この夜が明けるまであと百万の祈り

とあるマンガ好きの備忘録です。私が元気づけられた出来事や作品について少しでも共有できたら嬉しいです。 ※記事を読まずにはてなスターを押して回る行為はお断りしております。

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「天体のメソッド」5話  誰かを憎むことでしか自分を維持できない、それによって自分をギリギリ支える地獄

3行でまとめると

・円盤のせいで花火ができなくなったことをきっかけに家を飛び出した自分を探して兄が大怪我。心が痛む。
・いや、考えると円盤さえなければ花火も出来たし兄も怪我しなかった。円盤が悪い!円盤反対!
・いや、そもそも円盤を呼んだののかが悪い!ののかを叩け!

なんだけど…。長い年月をかけてこじらせた怒りはもう自分そのものになっちゃってて
そこから抜け出すのが本当にシンドイよな。

進撃のバハムートの「カイザル・リドファルド」がファバロを目の敵にしているのと同じで、
とにかくもう自分には「○○○」を憎むしか無い、って行動原理は非常につらいものがあるな。


・自分の罪や現状の救われなさから目をそらすため「○○○」を攻撃する行為が、自分を孤独にする。
・そして孤独になった自分を支え続けるために、なお攻撃対象である「○○○」に執着し、依存する。
・○○○を攻撃すればするほど自分は苦境に追いやられ、かつ自分自身をも攻撃することになる

・その行為に虚しさや誤りを感じつつも、
 もはや中毒状態、依存症、もっといえば自己の一部になってしまっているために
 もはや○○○への怒りなしに自分を成り立たせることが出来ない。


・この負のスパイラルは生き地獄のような感じだと思う。メンヘラやね。



ネトウヨの原理だってこういうものだろうし、私の例の人に対する執着だってそうだといえばそうだ。

自分の行為に自覚がないわけじゃなくても、「自分の本当の願い」はもう取り戻せない。全ては失われてしまった。少なくとも自分はそう思っている。場合によっては自分自身でそれを壊してしまったと感じている。

だから、大切なモノを失ってしまった自分にはもうこの道しかないと思いつめている。

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たとえ、そこから脱出できたとしても、圧倒的な後悔の重さに耐えなければいけない。それは恐怖っちゃあ恐怖だろう。
それでもこの憎しみから逃れられるとしたら、その過程はどういうものになるのかな、と。




というわけで、柚季の話は「自尊心の回復&ナルシシズムの檻からの脱出」の類型で、一時期すごくハマったけど、こういうの懐かしいな―。

柚季が「円盤への憎しみ」を作り上げ、それを固着化させてしまうプロセスについて

①柚季はもともと直情的で、すぐ癇癪を起こして突発的な行動に走る性格ではある


②祭の日に円盤のせいで花火を見に行けなかった。

「どうしてダメなの?一緒に花火を見るって約束したのに!」
「円盤のせいで中止になったんだから仕方ないだろ?」
「お兄ちゃんの、バカ!」

③拗ねて兄と喧嘩した挙句、怒って家を飛び出す
→心配して兄が探しに来たのに、つい声をかけそびれる。
→その後、兄が事故にあって足に大怪我。
→ケガをした兄が夜中に外出したことを親に責められるも、兄は柚季のことをかばって何も言わなかった。

④自分の罪がなかったことにされてしまったため、謝ることもできず、でも罪悪感に耐え切れなかったため、子供の防衛機制として「そもそも円盤が悪い」というすり替えを行ってしまう。

「どうしてこんな夜中に家を出たの?」
「別に理由なんて無いよ。俺が勝手にケガをしただけだ」
「違う…違うの…そうじゃないの…
 悪いのは…悪いのは…(円盤なの)」


⑤柚季が心のなかで自分に言い訳しているだけなら良かったのだけれど、彼女は冒頭に述べたとおり直情的であり、無駄に行動力があるので、本当に一人で円盤反対活動を始めてしまう。(通称プロ市民

 

⑥ここで挫折していればよかったのだけれど、ここで友達の小春も思うところがあって手伝ってくれることになりやめにくくなる。さらにみんなの前ででかばわれてしまったりしたため、ますます引っ込みがつかなくなる。小春に「本当のこと」を言えないことにはやめられないから。
小春にとっては純粋に友達を思って手伝いたかっただけかもしれないが、柚季にとっては実は災難だったかもしれない。



⑦自分の罪悪感からの逃避のためという側面もあるけれど一応兄のために頑張っていた。花火のために、あるいは兄に対する申し訳無さとか、兄との思い出への気持ちなどいろんな思いを込めて活動していた。

しかし、その兄は柚季の行為を「花火にいけなかったあてつけ」や「いつものバカな行為」として受け止めてしまい、やめるように言ってくる。兄に対して甘えん坊だった柚季は、自分の気持ちを理解してくれない兄を「裏切り者」と受け止めて喧嘩してしまい、このあたりから二人の関係がこじれる。

柚季は兄に気持ちが通じなかった(本心じゃないから通じるわけ無いんだけど)ことに憤り、やましいことがあって本当のことを言えないもどかしさも合わせてますますプロ市民活動にのめり込む。必死にやれば気持ちが伝わるとか兄もわかってくれる、と思っていたのだろうか。兄は兄で、妹がプロ市民活動にのめりこめばのめり込むほど「俺へのあてつけだ」と思うようになり、お互いドンドン溝が深まっていく。



⑧兄は妹を注意しつつもある程度好きにさせていたが、小春を巻き込むのはNGであるとして小春を柚季の活動から遠ざけようとする。 実際は小春の側から手伝いを始めたのだけれど。これに対して、柚季は兄に対して怒りをつのらせ、ますます兄妹の溝が深まってしまう。




⑨はっきりとは描写されてないけど小春も途中の段階で離れていってしまう。なぜなら、家の営業妨害になってしまい、さすがに手伝うにも限界があるから。他にもいろいろ思う所あったんだろうな―。ただ、柚季さんこれについて、「友達に裏切られた」「兄と一緒に自分をバカにしている」と自己否定されたような気分になり、相手を恨む。




⑩誰も信じられないほむほむ状態になった柚季は、引込みがつかなくなったため
 一人でのプロ市民活動にのめり込むようになり、
 それによってますます兄や小春との関係がこじれていく

 …ちょっとうちも自分の行動を振り返らねば…。



⑪本当は兄に謝りたかったし、兄に叱られたかったし、小春とも仲良くしたかった。そのためにはプロ市民活動やめればいいんだけど、どうやめていいのかわからなくなってきた。
(円盤追い出したい、のは多分変わらない。ただ、プロ市民活動はやらなかったと思う)でも、

「悪かったよ、謝るよ…」
「え?」
「ずっと恨んでたんだろ?俺があの時…お前のいうことを聞いてやらなかったから。
 すまなかった。だから…」
「どうして…どうして謝るのよ!バカそうた!」


⑫こうやってドツボにはまってる状態の時に「ののか」が戻ってくる。
よし、ここで一緒に頑張ろう、じゃなくて
「そうだ、円盤がわるいけど、そもそも円盤を呼んだののかがわるいんだ!」
と自分以外の悪者を作っていく。




※もちろん、自分の行為に意味が無いことは自分でもわかっており。
素直に応援してくれるノエルには本心を吐露する。

いいの。ありがとう。もういいの…こんなこと、意味ないから。


⑬とにかく「自分から目を反らし続け、悪いのは自分以外の誰か」という態度を取り続けるせいでみんな自分を叱ってくれないどころか、自分を腫れ物というかちょっとやばい人みたいに扱ってくる。誰も理解はしてくれないけど止めてもくれない。だから引っ込みがつかない。そして、「誰も自分のことを」わかってくれない→みんな敵!とますますこじらせていく。

もう放っておいて!円盤もののかも、こはるもそうたも、みんな大っ嫌い!

いくらなんでも怒り方が回りくどすぎる。
こんなに複雑な怒り方をしていたら、そりゃ自分でもどうしていいかわからなくなると思う。
また、アニメ作品でその怒りをしるためだけに5話も使うとか正気の沙汰ではない。映像は好きだけど。

柚季だって謝りたかったのに謝るタイミングを完全に見失ってしまったのはわかる。それで苛立ってたのはわかる。兄貴は兄貴で変な思い違いをして歩み寄りの機会を逃しているし、小春さんも中途半端に手伝って捨てたらよけいに自身がなくなっちゃうよね。

それにしたって人は、こんなにシンプルな話をきっかけにして人はどこまでも関係がこじらせていくのかと思うとちょっと怖いよ。