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WELQ騒動について思うこと。

WELQというサイトに関する騒動に関するひとりごと。

WELQはなぜ批判されているのか

医療情報キュレーションサイトWELQが、儲かるからと行って、素人に記事を書かせてチェックもせずにデマやパクリ、薬事法違反だらけの記事を大量に作成し、ネットを著しく汚染したことで批判されています。

前々から医療についていい加減な情報を書いてアフィで儲けようとする人間のクズは目立っていましたが、大企業であるDeNAがそれを堂々とやっていたことで、アドテクの限界やSEO業者の倫理などが問われる問題になりそうですね。

正直、前々からずっと批判されてたのに、こうして告発されるまでろくな対応をしてこなかったあたり「PCデポ」と同レベルの社会的制裁が必要な案件だと思いますが、アドテクは複雑化しすぎてるので、責任追及は難しそうだなぁ…。


牧歌的な時代の、サイトの作り手と広告主の関係

これに関し、私が大学生の頃、医療情報に関するポータルサイトを作ってる某N社でアルバイトをしてたことがあるので、そのあたり思い出しつつ語ってみます。

その頃はまだいまみたいに個人単位で記事を書いて、記事単位に広告を、なんて便利なしくみはなかった。だから会社単位でHPを作り、HP単位で広告をもらってくる時代だった。会社がアルバイトを雇ってデータ調べや、薬品に対する原稿執筆をさせ、会社がチェックしてきちんとしたページを作る。そういう、今からしたら手間がかかるやり方をやっていた。


しかも、今みたいにアフィリエイトはなかった。あくまで企業の広告に対して、企業が広告を出す。まだそんな頃の話だ。つまり、広告はいちいち営業が企業にいって枠をもらってくるそんなやりかただった。ネットも、最初は雑誌メディアと同じようなやり方をやってたわけですね。


記事の作り方も、広告の取ってきかたも、今からしたらのんびりしてて、非効率だった。個人レベルでできるような時代ではなかった。それと比べると、個人で記事を書いて、それを発信して、営業をせずとも勝手に広告を出してくれる、今のしくみは恐ろしく進化したよね。すごく便利になった。これ自体はいいことだと思う。


ただ、のんびりしてるからこそよかったともある。その時は情報を見るのは個人であっても、お金を出してくれる企業はHPの中身を必ずチェックする。いい加減なことを書いてたらやっぱり広告なんかすぐに出してくれなくなる。それが当然だった。だから、自分はバイトだったけど、薬品などの情報については、ちゃんと専門書をチェックして情報をあつめるよう指示されたし、原稿についてはそれぞれの製薬会社の人に連絡してチェックしてもらう必要があった。信頼できる情報であるとお墨付きをもらった上で、正社員の編集の人にさらにチェックをしてもらった。そこまでしてようやく営業に持っていける状態になった。


そういう経験があるので、はてなブログでよく見かける「信頼が出来ない情報を書いてお金をもらえると思ってる人間」「自分の書いてる情報に責任を持てないくせに、ブログ書いてお金かせごう」としてるやつは本当にクズだと思うわけですね。googleアドセンスに嫌われるとかどうとかでギャーギャー騒いでる人間いるけど、個人的にはそういうの心底アホらしいしこいつら全員○ねって思ってます。(真面目にやってる人ごめんなさい)


今すごい便利なのはいいんだけれど…

でも、その後アドセンスが誕生し簡単にPVをお金に変えることができるようになり、さら各種アドテクが進化していくことによって、もう書き手は広告主に対して営業や交渉をする必要がなくなりました。コミュ障にとって本当にいい時代になったと思います。

ただ、逆に言えば広告主は「パフォーマンス」しか見なくなってきてたりしますよね。

DSP、SSPの仕組みと特徴|デジタルマーケティングラボ
日本一やさしいアドテク教室 - DSP/SSP/RTB/DMPの登場 | 株式会社サイバーエージェント
*1

広告主が今どんな感じでネット広告を運用しているのか話を聞いたことが有ります。もうね、ほんとに全く自分がどういうサイトに広告出してるか、その内容は見てません。やってることが「トレード」のセカイなんですね。広告出稿料のコストとリターンを見てるだけ。実際は少しアナログなところもありますが、こんなことやってたら近いうちに広告運用は人工知能が取って代わるようになると感じました。 そういう状態に「最適化」しようとしたら、WELQみたいなのが生まれてくるのもしかた無いのかな、と思わなくもない。


便利になりすぎて、広告主が、自分がどういう内容の記事に広告を出しているのかを把握できない時代において、記事の内容は誰がどうやってチェックするのか

ただ、そうやってパフォーマンスだけ見ていると落とし穴にハマる。今回のWELQはあくまでそういう話でしょう。

それ以前から、大学生が「出会い系」のアフィ中心のブログを運営して月100マン稼ぎました、みたいなことを堂々とブログでかいてそれが評価されるとか、自分が仕事してないくせに炎上記事書いてはせっせと「転職系サイト」のアフィを貼る人間のクズアフィリエイターとか、そんなんがゴロゴロ目立つようになってて、とっくにモラルハザードは起きてたわけです。もうほんとに今更、です。


広告主は、今までずっと効率化の恩恵を受けてきましたが、いい加減やりすぎなわけですね。今後は、こういうクソアフィリエイターをちゃんと監視して、クソアフィリエイトサイトなどからは広告出稿を完全排除するようにしていかないと、レピュテーションリスクを負うようになってくると思います。


こちらとしても、クソみたいなサイトを見かけた時、積極的に「そのサイトに広告が出た商品や会社」を批判していくべきだと思います。そうやって、広告主が便利さゆえに見過ごしてきた意識を取り戻してもらう必要があるところまで来てるんじゃないかなと思います。

とりあえず一部だけでいいから広告の基本に立ち返りましょう

その手始めとしてWELQに広告が表示されるようになってる会社はちゃんとリスクを負ってもらいたいですね。そうしないと、今ってどんなことをやってもPV集めたほうが勝ちになる。googleのアップデートは、クソヤロウの悪知恵に負けてる。

コンテンツの質の維持はまだテクノロジだけでは解決できないということがわかったのだから、いったん基本に立ち返って「広告主が、中身を見て、問題のあるコンテンツには一切進出しない」「広告主は、変なサイトに出稿したらリスクや責任を負う」という要素を取り戻すべきだと思います。


別に不便だった頃の昔に戻れという話ではなく。今の効率しか考えてないシステムは問題あるから、ちゃんとそこを踏まえた、責任あるしくみに進化しましょうってことです。

*1:はてなの人はサイバーエージェントをキラキラ営業とかだけ見てバカにしてる人未だにいますけど、ここ技術力もスゴイですよ。数少ないクリテオの★5パートナーの1つですしね