この夜が明けるまであと百万の祈り

とあるマンガ好きの備忘録です。私が元気づけられた出来事や作品について少しでも共有できたら嬉しいです。 ※記事を読まずにはてなスターを押して回る行為はお断りしております。

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傷だらけの悪魔  親にキラキラネームを名付けられた子供はどう考えているか

校内でのいじめを描いた作品。以前も一度紹介しています。
「いじめはなくせると思いますか?」 ムリダナ(・×・) と思ってしまうマンガ「傷だらけの悪魔」 - この夜が明けるまであと百万の祈り

最近はテーマが「親にキラキラネームを名付けられた子供の話」になってて、これは今までの話を知らなくても読める独立したエピソードになっています。興味ある人はこのエピソードからでも読んでみてください。


まず最初に

私は子供にキラキラネームやDQNネームを付ける親が心底嫌いです。で、そういう名前を付けられた子供はかわいそうだと思ってしまいます。

これ、一般論としては間違ってないと思います。ただ、じゃあ実際に名前を付けられた子供は私のような考え方をする人に対してはどう感じるかは別です。

私の言ってることは「正論」ではあるでしょう。でも本人にとっては「正論」を言われても何の助けにもならない。実際にそういう名前を付けられて苦しい気持ちをずっと味わってる人が求めているのはそういう反応ではないかもしれない。よけい惨めな気持ちをさせられるから放っておいてほしいと思っているかもしれない。

このマンガでは「当事者の視点」を見事にガツンと突きつけられます。もちろんこのマンガが「正解」だとは思いませんが、なかなかに興味深いです。


①「自分が周りと比べておかしい」ということへの理解

・「一般的にほかの子が経験することは経験させてあげたい」親としてそういう考えはあるのに。どうして、普通の名前だったなら、経験しなくてよかったはずの苦しみを自分の子供に与えることには寛容でいられるのだろう。

まずこれを受け入れるまでに相当苦労する。気づくのが遅れると致命的なダメージを受ける。

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②あきらめの境地

・早い時期から、あらがうことはあきらめていた。自分がおかしいのだ。事実だから仕方ないのだと。

・名前のせいで受けてきた「正論」と「偏見」という暴力は、自然と俺を人の輪から遠ざけた。何もせずともフィルターをかけられてしまうから、いちいち相手をしたくなかった。

・名前が変なのは俺のせいじゃない。でも責めてくるやつらを黙らせられない。一人二人は黙らせられたとしても次々と湧いてくる。お前らが見ているのは俺自身?それとも名前という記号だけ?うんざりなんだよ。もうそれなら、俺のことは空気だと思ってくれ。

俺は目立ってはいけない。好かれても嫌われてもいけない。何にも本気にはならない。

「貧困女子高生」や「障害者」に関する話題とよく似ていると思います。実際、これも偏見ですが、おそらくキラキラネームと世帯年収はかなり相関関係はあるでしょう。

本人にはどうしようもないことでも「貧困」である限り、普通の人なら責められないことでも責められる。「障害」である限り特別扱いされたり見下されたりする。普通の人より頑張っても否定されたりする。その理不尽は心を折るに十分。

しかも大変なのが*1大半の人はそれほど悪気がなくこういう人たちを否定してしまうということ。「やめてくれ」というと、「お前の味方をしてるのに」「このままではいけないからアドバイスをしてやってるのに」となってしまいがち。私もそういう気持ちになるのは否定できない。でも、それはぐっと抑えないといけないかもしれない。。


③親に対する複雑な感情を表現できないままふさぎ込む

「頭のおかしい親に変な名前を付けられてかわいそう。」それを言われて俺が喜ぶとでも?慰められるとでも思ってるのか?バカいうな。

バカで若作りで世間知らずだけれど。子供を愛する気持ちは普通の母親たちと変わらないんだ。この人のせいでずいぶん嫌な思いをした。それでも心では叫んでた。そんなどうしようもない母を、俺だって愛しているから、母さんを悪く言わないでくれ

これについては同意しかねるけれれど、子供がそう考えている可能性もある、くらいには思っておいた方が良いかもしれない。

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④「私は気にしない」とか「お前も気にするな」と言われるのが一番嫌い

何が「気にするな」だ。それがやさしさだとでも思ってんのか?ふざけんな!勝手に周りが騒ぐのに、なんで俺が我慢するのが前提なんだよ!
お前は自覚ないだろうけどな。お前みたいなこと言ってくる奴何人もいたよ。わかったようなこと言ってすり寄って、優しい自分に酔っている。こっちがそれに気づいてないと思ってな。お前は俺の心を刺してるんだよ。わかるんだよ。かわいそうだって見下してるのがな。

いくら寂しくてもな。そういうやつにすがることがみじめだってのがわかんねーのかよ!

これは差別問題でよく話題になるやつ。

ずっととある要因で指をさされてきた人間は常に怯えている。「それが問題ではない」「それによって傷つけられることは絶対にあってはいけない」というルールが確立されるまで安心できることはない。
そういう時に「俺は気にしない」は当然不十分。まして「お前も気にするな」は「ごちゃごちゃ言うな。騒ぐな」と言われている気分になるだろう。

はてなではよくこの無神経なコメントが発端になって毎回同じような炎上が起きているが、基本的に「差別」的なものに苦しんでる人について言及するときこの手の発言をしないように気を付けたほうが良いだろう。*2

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などなど、結構自分の中で、反省させられるところが多いエピソードでした。

COMICOは従来のマンガでは読めないような作品が読めるから好き

この作品、マンガとしてはかなり下手だと思います。

とはいってもそれは「今までの単行本で読むマンガという形式」で考えると、という意味です。従来の、雑誌で紙面を争うという競争においては、読むと異常にテンポが悪く、構成もへたくそなのでまず生き残れないやつでしょう。

でも、なんか気になって読んでしまいます。作者が一生懸命考えて、思いついたことはしっかり描写しようとしてるからなんだと思います。まさに「Webマンガ」としか言いようがない作品だと思うので、是非kindleではなく、Webで読んでみてください。




……って思ったら、人気高いのね。映画化するらしい。

正直、描いているものは今まで読んできたいじめマンガの中でも相当丁寧だと思う。その分原作は異常に冗長なので、映画でどういう風にまとめ切るのが楽しみです。

*1:2ちゃんやはてなの一部の屑は悪意を持って行ってるんでしょうが

*2:ただ、残念なことに、この手の人たちの中に自分たちの被害を訴えながら、同じ人物がオタクに対しては自分たちがされて嫌なことを平気でするし、その人たちが反論したら過剰反応だといって黙らせようとするんだよね。オタク側もまた同じ。どっちもそれぞれの運動の底辺層なんだけれど、この人たちほんと目と耳と口と鼻ふさいでほしい