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「ラーメン大好き小泉さん」 "オタク=本当にそれが好きな人"が語るジャンル語りはとても心地よい

私は、ラーメンに夢中な小泉さんに夢中なんだよ!

一つ前の記事「渡くんの☓☓が崩壊寸前」と同じ作者さんによる作品です。

タイトルが直球で心地よいですね。
本当にラーメン大好きでラーメンおたくな美少女小泉さんがいろんなラーメンを食べる話です。
なにはなくとも、美少女である小泉さんが時に髪を結ったり、浴衣を着たりしながら美味しそうにラーメンを食べている様子をみるだけでも満足度高い作品です。

でも、それだけじゃないぞ。


表紙だと小泉さんの美少女ぶりがよくわからない…。まぁタイトルでこの上なくアピールしてるからいい、ということかなぁ。

一人の筋金入り「オタク」とそれをとりまく人間関係

ただ、これだけでは小泉さんが一人満足してるだけで、
私達読者はラーメンそんなにすごいのか、とよくわからず眺めているままになってしまいます。


そこで、読者は小泉さんをとりまく人間を通して
小泉さんからラーメンに関するうんちくを聞いたり
小泉さんと一緒にラーメンを食べたり、
小泉さんが美味しいラーメンを食べて浮かべる恍惚の表情を堪能したり
小泉さんとラーメンを通して交流を持ったりします。


最初は美少女大好きな大澤さんという女の子が
小泉さんにめげずにアタックしていくという形を取るのですが、
それだけではマンネリ化してしまうので、大澤さんの友人たちも登場してきます。


小泉さんはマイペースに我が道をいくというか、
自分が食べたいラーメンを追求しているだけで一切ぶれません。
友達よりもラーメンが大事、ラーメンの邪魔になるなら友達も要らないくらいの感じですが
それでも本当にラーメンについてだけは真剣で、かつとても楽しそうです。
また、ラーメンについて何か聞かれたら拒否せず丁寧に説明していきます。
だんだんそれに周りの人間が影響を受けていき、次第に人間関係が広がっていくのが面白い。
周りの人も、小泉さんと仲良くしたいと思いつつも
小泉さんのマイペースぶりを乱すこと無く、むしろ一緒に楽しむような感じです。

(大澤さんだけはストレートに仲良くしようとするのでむしろ
 一番積極的にアタックしているのになかなか距離が縮まらないのすごく面白い)

そういう意味でラーメンだけでなく、「オタクの人間関係」の理想みたいなものも描かれているような気がする。


本当にラーメンが好きな小泉さんは、好みをハッキリ示しつつも、どのラーメンにも敬意を払う

小泉さんは非常にうんちくにも詳しく、味の分類も細かく把握しています。
また、美味しいラーメンを食べるためなら遠征もいとわないほど味にこだわります。

だからといってまずいラーメンを否定する、みたいなことはしない。
どのラーメンにもちゃんと敬意を払っています。
「ラーメンに詳しい私SUGEEE」アピールをしたりしないし
こんなのはラーメンじゃない、といった分断処理や批判などをしない。

店ラーメンと家ラーメンは別のものである、比較することはナンセンスであると断言し、
コンビニラーメンにもその工夫や技術に驚いたりします。

小泉さんは、ただただラーメンが好きなのです
豊富な知識はただラーメンをより美味しく味わうため。
より深く知りたいという根源的な気持ちのために。
そして、それが知りたい人には惜しみなく丁寧にそれを伝えます。

だからかもしれませんが、小泉さんは愛想は決して良くないし
口調もやさしくないのですが、それでも聞いていて心地よい感じです。


オタクとしてかくありたい、という姿を見せてもらっている気がします。


ジャンルについて語るということ

小泉さんは、ラーメンというジャンルについていろんな視点を都度提供してくれます。

まずベースとなる話として
「スープはタレとダシの組み合わせ」であるとところから
香油やトッピングなどによって、多くのバリエーションがある、ということを語り
その「多様性」や「裾野の広さ」こそが大事であることを教えてくれます。

さらに地域ごとのラーメン食文化の違いに興味を持ち、
季節別らーめんや一見ゲテモノ?にみえるものもしっかり味わいます。
有名なラーメンの発祥や変化の経緯にも気を使います。
食べる人のタイプによってトッピングの載せ方も違うし
味わい方の工夫も違うことを理解します。

それぞれの人が美味しくラーメンを味わえるようにアドバイスします。
なによりそれを一つ一つ自分が美味しそうに味わいます。

繰り返しになりますが、小泉さんの目的はあくまで
「ラーメンというジャンルを楽しむこと」なんですね。
だから、ラーメンというジャンルに属するものをまず受け入れる。
ラーメンについて知ることは常にWIPであり、だからこそ楽しい、と。

なんちゃって自分が知ってる範囲だけで決めつけてわかったふりをする。
自分が理解できないものは低俗と決めつけたて否定したりする、など考えてない。

こういうところ、見ててすごく気持ちがいいです。


最近書いたこの作品と合わせて「ジャンル語り」ってこういう感じでやろうって手本にしたいと思います。
「オトコの娘ラヴァーズ!!」 同人業界からメジャー雑誌で連載持つようになった作家の苦悩 - この夜が明けるまであと百万の祈り




最後に蛇足。
上の「オタクかくありたし」と反するため余り書きたくはないのですが。はてなではよく「最近の○○(ジャンル)語り」が批判されます。あれは、批判されてる人の語りがクソだからというのが第一の理由であって「最近の○○語り」であれば無条件に批判されるような話ではありません。にもかかわらず、批判された時にすぐに「天狗が出た」といって自分の語り自体の問題から目をそらしたらあかんやろ、と思ってます。