この夜が明けるまであと百万の祈り

とあるマンガ好きの備忘録です。私が元気づけられた出来事や作品について少しでも共有できたら嬉しいです。 ※記事を読まずにはてなスターを押して回る行為はお断りしております。

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「フラジャイル 病理医・岸京一郎の所見」 仕事にどうやってモチベーションやプライドを持つかという普遍的な問い

病理医が主人公なんてあったんだ。なにこれ俺得だと思ったらドラマ化してたらしい。テレビ持ってないので知らなかった。めっちゃ見たかった。

(読み飛ばしてもいい部分)病理医さんについて

多分いちいち私の話読まなくてもいいし、ドラマやマンガを見ればわかる話ですが、病理医の存在って大事なのです。


私は大学病院が定期的に行っている症例検討会(カンファレンス)に数回参加したことがあります。軍隊のように独特な言語表現を用いて、曖昧さを取り除く話し方も興味深いです*1が、それ以上にその判断が形成されていくプロセスがとても興味深いです。

確定診断って難しいものはほんとに難しいです。なにせ症状の可能性は山ほどありますからね。様々な可能性から、似たものを除外して、ピンポイントでこれだと決めなければ間違った医療行為をすることになってしまう。「医療ミス」っていうのは簡単だけど、「まずこの人の病気や障害はこれで間違いない」って突き止めるのが結構大変なのだと感じます。だから小さな病院でもレントゲン写真なんかは取れるけど、それだけではよくわからない時は、紹介状をもらって大学病院を訪れて、検査入院とかしたりしますよね。


大学病院側では、診断を少しでも正確に行うため、あるいはより最適な画像撮影を実現するために、数億円もするマシンがいくつも導入されているし、診断支援のツールの開発もどんどん国の金で進められるし、症例のDBの共有や、カンファレンスを通じた経験の共有なども行っています。



でも、これだけだと「画像から読み取れること」だけで診断するしかない。それだと限界がある。当然バイアスもある。


そんなわけで、それ以外の情報をもたらしてくれるのがこの病理医さん。

病理医ってのは黒子です。これが病理診断報告。院内の各診療科から持ち込まれた検体(尿や血液・体組織など)を評価して入力するのが仕事です。こういったものを分析して数値を見たり顕微鏡で観察します。この報告を参考にして、依頼元のドクターは診断を確定させたり治療の効果を測ったりします。
なので、病理医は患者と直接話をする機会はありません。

病理医は、体の中で何が起きているのかを調べる。血液や排泄物、細胞や体液を分析して、なぜそうなったか、今どうなっているか。原因と機序には必ず因果関係があり、目で見えないところからその答えを探し出す。それが病理の仕事だ。

病理医は、医者全体の0.6%、2000人くらいしかいない

実際に、この病理報告は診断に重要な役割を果たすことがあります。最初違った確定診断になりかけていたところが、この病理の報告によって別の診断に切り替わったこともあります。

病院の仕事に重要でないものなんてないかもしれませんが、それを見たとき「病理医すげえなあ」と素人ながらに興味持っていました。

「その仕事にどうやってモチベーションやプライドを持つか」という普遍的な問い

ここまでなら私のように外部の人間でもちょっと興味を持てばわかることなんですが、彼らがどういう風に普段仕事をしていて、病院の中で他の部署とどう連携しているのか。そんな人間関係がドラマ仕立てで描かれてるのだから、私的にはめちゃくちゃ面白かったです。


病院ものって最初イメージをつかみにくくてとっつきにくいですし、やっぱり素人だとそこに描かれてる細かい専門的な単語とかはわからないのですが、何よりも真剣に人と向き合う職業だからドラマにしやすいのでしょうね。 

この作品の主人公も、一見職業がらひねくれてますがこの仕事にプライドをもっており、他者と衝突しながらも妥協せず所見を出していきます。

「患者を治療しないのに、どうやってモチベーション保つのよ。データを出して意見を付随させるのが仕事っていったって、治療の決定権は臨床医のものでしょ?」

病理医は、他科の臨床医と対立することはあっても、患者に感謝されることはない。あるのは責任だけだ。誰も診断を助けてくれない。後悔しないか?

あたりを読みながら「自分は何のために仕事をするのか」みたいなことを考えたりしました。

繰り返しになりますけど、いやこれほんと面白いです。たぶんドラマだと、よりリアリティがあって楽しめたのではないかと思います。ドラマ見た人良かったら感想教えてください。



マンガは1巻がkindle無料になってます。



おまけ サットンの法則について

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本来は診断に関する基本原理……だよね? これは聞いたことあるもん。

病名を特定する診断で、病状を最初に診断するとき「診断結果を無定見に羅列するのではなく、最も確かな疾患から順に挙げる」

「最も確実な診断をするには、余分な検査を省いて肝心な検査だけに集中させ、最も安価な検査費で、治療法を迅速に見つける」ように諭している


だけど、この作品ではこの態度がバカにされてるっぽい?

目の前の事象にとらわれて、ほかの可能性が見れなくなること。

咳、すなわち風邪ってわけじゃないでしょ?あの先生、違った角度からものをみれないの。それで何度も失敗してるくせに。

このシーンだけ見ても、この作品の登場人物はひねくれてるなーってわかって面白かった(笑)



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*1:このあたりで私が外部者であることがまるわかりですね