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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「貧乏神が!」「双星の陰陽師」  とにかく、この作者さんの空気感がすごい好き!

個人評価「貧乏神が!」は★4つ。「双星の陰陽師」は★3つ。今回は「双星の陰陽師」の話をします。

極めてオーソドックスな王道バトルもの。とりあえず第一部が9巻まで、10巻から第二部となるので、興味がある人は9巻まで読んでみるとよさげ。お試しでという人は3巻までは一気に読んでみてください。

類似作品は
寄生獣    ★★★★★
ベルセルク  ★★★★★
うしおととら ★★★★★
幽☆遊☆白書 ★★★★
ヘルシング  ★★★★
ARMS     ★★★★
鬼滅の刃   ★★★
東京喰種   ★★★
つぐもも   ★★★
屍姫     ★★
終わりのセラフ★★

あたりかな。

王道バトル者の中でも「悪と戦うために外法と呼ばれる力を使う主人公」というジャンルに属します。まっとうに修行して強くなるだけでなく「よくない力」に手を出すため
力の制御や、その倫理的責任や後始末まで考えなければいけない、当然力の源である人外の存在との理解や対話も必要になる、そういうたぐいの話です。

お前ら人間は弱いからいいんだよ。
弱いやつが弱いなりにあがいてもがいて、命を燃やして挑んでくるのがいいんだ

仇の力は要らぬと義をつらぬいて死ぬか、生きるため戦うため呪いを見に宿して這い上がるか
どちらか選べ

この手の作品では基本的に、良いものも悪いものも「人」が生み出すことになっていて、敵はだいたい有能な味方から「副作用的に発生」します。
この作品も霊にもれず、人の絶望や恨み、あたりが「ケガレ」となって出て来る。それらといかに対話していくか、という話になります。


このあたりまで含めて、作りがしっかりしている一方特に目新しい驚きはなく、実にオーソドックスな作品といえると思う。

絶望というものは外から与えられるものじゃない。
自分の中からでてくるものだ。

果たしてあんたが受け入れがたいと思っているものは、
本当にどうしようもないものなのか?

うしおととら」という作品がいかに完成度の高い物語なのかよくわかる。

この作品、物語全体の設定は「うしおととら」そのものです。

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ラスボスは白面の者。
そして、主人公の母親は一対一で長年白面の者を抑え続け、
主人公は「とら」「獣の槍」としていわくつきの「化野」家の娘をパートナーとして持つ。

うしおととらの場合はさらに「白面の者」と「妖怪」が反目しあっているという複雑な構造がありますが
この作品はもっとシンプルで「ケガレ」と人類との間の対決です。


これだけだと「うしおととら」のほうが面白いといえますが、この作品は、
主人公と陰陽の関係にある「ダークヒーロー」が存在します。

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この両者との関係は「ベルセルク」におけるグリフィスとガッツの関係になっていますね。

マクロにおいてしっかりした設定があり
その上できちんと主人公自身が戦う理由が用意されているので非常に読み応えがある作品となっています。


貧乏神が!」のときから、この作者さんが描く「前向きなキャラクターたち」や「初々しいカップル描写」がすごい好き

とまぁ、いろいろ既視感が強い作品なのですが、それでも私はこの作品すごく読んでて楽しいなと思います。というか、私はこの作者さんのことが前作「貧乏神が!」の時からめちゃくちゃ好きなんですよね。


何が好きかというと、かなり厳しい環境を描いているのに、登場人物はみんな、方向性こそ違うけど「嫌なキャラがいない」ということです。それぞれ自分の目的に対して真剣かつ前向きなんですよ。言い方があってるかどうかわからないけれど、私の定義する意味での「悪いヤツ」がいない。だから読んでて嫌な気分になることが全くないんですよ。

これって当たり前のようでなかなか難しいと思います。たとえば大人気作品の「ソードアート・オンライン」や「アクセル・ワールド」とかの敵役って作者サン自身が自分で言ってるようにゲスい人間がおおくて、読んでて不愉快なんですよね。そういうやつってこてんぱんにして懲らしめても私はあんまりスッキリしないのです。なので、私は敵キャラでも魅力があって、いなく成るときは寂しい、なんて感じさせてくれるようなそういうキャラを描いてくれる作品の方が私は好きなのです。んで、そういうキャラが集まってたら自然と仲良くなっていくのですが、またこいつらが不器用で、手探り手探り関係を深めていく描写ってのが自分的にはグッとくるんですね。とにかくキャラの描き方や関係性の描写が、ワタシ的にはすごいツボなのです。



貧乏神が!」の最終巻の大団円ぶりはほんとうにめちゃくちゃ素晴らしい出来で、、何回読み返してもニヤニヤしてしまう。「双星の陰陽師」についてはさすがに人が死んでたり、敵は人の負の想念が集まって出来た「ケガレ」なので、悪いやつはいない、なんてことはないです。それでもやっぱり「いやらしさ」はあんまり感じない。こういう安心感信頼感を感じる作家さんってすごくいいなと思うんですね。




こういう感覚を持つ作家さんは、有名な作家さんでいうと「CITYHUNTER」シリーズの北条司さんとか、「いいひと。」シリーズの高橋しんさん、「境界のRINNE」の高橋留美子さんなんかがいます。作家性ってストーリーとかもあるけど、こういう「空気感」みたいなところも大事だと思う……思わない?というわけで、前作「貧乏神が!」とあわせてこの作品もすごいお気に入りです。

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