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この夜が明けるまであと百万の祈り

私が元気づけられた出来事や作品についてのメモ。最近TED聴き始めました

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もしエボラウイルス感染者が日本でも出たら・・・ 「エマージング」

たくさんの方々から「怖い。怖いよ」と怖がられたマンガになった。だが実は描いている僕自身も相当に怖かった。この物語がただのフィクションで終わることを今は切に願っている。


フィクションで終わってくれなさそうな現在ですね。作者さんはどう思ってるんだろう。

この作品は、正確にはエボラウイルスではなく、エボラウイルスと同様の症状・感染力を持つ新型ウイルスが日本で発生したら、というお話。


この作品の場合、最終話において、「人類の叡智」によってではなく「愛の奇跡」が起きて問題は収束に向かうが、実際にはこういう奇跡は起こりえない。最終話1つ手前までの絶望感は半端ない。

なにせ一度本格的にアウトブレイクが発生すると「強制隔離による封じ込め」を行ってもなお感染を食い止めることは出来ないからだ。

「すみません、我々の努力が足りなかったばかりに。この事態だけは避けたかったのに止められなかった!!強制隔離による封じ込め作戦の実施が正式決定されました。」

「そんな…!ここに全員隔離すれば感染は止まるでしょう!だけど犠牲が大きすぎる!」

「止まりませんよ!感染は止まりません。決定的な治療法もなく、こんな事態になって、誰が検査にやってくるんですか。脱走はしても、自ら隔離されたがる人間などいやしませんよ

…潜伏者か!

「いつどこで感染するのかわからない恐怖…誰もがこの恐怖から逃げ出したい。だが黙って耐えるしか無いのです。それは人が群れの中でしか生きていけない存在だからです。どんな山奥や孤島に逃れたとしても人との関係は簡単には断ち切れない。そして、それがために感染は広がっていく」

その他「政府による隠蔽」「デマの蔓延」「魔女狩り」など、恐怖から人間の負の側面が噴出する側面も描かれ、わずか1週間で社会が崩壊する寸前まで行く過程が描写されています。


エボラウイルスの二次感染者が出たアメリカでは今後2ヶ月が勝負だと言われてますが、ほんとに心配。
Ebola infections outpacing health authorities’ efforts: UN official | New York Post

“We need to do that within 60 days from Oct. 1. If we reach these targets, we can turn this epidemic around,” he said.“If we fail at any of these, we fail entirely. With each passing day as more people are infected, the number of people infected grows exponentially.“We either stop Ebola now or we face an entirely unprecedented situation for which we do not have a plan.”

んで、エマージング2巻あとがきの「人類に対する警告」が興味深かったので一部引用。

1347年は世界の歴史が大きく変わった歳だった。この年に起きたことに比べれば、フランス革命第二次世界大戦も大したことがない。1347年10月、地中海に浮かぶシチリア島に侵入した疫病は、翌月にはマルセーユやベニスを襲った。この時ヨーロッパを襲った疫病とはペストのことだ。近代医学が誕生する18世紀まで、人類の歴史は疫病との戦いの連続だった。その中でも1347年のペストは人々に地獄の苦しみを与えた。なにしろ当時のヨーロッパの人口の4分の1に当たる2500万人の命が短期間で奪われたのだ。

キリスト教が支配していたヨーロッパの中世は、ペストによって終わりを迎えた。ペストは中世ヨーロッパを支えていた荘園制と農奴制を一瞬にして崩壊させた。今でも英語の辞書を開くとこの時の恐怖がよくわかる。ペストを意味するpestという単語には、病名より先に「厄介者」「災い」「害毒」という言葉が並んでいるのだ。

この時の様子はルネッサンスを代表する小説「デカメロン」に詳しい。病人が街に入るのを禁止したり、信心深い人たちが神に祈りを捧げても少しも役に立たず、いくら身分が高くてもペストによる死体は野原に放置され、多くの人が獣のように死んでいき、やがて人々は働く気力を失い、将来より現在が良ければいいと思うようになった、と書かれてある。

ペストは精神文化にも深刻な動揺を与えた。キリスト教は人間を疫病から救うことが出来なかった。ここに、ローマ時代から絶対的権威として1000年以上も中世ヨーロッパを支えてきたキリスト教という精神的支柱が崩壊し、人々は自然科学を信じるようになった。ペストは歴史を変えたのだ。

この後インカを滅ぼした天然痘ウイルス、第一次世界大戦を終わらせたスペインインフルエンザ、アフリカにおけるエボラ出血熱、ラッサ熱などなどの話が続く。

このあたりの本も今読んでおこうと思う。