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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「穴殺人」  恋愛の力ってスゲー!……になるのかな?

お前が大事にしているプライドなんて、一回の恋でゴミに変わる!

以前に1巻だけ読んで放置してた「穴殺人」というマンガの続きを読みました。すごく面白いか、他人にオススメできるか……と言われると正直言って微妙です。が、読み始めてしまうとついつい続きは読みたくなります。

「彼女は連続殺人犯!?」という極めてキャッチーなところからスタートする極めて中二病要素が強いマンガですが最終的には「恋愛のちからってすげー」ってところに落ち着くのかな?

この作品において恋愛の力は、生きる気力を失い自殺を図っていた主人公を蘇らせるだけでなく、平凡な主人公の倫理の壁をも壊すし、サイコパスの合理性やプライド、主義主張すら狂わせる。

「てかさ、ハチクロって後半、美大とか才能の葛藤とか関係なくね?」「まあ、恋愛話がすべてを覆い尽くしますな」「要するに、恋愛って、それおっぱじめると構築してきたすべてが崩壊し、展開していたすべてが凍りつき、ただ恋愛が圧倒的に物語を支配して、じゃあそれまで美大生活とか描いてたのなんなのよ、ってくらい他のすべてがどうでもよくなるよな」「それはげんしけんでも一緒だろ」「実は「2nd GIG」見ると攻殻ですらそうだ」「『素子ォォォォ~』なんて叫ぶバトーさんはまるで小学生だ」「恋愛ってスパイスにはならんよな、物語を暴力的にドライブさせはじめて、それ以外の要素を彼方に追いやるから」

http://d.hatena.ne.jp/Projectitoh/20061029#p1

結局のところ、殺人という行為ですら恋愛の前にはただのスパイスにすぎないのか。恋愛に勝てるものはいないというのだろうか。

今のところ主人公が突き抜けきってないかな、と思うけれど最終的にどこまで行けるかは気になります。



殺人というエンタメ要素と小難しいことを考える中二病要素がうまいこと絡み合えば……

この作品微妙に哲学的なことを考えてるんですよね。異常者というものを通して人の命やらつながりやら、そういうことを実に中二病的なアプローチで考える。これ自分が中学生くらいの時に読んだら結構ハマったかもしれない。

「ずっと一人でいると、他人と自分を比べたく成る。自分は普通なんだって確かめたく成る。
 逆に大勢と群れているときは他人と自分を比べたくない。
 自分が自分でいたい、と思う。異常でもいい。特別な人間でいたいと思う。」
 ようはバランスなのだ、と。宮市さんは言ってた。

とか「人と人のつながりを最も強く感じるにはどうすればよいのか」といったことを、異常者の立場からタブー抜きで考えているあたりはちょっとおもしろいです。


「中二病患者は理解を求めてる。しかし、それと同じくらい理解されたくないんだよ」 - この夜が明けるまであと百万の祈りでも取り上げましたけど、このあたりの問題をしっかり考えてもらっても良かったかな、と思うんですよね。そういう意味で宮市さん自身の思索がもっとわかると面白いのかもしれない。「罪と罰」やら「悪霊」やらみたいな展開もありえたかもしれない。そうすれば

主人公が犯罪者側のアニメが見たい
が求める作品になっていたかもしれません。


ただ、この作品の場合、あくま平凡な主人公視点で語られるため、この作品の持つ「毒」や「攻撃性」はこの視点からすごく緩和されており、その攻撃の矛先も結局うちうちで包み込んで、広がらずに収束してしまう印象を受けました。良い意味でも悪い意味でも主人公が本当に平凡なんですよね。

この点において、先駆者である「ザ・ワールド・イズ・マイン」や「未来日記」には及ばないかな、というのが今の印象。というかあのマンガはすごすぎる。

非常に思い切った設定でありながら、今のところ突き抜けきってない印象があってもどかしいですが、冒頭で述べたようにやはり続きは気になるのでまた完結したら読みたいと思います。