郎2030」

復讐譚は最初の物語の駆動要素であり、3巻までひたすら脱獄と復讐譚をあわせたパワフルな展開でシンプルな面白さだった。しかしこの方向性は途中で挫折する。

彼女は母親の復讐のためにエーデルガルドを頃すと決意したわけだが、復讐のためなら手段を選ばない、という生き方を選ぶには、彼女の母親が善良すぎた。彼女の母親の教えがそれを許さなかった。そのために、彼女はただでさえ大変な復讐の際に、彼女が倒していく存在そのすべてを背負うハメになる。終盤に否定されている。彼女が復讐のためになしてきたことの後始末についても、結局エラというキャラが強すぎてイマイチ「罪と罰」という展開にはならない。

もしも神がそこにいるなら、ひとつだけ聞いて欲しい。
これから行う殺害に、もしも1片でも正しい意味が、善い結果があるのなら、
それは私が殺した人々の栄光としてください。
そして、その残りはすべて、私の所業。
復讐とは受けた傷を返すこと。ならばこれは復讐ではない。
受け取れエーデルガルト。お前に与えるのは、私の意思で行使する、私自身の暴力だ

3巻までのエラ無双に対し、4巻から先のエラが抱えてしまった葛藤は重たすぎて、ここで作品が失速した感じはある。しかし、エラがこういうキャラだったからこそ私はこの作品が大好きである。


(2)エラとエーデルガルドの思想的対立としての本作品 =「風の谷のナウシカ

また、エラとエーデエルガルドの思想的対立という側面。これについて、結局二人は同じ土俵で対決するというところまで進むことは結局なかった。読者はある程度エーデルガルドのことを知ることができるが、二人の間にはラストでの会話以外にやり取りがなく、お互いにお互いを知ること無く終わってしまった。 作品中でどちらかがどちらかを明確に否定するという形にはならなかった。 思想的にはお互いは平行線のままである。これはとても残念である。

「お前は、私の母さんを、無実の母さんを殺した。」
「よいでしょう。ここまできたあなたの意気に免じて、そのそしりは受けましょう。ではきくが、エラ。私を殺せば、私が救うはずの未来、何億何兆の人々の幸福な生を、貴方一人のために奪うことになる。あなはたそれを大罪だとは思わないのか?」
「もし本当に、あんたが永遠の、幸福な未来を作り出せるとして、
 そんなものをありがたく受け取るほど、人間がいつまでも恥知らずだと思うなよ……」

悔い改めるな。お前のような人間は、ただ、思い知れ

このあたりをガチでやろうとすると、本当に「風の谷のナウシカ」をやることになると思うのだけれど、それだと、エラは仲間を犠牲にして一人脱出し、そこから力をつけて……という冗長な展開にせざるを得なかっただろう。本作品ではあえてそれをやらずに、お互いがお互いの道を突き進もうとした結果両者は相手の考えなど知ること無くぶつかり、結果として片方がわがまま(目的)を通す、という展開になっている。これはこれで納得行く形ではあるが、「ダイジェスト」で飛ばされた1年半の間に、あれだけ「考えることをやめるな」といい続けていたエラがエーデルガルドのことを何も知ろうとすることなく、というのは強い違和感があり、どうしてもこの部分には不満は残る。


(3)仲間が力を合わせて困難と立ち向かう話としての本作品 =グリザイアの楽園

結局のところ、最後に残ったものは「エラ」という少女及び、彼女と関わった人たちの生き様という部分になる。この作品は、舞台こそ狭いものの、「ジョジョの奇妙な冒険第三部」のような読後感を味わわせてくれる。

「花京院! イギー! アヴドゥル! 終わったよ……」

エラの目的は最初はただ一人、ただ母の仇を頃すことだけの話だった。しかし、長い修道院生活の中で彼女はいろんなものを背負って戦うことになった。彼女一人なら(1)や(2)の物語に展開することができたかもしれない。しかし彼女はいろんな人間を背負おうとして、その重みによってあまり高く飛べなくなった。終盤にいけばいくほど割りと普通の人間になってしまっている。それでいて、普通の人間では耐えられない行為を続けていたのだから、はっきり言って限界だっただろう。

その代わりに、最初は彼女に遠く及ばなかった少女たちが、彼女に追いつき、独自のやり方でエラを助けようとする。彼女たちがエラを助け、成し遂げるという展開であれば、これはこれで美しい物語になっていただろう。しかし、最後の最後でエラは一人でエーデルガルドと対峙することになる。その点でも物語の構造的には美しくない。

お話として美しくはないが、だからこそこの作品に登場するキャラたちがとても好きになれる

しかし、私はこんな風にエラが葛藤して迷走し、それでも最後に一人で目的を成し遂げ、その後を周りの人間が助ける、という展開は美しくないからこそ人間味があってとても好きです。

極限状況において信じるもの、頼るべきもの、それは何かという問に対して、少なくともエラやその周りの人間は、この作品においては、明確に「神に祈る」のではなく「苦節をともにした姉妹(仲間)」だという答えを得ている。

修道院からの「脱獄」や「総長を倒す」という目的そのものよりも、この時代に神に頼らない、という決断を下すことはとても困難であったと思われるけれど、それを成し遂げるくらい強く結ばれた「友情」が描かれているこの作品は、読んでいて本当に胸が熱くなる。



余談ですが、この作品の最初に出てくる「ローマ劫略」はかなりイベント的に重要で、このあたりを知っておくとこの作品がより楽しめると思います。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ローマ劫掠

「彼方のアストラ」感想  4巻からの怒涛の伏線回収が素晴らしかった

今年もマンガは読んでいきますが、基本的には「作品紹介」はせず純粋に感想だけ書いていくことにします。 想定読者は「すでにこの作品を読んだ人」または「途中までは読んだ人」です。

みんなのお陰で僕は自分になれた。僕はオリジナルとして生きたい。みんなと一緒に帰りたい

評価★★★★(個人的評価★★★★)

全話読みました。微ネタバレ的な発言をすると「銀河鉄道999」や「11人いる!」かと思っていたら、それらのオマージュも多分に含まれていましたが、それ以上に「進撃の巨人」と「EVE BURST ERROR」を足したような話でした。まじでこの作品でEVE BURST ERRORを思い出した人は私と友だちになってください!

おそらく6巻で完結するかと思いますが、短い作品ながら、内容は「宇宙旅行でのサバイバル」「旅の中でのメンバーの成長」「アイデンティティの話」「犯人探しというミステリー要素」「大掛かりなSF要素を含む世界の謎」「平和とは何かという命題」など実にてんこ盛りで素晴らしかった。

彼方のアストラ 4 (ジャンプコミックス)

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まず、とにかく主人公がいいよね。 宇宙船メンバーはみんなとある事情から一人をのぞき、みんな親からの愛情を受けずに育っていた。主人公のカナタも、愛されてはいなかった。

それでもカナタは、親ではなく教師の存在によって「周りの人間を助けたい」と願うようになり、そのために自分を鍛え続け、他人のために自分の身をためらわずに投げ出す度胸も見せる。そんなカナタの姿がメンバーの心をちょっとずつ前向きにしていく。 もしドラがマネジメントについて「リーダーの資質とは何か、それは真摯さである」というテーマを抜き出して大ヒットしたけれど、あの作品はそこまでやっておきながら肝心の「真摯さ」を描ききれなかったのに対し、この作品はその何よりも大切な「リーダーの資質」とは何かをよく体現している。

たまたま年末に「LIVE A LIVE SF編」の実況プレイ動画を見ていたのですが、同じ宇宙船のなかでのいざこざを描いた物語でも、LIVE A LIVEの方はとある存在のしかけによってメンバーが相互不信に陥るのに対し、こちらは何度も全滅や仲違いの危機に脅かされながら、主人公の求心力によってその困難や危機を乗り越え、結束を強めていくのが良い。


こういう人間の成長物語としても素晴らしいですが、SF作品とミステリー要素を組み合わせたシナリオがとても素晴らしく、改めて「歴史」を学ぶことの重要性を感じさせられます。

そういう風に育ったからそうなった。でももう、それじゃダメなんだと思います。自分の目で世界を見て、考えて、疑って、本当の自分になるって、きっとそういうことなんだと思います。


また、上で述べたようにこの作品には短い分量の中に多くの要素が詰め込まれてる。そういう要素がてんこ盛りな作品はほかにも有るけど、この作品はとにかく構成が丁寧で、話が綺麗に整理されている。そのためたくさんの要素があるのにごちゃごちゃしておらず読みやすい。これ本当に凄い。伏線もきっちりはられていて、1周めで真相が明かされる前に推理することも可能になっている。真相がわかったあとで意味が反転するシーンもあり、かならず一度読んだ後もう一度読み返したくなります。そういう意味でとても良い作品。


テーマとしても読むことになって前向きになれるし、物語としての面白さもしっかりしてるしで本当に言うことないです。


おまけ サバイバルの心得シリーズまとめ

だいたいは心得の部分はネタになっていて、実は心得でない部分で凄いいいこと言ってます。

その1 前に進めば前進する
「うまくいくかは五分五分だろう。でも進まなきゃ死ぬだけだ。道があるなら進もう」

その2 起き上がれば立てる

その3 慌て者ほどうろたえる

その4 みんなそれぞれいろんな力をがっちり合わせれば大抵のことはどうにかなる

その5 あきらめたらそこで試合終了

その6 できないのはいい やらないのはダメ
特技で役に立つ必要はねぇ。その分、みんなを手伝えばいいんだ。

その7 食べれば元気になる
一旦戻って、メシをくおう。それからだ。

その8 怒ると腹が減る

その9 問題が重なっても一つ一つ冷静に解決していけばすべて解決する

その10 立ち止まったら進まない

とにかく彼方は決断力がすごい。必ずしも正しくはないけど決めたら迷わない。特に第二惑星での決断は、誰も見てなかったけどこれ同じことやれって言われてできるヤツいないよね。


<その他の名言(5巻以降は単行本が出たら追記)>
・絶望した時は、強がれ
・ばらばらになっちゃ絶対ダメだ。暗闇なら手をつなぐしかねぇ
・なんとかなるもんだ。あきらめなければ、なんとかなる。
・わかんねえこといくら考えたって、わかんねえんだ。
・わからねえことは考えるな。一番危険なのは、お互いが疑い合って団結が崩れることだ。統率が取れなくなったら、それこそ自滅だぜ。今後一切犯人探しは禁止とする。
・俺は絶対弱音は吐かねえことにする。みんなもなるべく楽しんでこうぜ。
・お前が母ちゃんにどう育てられてたのか知らねえけど、俺達はもう子供じゃない。 夢があるなら親に逆らったっていいんだ。自分を出すことは、恥ずかしいことじゃない。友達に自分をわかってもらうのは嬉しいことだ。
・なめんなよ。俺は二度とあんな思いをしねえために、お前が銃の練習をしてる間も、ずっと筋トレしてきたんだ!
・だってお前しか撃てねえじゃん。お前が担当だ。頼むぜ。
・覚悟なんて、一生できねえかもしれねえ。だましだましやってくさ。
・俺達が家族だ!俺はいない、それがどうした! ◯◯◯、それがどうした!俺達は、同じ運命の下に生まれて、一緒に苦難を乗り越えてきた家族じゃねえか!みんなで帰ろう、そして驚かせてやるんだ。絶対に全員で帰り着こう、そして自分になるんだ
・真実はどうあれ、俺はおれの意思でそれを臨んだ。自分で選択したんだ。だから、いいんだ。別に。(これ「ネギま!」のネギくんと同じだね)

年初目標2018

去年は10たてた目標の内、達成できたのは3つだけでした。

・フルマラソン完走  
  →完走達成。目標タイム4時間30分を切ることはできなかったのでリベンジしたい。

・リスク資産◯万以上 
  →2020年までの目標値を一気に達成

・残業時間を年間200時間削減。 
  →残業時間は210時間減少。しかし減ったぶんをスマホゲーに投入してしまったのが反省点


2018年は最低限達成したい目標は4つだけに絞ります。

 ・TOEIC860以上
 ・体重を68kgまで減らす。
 ・リスク資産20%以上のパフォーマンス
 ・下記のシリーズを読破する 
  「ローマ人の物語」など塩野七生作品シリーズと「小説フランス革命
  

わたしもそろそろ完全におっさんになってきたので、ネットの他人に時間をかけるより、自分や自分の周りの人に重点をうつしていきます。
日本は2019年4月以降はノーチャンス。それまでに他人のことを気にせずとも最低限生き延びられる状況になっておきたいです。

 スピンオフ「明智警部の事件簿」「高遠少年の事件簿」

明智さんが警部のころのエピソード。
この当時は「相棒」のようなパートナーがいた(露骨に意識してるよね)が
警視になる際にそのパートナーとは離別することになり、
それから誰も信じずソロで活動するようになった経緯が描かれています。


金田一少年本編と違って、復讐とかより衝動的なものが多いです。
本格トリックものではなくとにかく明智さんとパートナーが協力して問題を解決するのを描くことを主にしています。
というかもうほんとにドラマ「相棒」がやりたかったんだなあという感じの作品なのでそれが好きな人は単体でも楽しめるんじゃないかな。

エピソード名 犯人 動機
少年の仕返し 少年グループ 愉快犯
正義の姿 三浦義明(32) 過去の殺人の隠蔽
あこがれの警官 女子大生A 狂言
引き裂かれた絆 水島愛 クズ親の抹殺
歪められた想い 渡辺俊輝(23) 覚せい剤使用の目撃者を口封じ
奇妙な観察者 (被害なし) ただの覗き
哀哭の放浪者 御園さん 濱に振られたことに寄る自殺
五里霧中の密告者 佐々木美香 脅迫犯の口封じ
正義の御名下に 藤原玄道 不正行為への粛清

正義を行うことは容易いことではありません。
覚悟と勇気。
場合によっては、知恵や機転も必要です。
それを持ち得なかったことを責めるのは簡単です。

ですが、本当はね。
そのことを責められるのは、自分自身だけなんです。
その気持があるのなら、自分を許さないでください。
二度と同じ過ちを繰り返さないと、自分の魂に誓ってください。
私が望むのは、あなた達が自らの正義を貫く強さを持つこと。
それだけです。

あの時、私は頼った。
彼らに頼ってしまった。
彼らを守りきる算段もなかったのに。
人に頼れば累が及ぶ。わかっていたのに。
私は弱かった。
これは、私の罪だ。
もう頼らない、二度と。誰にも。

まぁ最近は金田一くんにたいして
ツンデレを通り越してデレデレなわけだが……。

高校の時から人を寄せ付けない孤高のキャラだったのに
そこからいったん人に心を開きかけて、
そこからまた心を閉ざして、そしてまた……
ということで、結構めんどくさいのだね明智さん。

高遠少年の事件簿 ★

高遠少年の初めての殺人体験を描いた作品。

ちょっと手品で賞取ったからっていい気になりやがって。
高遠に気があんのみえみえでさ!
ああいう薄汚いメスどもは断罪されるべきなんだ!

高遠!お前も俺と同類の天才だってはっきりわかんだね!(ほぼそのまま)

淫夢厨みたいな台詞はくのやめろよ!

「金田一少年の事件簿」全話まとめて振り返り シーズン5(EP43~EP47)

とりあえず最新話まで追いついたぞおりゃー。
来年1月23日から新連載開始するから、なんとかちゃんと追いついた状態で読み始められる。

というわけでとりあえず全エピソードをチェックしたので、
新年開けたら、自分の中での上位10エピソードランキングくらい作ってみたいです。

エピソード名 犯人 動機 生死 高遠の関与
なぜ暖炉は燃えていたか 花都千冬(38) 遺産相続狙い 生存
EP43 人形島殺人事件 星坂花梨(27) 姉家族の復讐 生存
ソムリエ明智健悟の事件簿 羊山城(70) ワインの復讐 生存
EP44 黒霊ホテル殺人事件 志月豹馬(53) 息子の復讐 生存
EP45 白蛇蔵殺人事件 鷺森 弦(28) 蔵を守るため 生存
EP46 聖恋島殺人事件 伊豆丸険(50) 娘の復讐 生存
EP47 金田一ニ三の誘拐 永倉新八 恋人の復讐 生存

なぜ暖炉は燃えていたか

テーマは「遺産相続がいかに人を狂わせるか」
殺人者にも同情する余地は有るのだけれど被害者の子が良い人過ぎて、もうただただ悲しい。
短編ものは、ただ一人だけを頃すという目的に特化しているためか、トリックも良質なものが多い気がするよね。


EP43 人形島殺人事件★★★

テーマは「加害者家族」という存在について。あと「マスコミの報道姿勢について」

吸血桜と同じように「呪い」のようなものが実在するかのような演出は結構好き。この事件、事件前の積み重ねが結構複雑というか悲劇が連鎖している。

①12年前に弓月清吾という人間が交通事故を起こし、幼い女の子(まゆみ)を殺してしまう。②弓月はその賠償金支払いのために生活を失い、自暴自棄になってさらに借金のため強盗殺人を起こす。(被害者は田中の母親)
③弓月は獄中にて自殺。
④さらにその後、この事件の被害者が、事件をネタにした小説を書き、それが元でマスコミが加害者家族を追い込み、家族は一家心中する。家族が心中すると、マスコミは手のひらを返して今度は小説を書いた人間をバッシングする。小説家は断筆し行方をくらませる。

という展開になっている。

その結果、関係者全体に不幸が蔓延している状態になっていた。殺害動機は理不尽ではあるけれど、やむなしと思えるところもある。日本にも懺悔システムが必要かもしれない。罪悪感を抱いた人間がそれと向き合う方法がないよね……。

トリックもかなり面白く、被害者がやろうとしたトリックに犯人が便乗する形になっており、追跡は結構困難だよねこれ。


ソムリエ明智健悟の事件簿

ワイン好きの人たちのいけすかなさを皮肉めいた感じで表現しているエピソード(笑)

確かに殺されたやつは嫌われてしかるべきではあるけれど、それを見下し、あげく殺されても仕方ないとして受け入れてるワイン仲間の連中、ギャグテイストではあるけどホントに怖い。

しかも殺し方がかなりスレスレで、まぁほんとにワインネタヤリたかっただけなんだろうw


EP44 黒霊ホテル殺人事件 ★

テーマは「映画監督マンセー
速水玲香登場回。短編だけど1つ目のトリックの難易度は相当高い。しかし2つとも、容疑を逃れるにはちょっと弱いと思う。トリック披露もそうだけど、やはりそこが焦点ではないのだろうなぁ

EP45 白蛇蔵殺人事件 ★★★★

テーマは「後継者争い」

この作品は「人狼」において「狼(殺人者)」意外に「妖狐」も存在するような形で、第三勢力が存在するのが非常に良く出来ている。狼(殺人者)は、村人(ターゲット)を頃すだけでは不十分。妖狐もまた村人(狼のターゲット)を消そうとしてたし、狼も必要があれば頃すつもりだった。この複数勢力が絡み合ってるシナリオはいままで無く、もっとこのあたりが積極的に絡んでくるようになったらさらに面白いストーリーができそうで期待してる。

以前のエピソードである「刀鍛冶」の家で起きた殺人事件でも同じようなことがあったけれどこちらのエピソードのほうがよりグレードアップしている。

あーそれにしてもこのエピソードに出てくる姫小路蒼葉ちゃん可愛すぎるんじゃー。もっと出て欲しい。

EP46 聖恋島殺人事件 ★★★

テーマは「人の命を軽く扱うやつは氏ね」

このエピソードは、人の命が軽く扱われ、記録にも残らず散っていた若者を弔い続ける一人のおばあさんと、人の命を軽く扱い、死に至らしめたにもかかわらず罪の意識を持たない非道な医師を殺害する犯人を対比させている。テーマ性が非常に強く、作者自身の意思も感じる。

今まで取材してきた医者の中には本当に素晴らしい人もたくさんいたよ。患者のために身を削って頑張ってる人とか。でも、あの連中は違ってた。おそらく似たようなことを繰り返してどこかで恨みを買ったんだ、あの連中は。そして、それを自覚もしていなかった。殺人の動機としては十分すぎるくらいだ

この事件の犯人はかなりまともで、ちゃんと最初は証拠を集めて告発するつもりだった。しかし、犯人に全く罪の意識がなく、むしろ自分の家族の無残な死に様を笑い話しとして語ったことにより殺害を決意させる。まぁこんなわかりやすい悪人はそうそういないと思うけどね。

この事件の犯人はそういう意味で、思慮深く、しかも忍耐強く殺人計画を立ててそれを実行している。しかしやはり、3つめの事件でボロを出しているのがもったいない。



EP47 金田一ニ三の誘拐 ★★★

テーマは「パワハラ上司は氏ね」

この事件の動機は恋人の復讐だけど、マジでこれは殺されても文句言えないと思う。
この被害者が殺人で排除されるまで延々とパワハラを続けていたのかと思うと胸糞ですわ。

今後仮想通貨について語るなら、最低限理解しておきたいこと

こちらの記事が話題になっています。
Ten years in, nobody has come up with a use for blockchain

これについて、上杉秀作さん(chibicode)がゆるく翻訳してくれていたのでみなさんも是非読んでみてください。
今後この記事で書かれているレベルの内容すら踏まえずに発言している記事があったら、その人は信用すべきではないでしょう。

「仮想通貨には大量の資金と労力が投下されたが、まともな使い道は通貨投機と違法取引だけだ」


(1)ブロックチェーン技術がもたらすと言われているものは、そもそも必要とされているのか?

ブロックチェーン技術を使えば、支払い、契約書、第三者預託、投票システムなどが、非中央集権的で暗号化された匿名台帳で管理できるといわれている。 しかし、本当にそんな台帳は必要とされているのか? まだ利用が進んでいない理由は、分散匿名台帳を必要とする人が、そもそも殆どいないからでは?

(2)安価で中抜されない価値の交換としての需要について

元々のブロックチェーンの存在理由はビットコインなどの仮想通貨を支えるため。「仮想通貨があれば、VisaやMasterCardという巨人に中抜きされず、一瞬で価値を交換することができるようになる。金融システムの次は政府だ。国という括りに縛られず、個人が価値を交換できる時代が来る」と言われている。だがそれは夢のまま終わってしまうかもしれない。

まず、安価で中抜きされない価値の交換方法がほしければ、すでに「現金」が幅広く使われている。 そして、仮想通貨は通貨だが、VisaやMastercardは通貨の上のレイヤーで「不正請求への対処」「買い手・売り手の本人確認」などの価値を提供している。

人は何かを買うとき、買ったのが不良品だったら返金されるという安心感を決済方法に求める。 そして人は何かを売るとき、顧客が使いたいと思う決済方法を使う。 この事実があるから、現状ではポイント、カードローン、マイルなどが広まっている。 殆どの人は、ビットコインで支払おうとは思わない。

(3)決済方法としてのビットコインについて

また決済方法としては、ビットコインは非効率的だ。Visaは毎秒6万件の決済を捌けるが、ビットコインは毎秒7回が限界。技術は向上しつつあるが、現状はVisaの0.01%のレベル。 ちなみに、ビットコイン決済の使用電力はVisaの35倍と推定され、全世界の電力をかき集めてやっとVisaと同じ決済量を捌ける。

政府抜きに取り引きができる点について どの国でも、個人情報の一部を政府の手に渡さないのは望ましいことだ。 キューバベネズエラではドルで取り引きが行われていて、いずれビットコインに代わるかもしれない。

しかし、これが広まらない理由は、政府が社会や個人にとって都合良い存在だからだ。米国政府が規制する金融機関は、預金の保証、ACH(小口決済)の返金、本人確認、監査制度、問題が起きたときの捜査制度が整っている。 匿名で分散型であるビットコインはこの制度が作れない。 メールのパスワードが盗まれ、結果ビットコインも全て失った人は、一切保証がないと聞いて呆然としていた。
2014年に最大手のビットコイン取引所だったMt. Goxは、4億ドルの投資額がセキュリティミスで消えた。その後最大手となったBitfinexも、顧客の資産を失い閉鎖された。 銀行が預金を「守る存在」よりも「失う存在」と思われる世界を想像してほしい。さながら中世のようだが、それがビットコインなのだ。
ちなみに、私が代表を務めているTrue Link社は、高齢者の金融詐欺対策のサービスを提供している。 高齢者は、クレカの番号を電話で伝えたり、怪しいギャンブルに手を出したり、怪しい団体に寄付したり、怪しい金融商品を買ったり、パスワードを盗むソフトをインストールしてしまいやすい人たちだ。つまり、最も現存の金融システムのセキュリティと保証に依存している高齢者たちは、匿名仮想通貨の「秘密鍵認証」「元に戻せない決済」といった特徴の最大の被害者なのだ。 もし起業家に「現存の金融システムの最大の被害者は誰か?」という問題意識があれば、匿名仮想通貨という答えは出ないだろう。

(4)政府に取引情報が公開されないことについて

また、政府の役目のひとつは、犯罪組織の資金源を断ち、クレカの番号や児童ポルノなど、違法な品の流通を止めることにある。 大多数の人は、モノ等の取り引きは個人情報を非公開でできるのが望ましいと考える。 だが同時に、捜査令状が発行されたら、取り引きの個人情報等は公開されるべきと考える。

君が金を払った人全員を政府は把握すべきか?→皆Noと言う 児童ポルノで捕まった奴のポルノの購入先全員を政府は把握すべきか?→皆Yesと言う。 ビットコインのお陰で違法商品の流通が100倍増えた世界は誰も望んでいない。 仮に現金が存在してなくて、いま現金を発明したら、違法になっていただろう。

(5)小額決済(投げ銭など)の手法としてのブロックチェーンについて

次は、少額決済と銀行間の送金の話。ブロックチェーンを用いた仮想通貨に最も期待されていることである。 まず少額決済について。 ビットコインの送金は瞬時に無料でできると考えられているが、それは誤解だ。 ビットコインの設計上、送金には約8分かかり、手数料も約4セントかかる。

曲を聴くたびに2セント、記事を読むたびに4セントを払う等の少額決済が、ビットコインで可能になるかもしれない。 だが決済に8分かかるので、記事を読むのに8分待つ必要がある。 これを「担保となる資金源を指定すれば送金は遅れてもよい」と解決しようとすると、ビットコインのメリットがなくなる。もしあなたが曲に2セント、記事に4セントを喜んで払うのであれば、次に一度、聴いた曲と読んだ記事の分が口座から引き落とされるサービスがあれば良い。 実際、人々は少額決済よりも、継続課金サービスのほうが使いやすいと思うのだ。

(6)銀行間決済としてのブロックチェーンについて

銀行間の決済については、仮想通貨のRippleが有望視されている。 直近1ヶ月で、Rippleで20億ドル分の銀行間・個人間の取引が行われた。 これは、既存のSWIFT(銀行間の取引ネットワーク)のたった40秒分である。Rippleが使われだして3年経ったが、爪楊枝がアメリカのGDPに占める規模ほど小さい割合だ。

なぜ金融機関はRippleを採用したがらないのか? 実際のところ、既存の銀行間決済システムに比べ、Rippleの銀行間決済システムを導入して得られるメリットはさほど大きくないからだ。 だがデメリットは大きい。セキュリティでミスを犯した場合、一瞬で遥かに大きな損失を被ってしまう。

先程述べた、ビットコイン取引所でセキュリティ問題が頻発するのと同じ話だ。既存の金融システムが個人を不慮の事態から守ってくれるように、既存の銀行間送金システムも銀行を守る。 銀行は、それぞれ既に保有してる台帳を分散させる必要も、匿名化させる必要も、取引を元に戻せなくする必要もない

(7)スマートコントラクトの手法としてのブロックチェーンについて

次はスマートコントラクトについて。 スマートコントラクトとは、契約書ではなく、ソフトウェアに書き込まれた契約が、結ばれて履行されるというものです。 ブロックチェーンにその契約を書き込むことができるので、電子商取引の実行を互いの合意のもと自動化できるというものです。

理論上では、ソフトウェアとして書かれた契約は解釈するコストが低いはずです。そしてコードが白黒はっきりさせてくれるので、金のかかる訴訟合戦を防げるはず。だが実際はそう簡単にいかない。

最も大きな失敗例は、the DAOという投資ファンドの事例だ。ファンドのメンバーはそれぞれの秘密鍵を使って何に投資するか投票した。弁護士もおらず、運用手数料もなく、不透明な役員会もない。スマートコントラクトを用いて無駄がないファンドの運営を目指していた。しかし、ソフトウェアのバグのせいで、the DAOは全資金の1/3の$5千万ドルをとあるプログラマーが仕掛けた罠に投資し、金は盗まれた。 ハッキングだと主張した者もいたが、騙された方が悪いと言った者もいた。ソフトウェアに契約を任せる以上、ソフトウェアを理解しない者は参加すべきではなかったと。

最終的に、全員が手動で合意し、ソフトウェア内の契約内容を書き換え、金は持ち主に戻った。 ブロックチェーンを推進する立場の人々も、契約に用いるソフトウェアを完全自動運転させず、手動で契約の意図を確かめざるをえなかった。 本当に「スマート」なコントラクトが求められているのだろうか。

(8)定型的な銀行間送金のセキュリティ保全について(フィンテックとしての期待)

The DAOは極端な例かもしれない。大企業で毎日履行されている契約ではどうか? ブロックチェーンの投資家や起業家は、スマートコントラクトを使えば、契約が一瞬で履行され支払いも行われると主張する。 例えば保険金の請求をしたら、保険会社からの支払いが来るまで何ヶ月も待たなくてよいなどだ。
しかし、それは従来のソフトウェアを用いた課金システムで可能だ。弊社が利用しているAmazonのサーバーは、使用料に応じた代金の請求がすぐにくる。 契約内容自体がソフトウェアである(スマートコントラクト)必要はない。契約内容がソフトウェアによって実行される(Amazonの課金システム)ので十分だ。

Amazonの契約はスマートコントラクトではないが、契約を実行する課金システムは自動化されていて、ユーザー的にはそれで十分だ。 先の保険の話も、契約をスマートコントラクトにすれば支払いが早くなるという話ではない。支払いが遅いのは、保険会社のオペレーションが他の何らかの理由で遅いからだ。

結局、ブロックチェーン推進者も一般人も、みんな人間が分かる言語で契約内容を吟味したいのだ。ソフトウェアは、ただ契約内容を実行するだけでいい。 そしてその仕組みは、既にそこらじゅうで使われているのだ。

(9)分散型ストレージとしてのブロックチェーンについて

次に、分散型のストレージ、コンピューティング、メッセージ交換について。 ブロックチェーンは分散型のストレージとして役立つというのも思い込みだ。 一見、良さそうに見える。ファイルをブロックに分け、暗号化して分散された台帳に記録すれば、安全にバックアップされ、変更履歴も追えるのでは?
しかし、ファイルを分割し、暗号化し、分散されたストレージに保存する方法は、ブロックチェーンよりもっと効率的な方法がたくさんある。 すでに分散型のドロップボックスのようなサービスもある。ファイルを分割して複数のユーザーのディスクに保存し、そのユーザーたちにはスペース代が支払われる。

ブロックチェーンを用いた分散型ファイルシステムには更に4つの問題がある。

①第一に、秘密鍵が流出するというセキュリティリスクがある。また2段階認証、ハッキング検知、ストレージ上限の設定、ファイアーウォール、利用IPの追跡、緊急事態にシステムを止める、などのセキュリティ対策もできない

②次に、ブロックチェーンは安価ではない。 ドロップボックスに月に10ドル払えば1TBのデータを保存できるが、そのたった1/6のデータをビットコインブロックチェーンに書き込むのに、10億ドルほどの電気代がかかる計算だ

③第三に、ブロックチェーンのデータ複製の仕組みはそこまで賢くない。 最後に、先のVisaの話と同じで、Dropbox/Box.com/Google/Microsoft/Apple/Amazon/その他が、既に満足いくストレージと、さらに重要な「付加価値」を提供している。アクセス許可、シェアの取り消し、ドキュメントの変更履歴などだ

ブロックチェーンを用いた分散型コンピューティングや匿名メッセージアプリでも同じことが言える。 ブロックチェーンの性質、すなわち永遠にデータが残り、全ノードにデータが複製されるのは、実際ユーザーが必要なシステムを構築するには余計な手間でしかない。今主流の分散技術の方が効率的なのだ

(10)ICOについて

次に株式の発行について。 NASDAQ証券取引所が内部向けに、非公開株式をブロックチェーンで取引する仕組みを開始したときは、業界が期待した。だが、そもそもNASDAQの存在理由は、誰がどの株式を保有しているかを記録するためだ。既に台帳システムがあるのに、なぜブロックチェーンの台帳にしたのか?
NASDAQが未公開株取引の台帳にブロックチェーンを採用したとしても、NASDAQが中間業者であることは変わらない。 そしてNASDAQなどコンプライアンスやセキュリティに詳しい存在が間にいる取引所と、間に誰も存在しない、ブロックチェーンを用いた野放しの未公開株取引所では、リスクが天と地ほど違う。
もし間に誰もチェック機関が(政府すら)いない未公開株取引所を、ブロックチェーン上に作れば、監査やコンプライアンスなんてあったもんじゃなくなり、資金調達をした直後に雲隠れするような会社しか残らなくなる。 未公開株の投資家なら口を揃えて、「手っ取り早く財産を失う仕組みだ」と言うだろう。もちろん、既にこの恐れは現実化している。 新興企業はブロックチェーンをもとに株式のような仮想通貨を作り、それを公に売却して資金を得ている(ICO)。 言うまでもなく、IPOより遥かに安価で楽に資金調達できる。このICOバブルがどれだけ続くか興味深い。発行されたトークン(仮想通貨)が株式に交換できるのであれば有価証券扱いになるので、SEC(米国証券取引委員会)の規制が適用される。適用されなければ保証もないので、パスワードを盗まれて財産を失っても自己責任だし、会社が雲隠れしても泣き寝入りしかない

(11)認証機能としてのブロックチェーン

最後の指摘になるが、ブロックチェーンには「認証機能」としての使い道も期待されている。 たとえば、ブロックチェーンビットコイン売買の匿名記録を公開するのではなく、かわりに何らかの署名を残すのである。一度署名すれば変更できない。 ブロックチェーンを台帳ではなく、日記として使うのだ。
理論上は、この仕組みを選挙の投票に使ったり、ダイヤモンドやブランド品の出所を記録したり、本人認証をしたり、ドメイン名の所有権を突き止めたり、文書の署名を確認したり、特許分野で役立てたりできるはずである。

それぞれの点で、ブロックチェーンは実はそれほど役立たない。 投票の場合、「匿名で投票」でき、かつ「一人につき一票だけ」の決まりをブロックチェーンで守るのは仕組み上難しい。 従来の「投票先を書いた紙を、投票立会人がいる前で箱に入れる」という方法なら、両方とも容易にクリアできる。
文書の署名を確認するのでも、ブロックチェーン秘密鍵に依存するのなら、PGPでも同じ話。 ブランド品やダイヤモンドの出所を確認するのでも、既に使われているような、ネットで確認可能な証明書をブランド企業や採掘者が発行すれば良いだけで、ブロックチェーンに公開するメリットは特にない。最後に、もしあなたが「日時Yの時点でXを知っていた」ということを匿名で記録したかったら、不可逆なブロックチェーンに書き込むまでもなく、Gmailで自分宛にメールを送ればいいだけの話。 そもそも、「日時Yの時点でXを知っていた」ということを証明するサービスの市場は、現在存在するのだろうか?
ドメイン名の所有権は? 誰がどのドメイン保有しているかを全てブロックチェーンで管理し、スマートコントラクトを使って、仮想通貨で支払いが行われたらドメインを自動発行するのはどうか。 だが、もし大きなサイトのドメインが盗まれたら、中央機関がないブロックチェーンでは元に戻せない。セキュリティの不備で、ハッカーhttp://disney.com などのドメインを取得し、しかもそれを元に戻せない世界を、企業は望んでいない。 信じ難いかもしれないが、ブロックチェーンは、なりすましや盗難を今までより「やりやすく」する技術である。ハッキングが頻発する現状を見れば明らかだ。

(12)まとめ

ブロックチェーンを使えばこんなことが、と夢を見るのは自由だ。ブロックチェーン洗濯機が、スマートコントラクトで自動で洗剤を注文するのも妄想なら楽しい。 だが、ブロックチェーンが代替するとされるものの多く、例えばブランド品のシリアル番号等は、多大な労力が割かれ、既に最適化されている。最終的には、既存のソフトウェアシステムと、それを補う人力のオペレーションと中央集約的なシステムが、一見非効率に見えながらも、ブロックチェーンの利点に勝り続けている。また、ブロックチェーンの不可逆性や、スマートコントラクトの自動運転は、一見無問題に見えても、実際は大いに問題がある。

ブロックチェーン愛好家は、「AからBに送金すること」「取引の記録を取ること」がさも難しいことのように語り、ブロックチェーンが救世主だと思っている。 しかし、送金や取引の記録は金融システムのなかの簡単な部分であり、残りの極めて複雑な部分に、本当の価値があるのだ。

多くのビットコインの起業家・投資家らと話したが、現状のシステムがどう機能しているかの知識が欠如してる人が多いし、皆そもそも学びたがらない。ユーザーの本当のニーズにも興味がない。誰も「クレカに比べ、マイルも使えなくなり、保証もなくなる決済方法は嫌ですか?」とユーザー調査していない

ビットコインのプレーヤーは「IPOに大量の金がかかったり、ファンドの立ち上げに大量の書類が必要なのは、弁護士や会計士が手数料を取るだけで何もしていないからだ。天才エンジニアが何人かいれば数ヶ月で仕組みをひっくり返せる」と考えてるのかもしれない。今のところ、うまくいってないようだが。





追記部分

「まだ結論を出すのは早すぎる。インターネットも昔、鳴かず飛ばずだった」と反論される方へ。 私が言いたいのは、ブロックチェーンの「不可逆性、匿名性、中央機関の欠如」という「変えようのない特徴」を、顧客が望んでないということです

仮に、ブロックチェーンによる匿名取引が主流で、Visaがまだない世界を想像してみて下さい。 ここでもしVisaを誰かが発明したら、「やった!これでもし取引で詐欺にあっても、Visaに請求すればお金は戻ってくる!」と喜ばれるのではないでしょうか。または、仮にスマートコントラクトしかない世界で、紙に書かれた契約書や訴訟を発明したら? 「やった!これで投資ファンドに資金を預けたとき、金を盗まれても訴訟すれば戻ってくる!」 仮にビットコインしかない世界で、銀行ができたら? 「やった!パスワードを盗まれても、財産はそのままだ!」仮にブロックチェーンでしか投票できない世界に、紙の投票箱が生まれれば、紙の投票箱のほうが明らかに優れたシステム(一人一票と匿名性を守れる)だと気づきます。 ドメイン名の登録でも同じこと。「やった!これでハッカーに我が大企業のドメイン名を盗まれても取り戻せる!」

結論。ほとんどの場合、必要とされているのはただの「台帳」で、ブロックチェーンのように、「分散型の匿名台帳」は、メリットよりデメリットのほうが大きいのだ。






最低限理解しておいてほしいこと

基本的に、今ビットコインなどを煽っている人は、このあたりを全く理解していません。別に理解してなくちゃいけないとはいいませんが、
この手の人間は、批判をすると「自分たちはわかっている側で、批判をしているやつは分かってないやつだ」という顔をします。

安心してください。そいつら、絶対この記事に書いてる内容に反論できるような知識を持ってないから。わかってるふりしてるだけで、何も分かってないから。


「自分がわかってない」ということをわかってる人は、いざ不測の事態が起きても、自分の誤りを認められるでしょう。でも、彼らは「自分はわかってる」と思ってます。「実はわかってないのにわかってるとおもってる人間」は、何も分かってない人間よりもはるかに危険です。


いま煽ってる連中は、絶対に責任を取ってくれませんし、取ろうと思っても取れません。仮想通貨は上で書いているように、救済措置をとることが不可能なのです。そのことをよくよく理解してください。

やるなら自分で興味を持ってちゃんと時間をとって調べてから。

そのつもりがない人間は絶対に手を出してはいけません。

逆に、自己責任で調べてやるひとを止めるつもりはありません。 

是非がんばって、私に最高のシーンを見せて欲しい。

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