この夜が明けるまであと百万の祈り

とあるマンガ好きの備忘録です。私が元気づけられた出来事や作品について少しでも共有できたら嬉しいです。 ※記事を読まずにはてなスターを押して回る行為はお断りしております。

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ポリティカル・コレクトネスはシビュラシステムの夢を見るか

ポリティカル・コレクトネスは手段である。目的ではない。
目的は「より豊かな人間観」「多様性がみとめられる社会」などであるべきだと考える。
少なくともポリティカル・コレクトネスそのものではない。
今現状のポリティカル・コレクトネスは、努力目標を定めるものであって、誰かを裁くための法やシステムではない。
それを勘違いしてる人が語るポリティカル・コレクトネスにはなんの魅力も感じない。

「唯一の正しい姿」へ表現を収斂させようとする方法論は往々にして表現の先細りを招くだけだと思うのです。男性と女性という多様性をより拡大すること、つまり「男性」とか「女性」といったフレームでは括りきれないほど多様な人間が存在するという現実を認識し、また主張することのほうがよりまっとうだ

ポリティカル・コレクトネスは「特定のステレオタイプにマウンティングする」ための道具ではない。
己もまたステレオタイプの一つにすぎず、一方的にさばける立場には無いって考えを受け入れられないと破綻する。
「現状語られているポリティカル・コレクトネス」を唯一の正解と捉え、
それを維持すること自体を目標とする者はもはや「シビュラシステム」と同じである。
いや、サイコパス2において、シビュラシステムは新しい基準を受け入れ己をアップデートすることに成功していることを考えると、
もはやシビュラシステムの奴隷である霜月監視官にすぎない。




というわけで、無理やり霜月監視官の話につなげたのでここから本題

霜月監視官はめっちゃかわいかった。個人的イチオシキャラです!


霜月監視官は自信家で、自分がエリートであることに強い誇りを持っている。
しかし、それゆえに、サイコパスが濁ることを恐れて、不測の事態ではろくに動けない。
柔軟な行動が出来ないし、小回りがきかない。

また、人間関係において、部下である執行官に対しては
「監視官が上から指示を出すだけで、執行官からの意見を受け入れるものではない」
という固定観念を持っている。
そして、それは間違いではない。この作品の世界観ではそれがポリティカル・コレクトである。


しかし、彼女はポリティカル・コレクトに固執するあまり
物語中では次々に起きるテロ行動に対して全く対応できない。
常に受け身で、後手にまわり、うろたえるだけで実効的な行動が取れない。
まるで無能のように描かれてしまう。
「私はポリティカル・コレクトにしたがって行動してるはずなのに!!!私のほうが正しいのに!」


そんな彼女が唯一積極的に行動することがある。
先輩である常守朱音がいかに監視官として不適格であるかを語る時だ。


霜月監視官は常森朱音が気に入らない。
規則にとらわれず自由に動く常守朱音が気に入らない。
ルールに反するような行為をしているのにサイコパスが全く濁らない常守朱音が気にいらない。
自分はいつもサイコパスが濁ることに怯えているのにそんなことを気にもしない常守朱音が気にいらない。
常森朱音が、気に入らない。


そこで彼女は考える。
結果的には成果を収めているが、彼女はPC的に見ると許されない存在だ。
自分が無能なのではなく、自分こそが適格であり、ポリティカル・コレクトであり、
常守朱音こそが不適格なのだ、と。
自分は何も悪くなく、常守が逸脱的な行動ばかりとるから、とばっちりで私が悪く見られるのだ。
それに感化された執行官も問題があるが、悪いのはとにかく常守監視官だ。
私は何も悪くないすべて常守監視官が悪い。彼女がいかに問題ある人物かを訴えてやる!



シビュラシステムを絶対視し、ポリティカル・コレクトであることを絶対視するあまり、
目の前の自体に対応しようとする行為すらも憎んでしまう。
とにかくポリティカル・コレクトである限り、自分は絶対に悪くない。
それで何か問題が起きるなら、それは私以外の誰かが悪いのだ。
私は、絶対に正しいシビュラシステムに従っている、絶対的に正しい存在なのだ。
そんな風に考えてしまう彼女が幼少時からどのように育ってきたのか非常に興味深い。


霜月監視官は結局
「私は悪くない悪くない悪くない」とグルグル目で自分に言い聞かせ続け、
「私を濁らせる存在は消えればいい」と容赦なく自分の敵を殺すところまで到達する。
それでも彼女のサイコパスは濁りきらない。
免罪体質者でもなんでもない彼女は、その思い込みの強さだけで
人を殺してもなおシビュラシステムのシステムでは裁けない第三の存在になったのだ。

(つくろうと思えば、これで第三期作れると思うんですけどどうだろう?
 つまり「システムの狂信者」こそが、常守朱音の敵となる、という感じ)



常守朱音は、シビュラに反してでも、人にとってよりよき社会を目的にした。
そのためなら、シビュラシステムに変革を求めることも厭わなかった。
一方の霜月監視官はこの世界におけるポリティカル・コレクトネスに絶対服従することそれ自体を絶対的な目的にした。


この作品は、シビュラシステムというものを挟んでこの二人が対立する話でもあったと思う。
ただ、ぶっちゃけ2では「常森朱音の性能がチートすぎる」という問題があり、
霜月監視官がただの不快な雑魚キャラみたいな描写になってるのすごい悲しい。


私は、たとえ間違っていようが、生きるために強い執念を持って行動するキャラ、
というのを偏愛しているので霜月監視官は大好物です。