この夜が明けるまであと百万の祈り

とあるマンガ好きの備忘録です。私が元気づけられた出来事や作品について少しでも共有できたら嬉しいです。 ※記事を読まずにはてなスターを押して回る行為はお断りしております。

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「クロエの流儀」 

http://blog.livedoor.jp/reading7seeds/archives/51963392.html

何か、やましいことがあるでしょう?花のことをまず『生意気だ』と言う人は、必ず何か、やましさを抱えてる。何か、悪さをしたでしょう?理不尽なことをしませんでしたか?…力で押さえつけようとして、そして花とぶつかったんじゃないですか?

Amazonの評価は低かったです。評価をつけてる人の気持ちがわからんこともない。

少々物足りなさは感じる。 でも、私はこの作品結構好きです。

美少女にしかられたいおっさんホイホイ作品の系統

西森博之の作品に「事務員A子」という作品がある。作者ページによるとこんな作品。

確か、主人公のA子が気に障る奴を仕留める話。 まんまじゃないか…捻りを加えられないほど短いし、単行本に収録される予定がない。そんな、悲しいエピソードは含まれていない。

http://nishimori-hiroyuki.com/contents.html

この作品自体はひねりもなくそれほど面白いわけじゃない。が、このA子の精神はお茶にごすの浅川夏帆とか鋼鉄の華っ柱にも反映されていると思う。



②あと「今日のあすかショー」って作品がある。 文句なしの美少女に真正面から正論でツッコまれて翻弄される若者やおっさんたちの姿を見てニヤニヤする作品……なのかな?このコマはネットで有名ですよね。



③「大日本サムライガール」の神楽日毬や④「7SEEDS」の末黒野花など、とにかく文句なしの美少女が男どもをぶった切る、みたいな話は結構たくさんあると思う。 ⑤倉島圭の「24のひとみ」とかもあったなあこれちょっと違うけど。これ入れたら生徒会役員共とか入って違う方向になる……。大事なのは「臨死!!江古田ちゃん」みたいなのとは違うことだ。「美少女」が「二次元で」「自分のアバターである男の登場人物をばっさり切り捨てる」 こういう作品。他にも該当するやつがあれば教えて下さい。 フルメタの「千堂かなめ」も最初はそんな感じだったけど途中で挫折した、みたいな設定あったよね。 「灰と幻想のグリムガル」のメリイさんに正論で罵られるのもいいよね……。



「クロエの流儀」もこの系統だと思う。

たとえばこんな感じ。

電車の中でゲームをしながら前を見ずに歩いている子供。
子供はそのままクロエにぶつかる。
これに対して謝らずにむしろ文句を言いながら去ろうとする子供。
この男の子の頭をつかんで話しかけるクロエ。

「ぶつかったら、謝れ。それから、謝らなくていいように気をつけておけ」

(自分の行為に気づき謝る子供)「ご…めんなさい」

(笑顔で答えるクロエ)

(寄ってくる母親) 
「ちょっと、なにしてんの?子供が怖がってるでしょ!?
 ヒロくん大丈夫? 頭掴まれてなかった?」

(立ち上がって母親に話しかけるクロエ)

「子供の足を引っ張って、成長を止めるな愚か者。
 かわいい物を厳しくしかりしつけるのは怖くてツライか?
 だったらなおあら、その怖くて辛い言葉を、
 お前より愛情のない他人の口から浴びさせるな
 お前の子供は、お前の想定よりはるかに成長できる。
 そのことをゆめゆめ忘れるな」

ずっとこんな感じ。

……はっきり言ってクロエは話し方をまるで考えてない、ただ相手をぶった切るために言いたい言葉を発してるだけ。言ってることもその場の気分に流されておりいうことがぶれてたりする。 こんなのは、本来であれば伝わるわけがありません。はっきりいってクロエは賢いけど馬鹿なのです。本当に最初から最後までこのコンセプトだけで最初から最後まで通すというストロングスタイル。とにかくこのクロエというなんでもズケズケ言う子を、日本のいろんなシチュエーションに放り込んでみよう、というコーナーです。徹底しています。


同じ内容でも美少女がいえば赦される!……というファンタジーを活用する

私はこの作品、「マンガとしては」面白いと思います。ブログで同じことやってる奴がいても、それは面白くないしつまらないです。悲しいけど、何を言うかより誰がいうかが大事なのです。これは何言っても許されてしまうくらいの美少女がズケズケいうというファンタジーです。


この作品のクロエ、とにかくいろいろズバズバ言います。「普段は誰もその件について言葉を発しないでなんとなく見て見ぬふりをしたり流したりしていること」に対して、クロエはいちいち自身の意見を述べます。これについて、言ってることが正しいか正しくないかというと、結構突っ込みどころ多いです。その場の気分で発されている言葉も多く、5話などブレを感じさせる要素があります。でも「この作品の中では」クロエに誰も反論しません。クロエはいつも言いっ放しで去っていきます。基本的にはクロエが正しいとは言ってない。つまり、結論出してないんですね。この言葉を受けて自分がどう振る舞うか、クロエをどう評価するかは読者に委ねてる。というかそんなことはどうでも良くて、とにかくクロエというキャラを動かしたい。ただそれだけのように思えます。



作品中でクロエは言いっぱなしだから、それに対して怒ったり批判したりするのは作者の自由です。あなたはどう反応します?

私はこの作品メッチャクチャ面白いと思うんだよね。「こういうふうに言ってくれてスッキリした!」とも思わないし「この意見は間違いだ」とも思わない。ただ、クロエっていう非現実的なキャラが、非現実的な振る舞いをして周りを翻弄する、その様子を見て面白いなと思うんです。 フィクションだからこそ許されることをやってる。で、そこで言われてることについてちょっと考えてみる。こういうのすごく面白いことだと個人的には思う。なので、クロエの言い分が納得出来ないからといって作品の評価に★1をつけちゃうのはすごくもったいないと思うんだけどなあ。





まあ、それはそれとして、この作品はもう一捻り欲しかった。西森さんが事務員A子を単行本化しなかったのにはそれなりに理由があるなと思う。

具体的にはクロエという折角のキャラを掘り下げる何か、それがないなら多少のストーリーは欲しかったですね。 もっとこの子見ていたい感じだったので1巻で終わるの残念……