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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「リーゼロッテと魔女の森」  

フルーツバスケット」「星は歌う」の高屋奈月さんの最新作。


「既存の作品とくらべて作品の雰囲気が明らかに違う、それが嬉しい」って気持になったので、この気持を誰かと共有したい!作品は読んでる前提なので、読んでない人にはナンノコッチャだと思うのですが、一人でいいから伝わってほしい!もし「フルーツバスケット」「星は歌う」を読んだことがあるけどこの作品まだ読んでないっていう人は2巻まででいいから読んで欲しい!



高屋奈月先生といえば、既存の作品は「トラウマ抱えまくり」「設定がヘビー」な登場人物まみれで、どうしても「重たい」雰囲気が強かった。でもこの「リーゼロッテと魔女の森」は今までとだいぶ雰囲気が違う。やはり主人公が抱えている問題はヘビー。それでも今までで一番「明るい」「前向きな」雰囲気がする作品になっており、高屋奈月先生がこういう雰囲気の作品描くようになったのだな、ということがなんだかとても嬉しい。

フルーツバスケット」ではとにかくボロボロの家庭環境(特に親子関係)で傷ついた人たちを「本田透」という、聖母というかアガペークラスの母性キャラ、を挿入することによって救済していくという物語だった。
詳しくはこのページがまとめてくれているので参照してください。 http://hirasaka001.blogspot.jp/2012/12/blog-post_27.html

フルーツバスケット」は素晴らしい作品だったけれど、本田透がいろんなものを背負いすぎだったように思う。次回作の「星が歌う」では基本的に親子関係がボロボロで傷ついた人を描くという路線は継続されたけれど、「本田透」のような圧倒的なキャラは登場せず、その分登場人物たちの相互関係や、個々人の自分で生きる意思の重要性が強調された。最後の「サクラ」のエピソードは締めくくりとしてふさわしかったと思う。(主人公のサクヤがどんどんかわいくなっていくのも好きだった)
http://yamakamu.com/archives/2060622.html


このように、この人の作品は今まで「生きるのがつらい」人ばかりが登場してきた。そういう人たちが再生していく姿を通して私達に「絶望の中でも、希望を失わず、未来を信じて祈ろう」とか「誰か一人でも大切な人がいたら、その人に恥じない、自分を誇れる自分になるようふんばろう」と訴えかけてきた。そういう暗いところ部分としっかり向き合いながら、それでも幸福に生きよと訴えかけるこの作品からは、当時読みながら少なからぬ励ましを頂いてきました。


そういったメッセージの芯の部分は最新作の「リーゼロッテと魔女の森」でもブレて無いのだけれど、この作品の場合、主人公が最初からすごく前向きなんですよね。この作品だけ読んだら、序盤ななんかは脳天気なお姫様が深く悩まずに自由に生きてるな、って思う読者の人がいるかもしれないほどです。暗さを感じさせない。しかも、本作の主人公であるリーゼロッテは、何度もつらい目にあうのに、めげない。希望を失わず、前向きに行動し続けます。


これ今まで読んできた人間からするとこのリーゼロッテの強さは、今までの作品で描かれていたようなところを乗り越えた地点からスタートしているように思うのです。今までの作品で描かれていたことの「先」が描かれるという期待がある。ファンとして、これほど嬉しい事はない。



このあたり、「彼氏彼女の事情」の後、読み心地が軽やかな作品を描かれるようになった津田先生や、「短篇集」「EDEN」でドロドロの世界観を描いた後で、やはり「ままならない現実」や「世界の残酷さ」を背景としつつも、登場人物に前向きさを感じる作品を描くようになった遠藤先生なんかを思い出して、ワクワクが止まりません。




(追記)
高屋先生、今連載お休み中なのですね…
http://nnht-natsuki.blog.so-net.ne.jp/2013-12-03

「アイリス・ゼロ」もまだか…
http://usachu.seesaa.net/article/400335623.html

ゆっくり療養していただいて、いつか連載が再開されることをお待ちしております……