頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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人としてクズであればあるほど強くなれる世界でサバイバル 「世界鬼」

ネットにはクズな自分をさらけ出すほどソーシャルスコアが高くなる世界があると聞くけれど
そんな世界がもしあるとするならば、その住人はこの作品を気に入るかもしれない。


人間ならだれでもあるでしょー。
人には言えない暗い過去とか、誰彼を殺したいくらい憎いとか、ウンコに異常に興奮するとか。
心の闇っていうのかな…そういうの! それどんどん前面にだしてこ!
要するに、このセカイでは不幸であればあるほど、強い!クズであればあるほど強くなれます!

「僕はクズだ、僕は不幸だ! わざと孤独を追求した、だから強くなれた!
 だから、僕はアヅマを殺して、唯一無二のはてなアイドル特異点になる!」

***は、確かにクズでバカでサイコパスで自己中心的で浅慮で情緒不安定で冷酷で利己的で思いやりもなくて未だにオネショが治らなくて泣き虫でだらしがなくて友達がたった独りしかいないクズだけど、根は良い子なんだヨォ!

不幸という表現には語弊があるね。
むしろ君の武器こそが不幸で、不幸こそが君の免罪符なんだからね。


というのは冗談で、作者自らが作中でメタ的に発言させているように、異世界サバイバルものです。
最初は登場人物がクズだったり異常者だったりします。
セックス中毒だったりシャブ中だったり、精神的依存症だったり。

怖い。一人怖い。
誰か、私を、私に、依存されてください。
私といたら不幸になるけど、それでも一緒にいてください。

現実が、腐っていって、腐った現実はいつの間にか現実ですらなくなっていて
ああ、私のRealは、ここだったんだ。ここになったんだ。
ここは逃げ場ではなく、居場所になったんだ。へへ、えへへ、へへへへへへへへへへへへへへへへ。

それが、いくつかのバトルを共に戦い抜いていく内に…という展開です。

自殺島」「エデンの檻」「悲鳴伝シリーズ」なんかとリンクさせながら読むと楽しいです。
だんだん、「ぼくらの」や「11eyes」に近い作品であることがわかってきます。



ネットで無料で読めるので、興味があればまずネットで読んでみてほしいなと思うのですが、
裏サンデー | 世界鬼はてなブックマーク - 裏サンデー | 世界鬼


単行本ならではのオススメ点を2点ほど。


1 表紙や装丁がすごく綺麗。

マンガの最初とか、絵がめちゃくちゃ汚いし(それはそれで「進撃の巨人」のようにいい味を出しているのですが)
読みにくいとかいろいろ難点もあるのですが、一方の表紙はとても洗練されてます。

手触りもええし、一度は本屋でチェックしてみて欲しいところです。


2 本編で描かれない、登場人物の裏設定が興味深い。

主人公のひとり「あづま」の家族は、
あづま視点では全員があづまを虐待する「隣の家の少女」に出てきそうなクズばかりですが
実際は父親以外、極端な悪人がおらず、むしろかなり実直な生活の持ち主であったことや
あづまが現れるまでは1つの問題点を除いてとても平和な生活をしていたことがわかったりします。
この設定は7巻で本編にフィードバックされますが、3巻時点で見た時はちょっとびっくりしました。

他にも、主人公の一人で、依存癖が強い「佐伯」のパートナーであった結城は
佐伯に対して徹底した秘密主義であり、嘘偽りで固めた面を佐伯に見せていたことなどもちょっと驚き。
依存症の人間と付き合える人間は、このくらいしたたかでなくてはいけないという点がわかります。
「羣青」「誰も懲りない」の作者の中村珍さんも、同じようなこと言ってた気がする。

冒頭の引用で、ボロッカスに言われていたクズ人間「ペロ」についても、
純粋すぎるゆえに、親からのネグレクトすら愛と受け取っていた設定もあったり、
他にもいろいろと、本編だけを見ていて、自分が勝手に思い込んでいた主人公の周りの人物のイメージが
ちょこっとした情報をもとに上書きされていくのがとても楽しい。

黒江さんとか、4~5巻とかだとただのクレイジーサイコビッチだから
たとえ裸見せ用が全くエロく感じなかったのに、
7巻だと服はだけた程度でもやたらエロく感じるとか、
絵の上達もありますけどキャラの印象が、作品中で大きく変わっていくところがこの作品の醍醐味かな、と。






ちなみに最近マンガの感想書きまくってるのは、先月に
生まれて初めて漫画喫茶いって、いっぺんにたくさんのマンガを読んだ結果、頭がふわふわしてるからです。