「希有馬屋さんにこういう真面目な話させたらダメだろ!」という感想しかないです。これは内田樹に外交とか経済語らせるのと同じようなもので、「ほのぼの家庭はなし」が上手にできるからと言って、なんでそういう人に経済の話をさせようとするのか。もしやるなら、爆笑問題みたいに、ちゃんと先生の話を夫婦で聞く、って形にしないとダメだと思う。井上さんの余計なフィルターや強引な説明が入ることで、相当歪んで話が伝わる危険性が高いです。もっといえば、精神科医の「ゆうきゆう」さんが、害のないあるある話だけやっている頃は面白いから人気だったけれど、社会問題などについて「説明」をしようとしだした頃からだんだんと有害なコンテンツになっていったのと同じ流れを感じます。
「飯田泰之先生の監修」がどこまで機能するかがかなり重要ですが、希有馬屋さんは今までの経緯ご存じの方ならおわかりの通り非常に大雑把な人であり、細かいところで強引な説明や大事なところをすっ飛ばしたりが今後もあったりしそうなので、相当警戒して読んだほうが良いと思います。
有事の際に日本円が買われる理由は「日本が信頼されてるから」と言ってる人がいたらその人の話はすこし眉唾だと思ったほうが良い
アウトォォォ!
「日本の財政は財務省が問題視するよりは健全」であるのは本当です。どうせこれ「統合政府純債務対GDP比」の話でしょ? ある条件をみたす限りは、健全って言えるかもね。
また有事の際に日本円が買われるのも事実です。
バラバラに切り離したら2つとも嘘ではない。しかし、この2つをつなげて「日本の財政は健全」であることの論拠として「有事の際の日本円買い」を上げるのはアウトでしょう。
どっちも本当のことではあるけれどこの2つをつながっているように言うのはほとんど詐欺であり、この時点でもうコンテンツの信頼性がかなりガタ落ちします。
ここだけでも覚えて帰ってほしいのですが、
有事の際に円が買われる理由は日本が信頼されているから、ではないです。
発想が逆なんです。
「普段は、円がドルやユーロに比べて売られている」のです。だから有事の際に買い戻されるのです。
買われてるんじゃなくて、溜まりに溜まった売りポジションが解消されているのです。
詳しくはこの記事にかかれているので読んでほしいのですが
なぜ金融危機が起きた時、「円」は「安全通貨」として買われるのか? - 俺の遺言を聴いてほしい
リスク許容度が低下した時に円が買われるのは、
①円を資本調達通貨として高金利通貨やエマージング市場に投資を行っていた投資家や企業が
②リスクを避けるために海外投資を手仕舞い
③円を買い戻しているからである。
通常時に円安=円売りポジションが溜まってるから、リスクオフの時にポジション解消のために「買い戻し」が発生するだけです。
実際に今のポジションはこんな感じです。
見方がわからない人は「無茶苦茶売りポジションが溜まっている」と理解してくれれば良いです。
もっとわかりやすい図だとこちら。 これは「円インデックス」と言って円が他の通過に比べてどのくらい強いかを示しています。
上がアベノミクス始まってから。下がチャイナショック以降の円インデックスの動きです。
GalleryView | Free Charts | StockCharts.com
今はかなーり売られてますね。 今有事になったら、すごい勢いで円が買い戻されると思いますよ。
ちなみに、上のアベノミクス以前の円インデックスの値を見てもらえば分かる通り、
本来は円はもっと高い位置にあるのが自然なのです。 だって日本は大幅に経常黒字の国だからね。
つまり、大事なのは、なんでアベノミクスが始まって依頼、円はドルやユーロに比べて売られているのか、ということです。これを考えるべきなんですね。
まぁ興味ない人には退屈だろうから、興味ある人だけこちらの記事を読んでみてください。
このあたりごまかす気まんまんやん。
「それについてはのちのち説明します。長くなるので」
と言ってるので今回はツッコミませんが、これ全然大丈夫じゃないです。
日本がハイパーインフレにならないのは日銀が国債を買うからであり、
「日銀が買って大量に市場に資金を供給しているのにインフレになってない、日本は大丈夫」は嘘でしょう。
「日銀が買っている限りにおいて大丈夫」のどこが「日本政府が大丈夫ってことなんだよ!」なのかわかりません。
つい最近も、ちょっと日本国債が売られて長期国債利回りが上がり始めた瞬間にすぐ日銀が介入してきたんよ?
つまり日本は「金融抑圧」状態なのであって、自然にインフレが抑えられてるわけじゃないからこれも日本大丈夫の根拠にはならない。
一方アメリカはトランプ大統領になってから国債が売られ、利回りが大幅上昇し、それによって株高になりました。
日本は、これが出来ない。出来ないから物価も上がらないし、給料も上がらない。
そもそも日銀が国債を買うだけで日本にお金が出回るわけでもなく、実際そうならなかったから、準備金に対するマイナス金利まで発動したことが全く説明されてない。
日本で国債利回りを上げることは、国債金利の支払いだけで財政がやばくなるので出来ません。
さらに、日銀が銀行から国債を買い上げてしまうので金はじゃぶじゃぶに余ってるのに投資先がなくて銀行はしんどい。
国債利回りを上げずにインフレを実現しようとするなんて本当にできるのか?っていう問には誰も答えられない。
しかし、いつかインフレを実現して増税もしなければならないのに、
いつまでもインフレターゲットが達成できないことを理由に国債買い入れを続け、増税が出来ないまま先送りを続ける。
今はアメリカやヨーロッパの経済が上向きだから日経平均はそれにつられて向上しているが、実際のところ先送りを続けてるだけ。
他の国がテーパリングを始めているのに自分たちだけ脱出口を見いだせないのが日本って国なんですよ。
(実質的テーパリングという話もありますし、国債買いは今はETF買いに切り替わってるので出口を意識しているのは間違いないのですが、まぁ無理でしょう)
日銀は、すでにステルステーパリングにより緩和縮小を始めているのか | FXの初心者向け為替相場を勉強するサイト:スプレッド&スワップ比較
延々と続けられる先送り。
それでも日本が「経常収支が黒字である限りは」大丈夫ですがこれがだめになって、かつ日銀が国債を買うのをやめたらどうするのかな?
とか考えた時に、安易に「日本は大丈夫!」を連呼してるこの漫画はなんか違和感が強いよね。
「デフレの今こそ政府がお金を使うべき」も半分正しいが半分危ない
これもなぁ……。「半分正しい」ってのがタチ悪い。
長谷川豊さんの言ってることは1割正しい代わりに9割間違ってるから普通の人でも間違ってるってわかるんだけどこれ、だめな部分がわからない人いるんじゃないかな、と。
力尽きたのでこちらを引用しておきます。
デフレの時はいくら借金(国債発行)してもいいんだ。だから国債で医療費を賄ってもいいんだというのは、一応正しいが、問題はデフレじゃなくなった時に、いきなり困る
私も反緊縮だし、「プライマリーバランスより経常黒字至上主義」であるけれど、それでもリフレ派の出口戦略に全く責任を示さない楽観論はあんまり好きじゃないです。