この夜が明けるまであと百万の祈り

私が元気づけられた出来事や作品についてのメモ。最近TED聴き始めました

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「花より男子」  ここまでめんどくさい女主人公もなかなか珍しい気がする

この作品のベースは「シンデレラ」だとは思うのだけれど、主人公の「牧野つくし」はあんまり「シンデレラ」向きのキャラっぽくない。だけどそこが面白い。

何も考えずに姫と王子のドタバタを楽しめるのは15巻まで。

そこから先、33巻まで続く後半戦では、ひたすらに牧野つくしの「めんどくささ」にずっとイライラさせられ続けました。でも、そのイライラは決して嫌いではありませんでした。傍から読んでる読者よりも、一番自分の「めんどくささ」につらい思いをしていたのは牧野つくし本人だったでしょうし。

牧野つくしはとても「めんどくさい」

自分の気持を抑えるのは簡単だったし、ずっとそうやって生きてきた。

牧野つくしは貧乏一家の長女として生まれ、ずっとわがままが許されない環境で、自分を抑えて周りを支える生き方をしてきた。

他人のためと思えば怖い相手とも負けずに戦える。自分の事ならつらいことがあっても根性で踏ん張れる。でも、その分周りのことを気にしすぎて自分の気持を出すことに慣れていない。自分が何かを求めることに人一倍臆病。自分が誰かから求められるなんて信じられない。中学時代にも男子から告白されているが、結局ろくに応えることもできずに終わってしまっている。


要するに王子様がいたとしてもその求愛に応える機能がない。このままではたとえ「シンデレラ」のストーリーに乗っけようとしたところでなかなかうまく行かない。

「王子様(笑)」の道明寺司がアプローチしてきても、しょっちゅうおかしな選択をしたり、すぐに心挫けて逃げ出したりする。肝心なところで踏ん張りがきかない。なかなか心のままに動くことができない。

あたしって、すごいやってることと言ってること違わない?

牧野つくしが面倒くさすぎるため、王子様もさすがに何度もキレるし、牧野つくし自身もしょっちゅう逃げ出したり放り投げたり、ただでさえ身分差のあるカップルで障害が多いのに、まず本人たちがgdgdでなかなか話が進まない。

しかし、グズり続ける牧野つくしに対して、王子様は辛抱強くアプローチし、仲間たちも一生懸命後押しする。作品中の友人たちははやきもきしながらなんとかかんとか彼女のシンデレラ・ストーリーを応援する。なんとかして牧野つくしに「ありのまま」の自分を肯定できるようになってもらおうとする。そうしてなんとか障害に立ち向かってもらい、ついに無事シンデレラ・ストーリーを完遂させる。

あたしもね、いつも間違った方向に行っちゃうの。でもね、そのたびに引き戻してくれる人がいた。何人もの人が「そっちじゃない、こっちにこい」って言ってくれた。

後半になればなるほどテコ入れが露骨に、そしてド派手になっていくのはどうかと思ったけれど、それでも次から次へと息もつかせぬようにイベントを投入していき、全く飽きさせないようにするサービス精神はすばらしく、最後まで読み切ることが出来る内容でした。それがすごいなぁと思います。実に韓国ドラマ的(こっちのほうが元だと思うけれど)。



「中島海」さんに幸あれ

メインのストーリについてはとにかく「牧野つくしめんどくせえええ!」しかいうことが無いです。

それより私が気になってるキャラは中島海さん。おそらく少女漫画というジャンルの中でも屈指の嫌われキャラであると思われるこのキャラについてだったら1時間くらい喋れそう。

漫画の登場人物で嫌いなキャラ | ガールズちゃんねる - Girls Channel -
【花より男子】少女漫画史上最も悪質な女?!中島海とは? | マイナビニュース
日本一ムカつく女、中島海。 : Isao Watanabeの'Spice of Life'.


作品終盤に牧野つくしの自信を揺さぶりつつ、彼女の特別性を際だたせるためだけの当て馬として使い捨てられる運命を与えられた不遇なポジションの子で、作品中での扱いはひどかった。しかし本来このキャラこそが「シンデレラ・ストーリー」を最も享受しやすい性格をしていると思う。一般的な少女漫画の主人公ってこのレベルで無神経なことしょっちゅうあるし。

典型的なお姫様気質。明るくてコミュ力が高く、気遣いもできるため、常にリーダーシップを取る。己が愛されるのは当然、受け入れられるのは自然なことだと思っているから押しも強い。桜子のようにガツガツはしていないが、その代わりに自分が常に主役として振る舞い、周りの人間はみんな自分の引き立て役であり、自分が歩む道に誰もが道を譲ってくれることを普通のことだと思っている。「自分が否定される」ということがどういうことかすらわからない。……アイドルや姫様として不特定多数に好かれるためにはこういう性格のほうが良いだろうと思う。

ただ、だからこそシンデレラというのは、あくまで「王子様に好かれる」という一点が全てだな、ということがよくわかる。王子様の趣味嗜好に合わなければどれだけスペックが高くても、どれだけ自分の信念が強かろうが意味が無い。正攻法で道明寺を落としに行くものの、この作品では王子様が変なやつなので、全く相手にされず、敗走することに。


また、「シンデレラ」の場合、一度姫様を決めた王子にちょっかいを出すのはご法度。それをやっていいのは「人魚姫」。彼女は自分に自信がありすぎるせいか、ゲームを勘違いしてルール違反シてしまっており、その点で大やけどすることになったんだと思う。


とにかく作品中では、行動そのものより、他人から何を言われても話をきかず、徹底して「自分は何も悪くない」というスタイルが人を苛つかせていたのだけれど、彼女にもいい出会いがあると良いなぁと思いました。「周りの空気が読めない」以外は完璧なので、そこさえうまくいけば吉祥寺啓子になれると思うんだ。

ダメだよ。自分を守ったらダメ、海ちゃん。そこで終わっちゃうよ。あたしもね、いつも間違った方向に行っちゃうの。でもね、そのたびに引き戻してくれる人がいた。何人もの人が「そっちじゃない、こっちにこい」って言ってくれた。さっきのことは事情がよくわからないけど、最後に言われた言葉は多分ウミちゃんにとってすごく大事なアドバイスだよ。周りの言葉に耳を傾けたら、きっと違う風景が見えてくるよ。あなたは悪いことをしてるわけじゃない。でもそのやり方が少しだけずれてるんだと思う。その焦点があったとき、あなたはきっと無敵になれるよ。

まぁそんなわけで「中島海は嫌い」って思ってる人がいたとしたらちょっと考えてみてほしい。この子を否定することは、シンデレラストーリーにおける女性側の努力は無駄って言ってるに等しいかもしれないから。そりゃ「花より男子」みたいなストーリーのつくし側の存在になれたらより幸せかもしれないけれど、そのあたりで自分のスタンスが見えてくるかもですね。

「星の瞳のシルエット」 吉祥寺啓子の後日譚があったのか - この夜が明けるまであと百万の祈り

「中島海」さんと対照的な扱われ方をしているのが「星の瞳のシルエット」に出てきたおケイさん。海ちゃんはやりすぎだとしても、おケイさんみたいな女の子だったら、女性でも好きなんじゃないかなと。


余談。

花より男子」はそんなわけで後半がどうしても好きになれず私の中では名作と言い難いのですが「キャットストリート」はだいぶ好きでした。こちらは冗長さもなくほんとによい作品だと思う。

基本的にこの作者は「気が強そうに見えるけど内側で傷抱えてる女の子」が好きなのかなと。 そういう子の臆病なところを頑張れって後押しするような作品が好きな人は、この人の作品好きなんだろうなと。

第二シーズンやってるけどどうなんでしょうね。絵が変わりすぎててちょっと抵抗あるけど今のところは初代のようなうじうじしたところは少なくて読みやすいです。