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日本における格差と再分配って実際にはどうなってるの?

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国際比較からみた日本社会の特徴

基礎知識としてはこの資料が有名のようです。
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/12/dl/1-05.pdf

アベノミクス批判でもっともよく言われるのが「再分配」です。
んで、格差については「ジニ係数」と呼ばれるものがよく使われます(低い方が格差が少ない)
そのジニ係数の推移や詳細を見ていくことが重要になるのかなと思います。


2008年時点でのジニ係数

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これによると、2008年時点ではジニ係数は再分配前は0.462。再分配後は0.329です。

2000年からあまり変わってはいませんが、経済全体が停滞しておりあまり望ましい状況ではありません。


格差拡大の要因は労働賃金においては正規非正規雇用問題、家庭所得の格差については高齢化が原因

http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je09/09b03020.html

要因分解した結果を見ると、97年から2002年にかけては、非正規雇用の増加(構造変化)が大きく、グループ間賃金格差の縮小の程度を大きく上回ったため、格差が拡大する結果となったことが分かる。
(中略)
非正規雇用者の増加が労働所得の格差拡大の主因となっていることが理解できる。こうした動きは、前節で見た労働市場の二極化の動きともある程度整合的であると考えられる。

89年以降、同一年齢階層内の格差の変化は常に全体の格差を縮小させる方向に働いており、年齢階層内の所得格差は縮小していることが分かる。第二に、異なる年齢階層間の格差は当初格差拡大に効いていたが、94年以降は格差縮小に働くようになった。第三に、年齢構成の変化、すなわち高齢化等は常に格差を拡大する方向に働いており、その程度も大きい

2013年(アベノミクス開始時)時点でのジニ係数

これに対して、2013年の調査では
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12605000-Seisakutoukatsukan-Seisakuhyoukakanshitsu/h23hou_5.pdf

今回調査では当初所得ジニ係数 0.5536 に対して、再分配所得ジニ係数は 0.3791となり、所得再分配によって所得の均等化が進んでいる。所得再分配によるジニ係数の改善度(※)は、31.5 %で過去最高になっている。

とのことです。格差は拡大しているけれど、再分配によるジニ係数の改善度はそれほど悪くはないように見えます。
※後で説明しますが日本の再分配政策は「効率的」ではないようです。


アベノミクス下における格差拡大の要因は「資産の値上がり益」

https://thepage.jp/detail/20150427-00000002-wordleaf

格差拡大の原因は、多くが株の値上がり益であり、これを除いて計算すると、所得がもっとも低い地域の何倍になるかという数字は、2010年と2013年でほとんど違いがありません。

このあたりはピケティさんが来た時に一時的に話題になりましたがそれ以外でちゃんと議論されていないように思います。



再分配云々を言うなら、男女の賃金格差のほうが国際比較では重要度が大きいようです。

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その他日本が圧倒的に国際的に問題を抱えている点

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格差とは違うものの、こういう観点で考えていく必要があるかなと思います。


単に再分配が足りないというのではなく、日本の再分配政策の問題点を理解したうえで、的確な再分配を要求するべき

この資料が非常によくまとまってると思います。
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2015/__icsFiles/afieldfile/2015/07/16/27zen14kai5.pdf

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この問題について考える際は「21世紀の資本論」を読んでもいいですが、その翻訳者である山形浩生さん推奨のこの本がおすすめです。

ピケティ カテゴリーの記事一覧 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

あと個人的にわかりやすかったのはこの本。



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