この夜が明けるまであと百万の祈り

私が元気づけられた出来事や作品についてのメモ。最近TED聴き始めました

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「オフィス北極星」 リスクコンサルタントが主人公の話

文化コードの違いによっては男の女性に対する振る舞いは犯罪にすらなるという話 - この夜が明けるまであと百万の祈り
でも触れましたが、この作品は私の中では★5(自分の価値観に影響があるレベル)ですごいお気に入りです。

勇午」の作者が原作なので、「勇午」好きな人なら読んでると思いますが、この作品は「勇午」より射程範囲が広いので、より多くの人に読んでほしい。最後の終わり方からして明らかに打ち切りなので人気がそれほどなかったのだと思いますし、知名度低いですが超おすすめしたい。

コミュニケーション「コスト」を上回る、コミュニケーション「リスク」について

人間の諍いというのは「事実認識」が異なっているレベルなら話し合いで解決できますが、「価値観」や「前提」が違っている場合、お互いがその違いを理解していないといくら話し合っても平行線になるか殺し合いになります。日本ではなあなあで済ませることもありますが、訴訟大国アメリカでは、どちらが正しくて、どちらが間違いかはっきり白黒をつけます。敗者はすべてを否定されます。


そんななか、この作品の主人公は弁護士ではなく「リスクコンサルタント」という仕事をしています。日本とアメリカの慣習や価値観の違いに寄る摩擦やトラブルに対して、両者の橋渡しをします。言葉の翻訳ではなく価値観の翻訳といったところでしょうか。個人なら価値観が合わない人からは遠ざかれば良い。しかし法人はそういうわけにも行かず、放置しておくと大変なリスクになりますから、コストを払ってでもこういう人を雇って対応するわけですね。


日本では未だに、あまりにも前時代的なセクハラやパワハラが時々ニュースになりますし
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DeNAWelq騒動のように、企業が自社に閉じた論理で暴走して不祥事を起こし、さらにその後の対処も間違うというケースが特にネット企業で散見され、この「コミュニケーションリスク」への対応は非常に未熟なように感じます。これは「マーケティング」の一部であり、ここの意識が弱いということはマーケティングに関する意識も弱く、未だに前時代的な営業がメインになってるということです。今年は電通の企業体質が問題になりましたが、日本を代表する大企業でそれなんですね。日本の労働生産性の議論をする際に、なぜか社内での働き方ばかり議論にする記事が非常に多いですが、要因としてははるかにこっちのほうが多いと思うのですよね。

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リスクコンサルタントとしては、ネットで2ちゃんでの監視・火消しをする「ホットリンク」やら「ピットクルー」みたいな会社もあります。ビッグデータみたいに「データ」として対応をする会社はさらにたくさんあります。しかし、本質的なところでこういう対応をするプロってどれほどいるのか、というと私はあんまり知りません。

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DeNAのように「日経平均225」に採用されるような一流企業が、初歩的なレベルでコミュニケーションリスクに対応できない。外部にしれたらすぐに問題に成るようなことを平気でやる。そういう内部の判断基準が腐りきっている状態では、いくら事後対応のサービスを利用したり、ビッグデータを活用したりしても意味がないでしょう。

サニーサイドアップ」のように優れた取り組みを行っている会社もあります。ここは個人だけでなく企業向けにもやってますからね。
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企業だって自前でいろいろ考えてはいるのだと思いますが、本当に大丈夫なんだろうか、って思います。



「リスクマネジメント」の重要性がようやく浸透していた今こそこのマンガは面白いと思う。作品は古いけど、描かれている問題は今でもそんなに変わっていないと思う

まぁそういう企業体質、企業コミュニケーションの根っこに関わる問題に携わる「リスクコンサルタント」が主人公のお話を、15年以上前に描いていたのだから、本当にすごいと思います。(まぁ同時に、当時の日本人にはピンと来なくて売れなかったのも仕方ないかもしれません)


こういう設定だけでもすごい面白いのですが、主人公の豪のキャラクターがめちゃくちゃ魅力的なのです。「勇午」ファンならこの作者の描く主人公が格好いいのはご存知かと思いますが、「オフィス北極星」でも、異国の地で一人独立した存在として、大企業を相手にしても一歩もひかず己の道を突き進んでいく。それでいて、仕事の性質上、自分の正義を押し付けるのではなく争う両者のお互いの立場を理解してベストな着地点を模索する大人な一面もあります。若い時に読んでもこの人格好いいなあと思っていたけれど、今読むと尊敬の念を感じます。



まぁいろいろ書いても魅力を伝えきれる気がしないので、とにかく読んでみて欲しい。特に7巻は前の記事で書いたように、自分の価値観に強い影響を与える作品です。

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