この夜が明けるまであと百万の祈り

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限定正社員制度についてのメモ

【特報】ワタミ、アルバイト100人を正社員化:日経ビジネスオンラインはてなブックマーク - 【特報】ワタミ、アルバイト100人を正社員化:日経ビジネスオンライン

限定正社員制度についてちょっとだけ確認しておく。結論だけ書いておくと、この制度は「ブラック企業」の改善とはあんまり関係ないと思う。


限定正社員とはなにか

この記事がすごく丁寧でわかりやすかった。
時論公論 「限定正社員は誰のため」 | 時論公論 | 解説委員室:NHKはてなブックマーク - 時論公論 「限定正社員は誰のため」 | 時論公論 | 解説委員室:NHK

正社員は、どこで、何の仕事をするのかという、人生を送る上で、大変重要な決定を会社にまかせるのとひきかえに雇用の安定を手にしている。

一方、非正規の労働者の場合は、どうでしょうか?こちらは職務も、勤務地も限定されています。転勤や、違う仕事を任されたり、ということは基本的にありません。そのかわり、いつ雇い止めに会うのか、不安定さがつきまといます。また、賃金も、正社員より低いことが多くなります。

雇用が安定している(がどんな命令をされるかわからない)正社員と、雇用が不安定で処遇も低い非正社員、その二極化を何とかしようと、考えられたのが限定正社員です。

「改正労働契約法」によって、五年後に非正規雇用の社員を正社員化しなければいけない問題への抜け道?

この法律では、同じ職場で5年を超えて働く契約社員やパートが希望した場合、
企業は、期限のない雇用契約、無期契約に切り替えることを義務づけています。
つまり、これは言い換えると、今から5年後には、大勢の非正社員が、限定正社員に変わる可能性があることを意味している

派遣が正社員化の間にプロセスを1つ余分に挟む、みたいな感じとして利用されることが多くなるかも。
有能ではないけれど便利な社員は限定正社員としてキープ、本当に有能な人だけが正社員になりますよ、と。



欧米スタンダードのメンバーシップ型ではなくジョブ型の働き方への移行にも見えるが、日本だと無理じゃね?

欧米では、正社員の雇用形態は、この限定正社員と同じ仕組みが普通です。
あらかじめ、雇用契約で、職務や勤務地を決めた上で働く。
その仕事がある限りは、ずっと働き続ける。
行ったこともない所で働けとか、やったこともない仕事をやれ、と言われても、簡単に聞くわけにはいかない、というわけです。
日本のように、どこで何をするか、わからないまま、雇用の維持だけは守ってもらう、というのは、きわめて特殊な方式です。

前提として、就「社」ではなく就「職」という概念が浸透していることが必要になるでしょうし、その概念を支える社会基盤が必要になるでしょう。そこをすっ飛ばして、形だけ欧米型にしようという議論が進んでいるのではないかという懸念があります。


徹底討論・迷走する日本型雇用に決着点はあるのか!(海老原嗣生×濱口桂一郎): hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)はてなブックマーク - 徹底討論・迷走する日本型雇用に決着点はあるのか!(海老原嗣生×濱口桂一郎): hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)


日本型雇用はここ20年ほどで変わってきました。今までのようにメンバーシップ型を希望者全員に適用していくのは多分、もう無理です。欧米やアジア諸国のやり方や日本の実定法を前提とする仕組みに今すぐ移行するのも無理な話です。そんなことをしたら一番ひどい目に合うのは今、正に学校を卒業しようとしている若者たちです。ジョブ型の社会は、白紙に絵を描く議論としてはある意味筋が良いのですが、日本の社会はそれを前提にできていません




安倍政権下における「限定正社員」についての議論は結構ヤバめ

多様な働き方を模索する厚生労働省とは違い、安倍政権下の規制改革会議は労働組合厚生労働省を締め出し、解雇の規制緩和だけを推進するバランスの悪い議論になっている危険があるとのこと。

今回、限定正社員について議論してきた政府の産業競争力会議などでは、そもそもの議論が、日本の経済を再生させるためには、伝統的な産業から、新たな成長産業へ、ヒト、モノ、カネを移さなければいけない。
そのためには雇用政策も、従来の、とにかく雇用を守る、という雇用維持型ではなく社員の転職や再就職を積極的に支援する、という労働移動支援型へと転換しなければならない。
そのためには、社員を解雇するルールなどももっと緩和することが必要だ、という枠組みの中で議論が始まっています。

サラリーマンに「限定正社員」制度は朗報か:PRESIDENT Online - プレジデントはてなブックマーク - サラリーマンに「限定正社員」制度は朗報か:PRESIDENT Online - プレジデント

判例では整理解雇をする場合、(1)経営上の必要性があるか、(2)解雇回避努力をしたか、(3)解雇対象者の人選は合理的かつ公正か、(4)労働組合または労働者と協議したか――の4つの要件をクリアすることを求めている。つまり、現行の労働契約法は「合理的理由のない解雇はできませんよ」と言っているが、最初に「解雇は自由です」と、前提をひっくり返して、例外的なケースについて解雇を禁止しようというものだ。これは日本と同様に社会的正当性のない解雇を禁止するヨーロッパ諸国と異なり、差別的解雇以外は原則自由とするアメリカ型に近い。

厚労省の目的はあくまで多様な働き方ができる限定正社員になる入り口の整備である。だが、ここに目をつけたのが規制改革会議だ。たとえば地域の事業所が撤退ないし閉鎖すれば解雇できる、あるいは事業の見直しなどで現在従事している職務がなくなれば解雇できるようにしようというのだ。規制改革会議の雇用ワーキング・グループが厚労省を締め出した背景には、解雇ルールまで踏み込むことを知られたくないという事情がある。「ジョブ型正社員は入り口から出口までワンセットで提示し、労使双方が納得のいくような仕組みであるべきだ。そうではなく出口(解雇)のところだけに着目し、都合よくつまみ食いしようとしているなら問題だ」

仮に法改正されると、(企業にとって)給与の引き下げや雇用保障をしなくてもよいというメリットが生まれるだけではない。たとえば、人事評価の低い社員に対して、リストラされるよりはましだろうと、限定正社員になるように迫るなど悪用する企業も出てくるかもしれない。山井議員も「金銭解決と限定正社員の行き着く先は、正社員もクビにできるんだという風潮になってしまう。そうなると事実上、1億総非正規社員化という状況になる」

安倍政権の政策議論にはかなりの問題があると感じるが、企業の取り組みは評価できるものも多そう

http://matome.naver.jp/odai/2139719401859639501
http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/research/r130901employ.pdf


ユニクロや、ワタミのように「業績が悪い店舗は閉店させる」という形での解雇が容易な形態の業種において限定正社員の「職務も、勤務地も限定されている」「雇用の安定を図る」といったメリット面が活かせるのか疑問です。実際にこの制度を取り入れたユニクロは「雇用は守るがいまよりさらに2倍働け」ということを堂々と言っています。社内における競争が激化し、勤務地はともかく、職務は曖昧に規定され、結局長時間労働や、裁量労働が要求されるようになるのではないでしょうか。とはいえ、アルバイトやパートと比べれば社会保障などの待遇の改善は確実に行われますし、労働時間規制などがきちんと守られるのであれば一部の人には間違いなく恩恵があると思います。


ただ、受け入れ先である企業が自ら手を上げる場合はともかく、国全体で考えると、派遣とちがって、まだ限定正社員を活用する仕組みがなく、不十分です。高学歴ワープア問題から資格取得者の就職難など、「受け入れ先の企業がない」「うけいれる体制を十分に整備していない」という問題を国が甘く見ていて失敗した事例が山ほどあり、今回もそのケースになると思います。「限定正社員になって、店舗閉鎖などの理由で解雇されたとして、その後別の場所で限定正社員として別の働き口を見つけられるのか」というと多分ムリだと思います。国が議論しているのは、「解雇しやすくすれば、雇用のハードルも下がって流動性上がるだろう」」くらいの甘い考えであるように思います。もっといえば「企業が生き残るために、解雇しやすくしよう」程度しか考えてない可能性もあります。 ソーシャルモビリティ?とか横文字使ってる人は思考停止してそうでコワイ!


「限定正社員」どんな制度? 解雇ルールで労使対立  :日本経済新聞はてなブックマーク - 「限定正社員」どんな制度? 解雇ルールで労使対立  :日本経済新聞

「そもそも景気が良くないと人は転職できません」。限定正社員などのルールを変えただけでは効果が限られるという。「重要なのは業績が良いときに成長分野に人を移せるか。そういう時期は希望退職を募りにくいので、官民で公的な人材派遣会社を作り、出向などの形で成長産業に送り込むなど、別の工夫が必要かもしれません」

「限定正社員」はブラック企業の歯止めになるの? =多分そもそも関係ない

ブラック企業の判定は以下の3つを順守しているかで判断されると思うのだけれど、

労働者の労働条件の確保・向上=労働基準法
労働者の安全と健康の確保  =労働安全衛生法
労災補償          =労働者災害補償保険

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000032848.pdf

「限定正社員」はこの3つに対して大きなインパクトを与えるものではないと思う。


もともと中小企業はこんなんなくてもバシバシ解雇してるので、あえて限定正社員なんて制度を採用するメリットがない。
大企業が、「不足しがちな若年者雇用の確保かつ解雇のしやすさ」を追求した時にいきついた答えにすぎないから。
銀行における「総合職と一般職」のような枠組みを、他の企業でも採用し始めた、程度の認識だと思う。
むしろ、アルバイトや派遣依存から、ある程度長期間働く社員を持とうということで、ジョブ型への移行というよりは、メンバーシップ型の強化に近いと思う。


こっち側でむしろ問題なのは、残業時間や残業の扱いに対する規制。

長時間労働こそが問題であるという認識に基づき、労働時間の絶対上限規制(あるいはEU型の休息期間規制)を導入することを真剣に検討すべきであろう。併せて、それを前提として、時間外労働時間と支払い賃金額の厳格なリンク付けを一定程度外すことも再度検討の土俵に載せるべきである。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/post-e622.html

「時間外労働時間と支払い賃金額の厳格なリンク付けを一定程度外すことも再度検討の土俵に載せるべき」には同意しないけれど、長時間労働の規制は重要だと思う。