この夜が明けるまであと百万の祈り

とあるマンガ好きの備忘録です。私が元気づけられた出来事や作品について少しでも共有できたら嬉しいです

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うみねこのなく頃にEPISODE5

EPISODE5は決して解決編というわけではない。(EPISODE6はほとんど解決編)そもそもゲームの前提が違う。ただ「夏妃の過去」だけは真実であり、それさえわかれば後はゲームがむちゃくちゃにされているって感じさえつかめればOK。

どちらかというとこちらは「幻想世界」を理解するための伏線がメインになる。

<主犯>
ヤス(内面はラムダデルタの創作)

<共犯>
夏妃と蔵臼以外全員(買収されている)

EPISODE5の位置づけ

ベアトリーチェと戦人のすれ違い」がポイント。

①まず戦人がヱリカの補助で「碑文の謎」を解く。

②しかしそれだけではベアトリーチェは復活しない。それどころか戦人はラムダのゲームで「夏妃犯人説」に屈する。これによって戦人が「ベアトリーチェが求める答え」にたどり着く目がなくなったため、ベアトリーチェが消滅する。

③しかし、その後戦人がベアトリーチェの謎を解き真相に気付く。戦人は真相に気付いたことで、「ベアトリーチェの魔法の仕組み」にも気づき、ベアトリーチェの魔法を継承する


一歩間に合わなかった、というところがポイント。




EPISODE1~4とEPISODE5の大きな違い2つとその影響


(1)探偵役の変更
EPISODE5は、たとえ嫌いであっても探偵役であるエリカの視点に焦点を合わせる必要があります。作品の描写では戦人視点ですが、戦人はもはやEPISODE4までの共犯たちと同じく「信用できない語り手」です。

EPISODE5からは、戦人視点では紗音と嘉音が一緒に出てくるシーンが多いのは、戦人が魔法を受け入れている側だということです。ここを拒否して、今までの癖で戦人のいうことを信じていると戦人は魔女側にたって事実でない情報を投げかけてくるので話が分からなくなります。 そういう意味で、ミステリーにおいて「探偵役が魅力的である」ってのはすごい大事だなぁと思いますね。


事件が始まる前は親族にいびられつづけ、EPISODE1以外ではほとんど見どころなくなんとなく殺されてしまう不憫なおばさんこと夏妃さんですが、

EPISODE5では今までの影の薄さが嘘のようにお立ち台の上に立ちます。とはいえ、やっぱりいじめられるのは変わらない。「真犯人がなんでここまで執拗に夏妃を陥れようとするのか」だけ考えてもヒントになりますよね。逆にラムダデルタからすれば「ここまでヒントあげなきゃわからないの?」という感じなのでしょうか。

「私がすきな季節は紗音にしか語っていないのに……」

で、本当に紗音が犯人だからね。今から考えたらめっちゃおちょくられてる感じ。




(2)ゲームマスターの変更
これにより、ゲームの目的自体が変わります。あくまでこれは「ベアトのゲーム」の残骸です。いわゆる「原作レ●プ」になっています。しかしこれもまた、八城一八が書いた作品なのです。


「魔法を認めさせる」とか「真実を戦人に知ってもらうこと」なんて全く考えておらず、むしろ真犯人を別の人間にすること、つまり「真実をゆがめること」を目的にしています。そのために「夏妃が犯人ではない」ことをこれ見よがしに戦人に見せつけつつ、そのうえでその間違った「夏妃が犯人」という結論を無理やり押し付けて戦人を屈服させる。ベアトリーチェとの戦いでのらりくらりとした態度を取っていた戦人に希望を持ち続けるベアトリーチェを殺すために、戦人の情けない姿を見せつける。


「原作●イプ」ぶりは徹底していて、真犯人の目的はラムダデルタによって恣意的にゆがめられます。この作品における「ホワイダニット」は、ヤスの真意とは異なるわけですね。そのせいでEPISODE1~4でヤスが厳密に守っていたルールがいくつか守られない。例えば碑文の謎を解いたにも関わらずその後も殺人を継続する。このEPISODEでは、ヤスはあくまで夏妃に復讐し、夏妃を貶めることが目的。皆殺しにするつもりもない。形だけはそれっぽくても魂が入っていない不完全な犯人像です。このあたり「偽書作家」の恣意的な解釈によって、六軒島の幻想がどんどん汚されていく危険性も暗示していますね。



EPISODE4までやってきて、ベアトリーチェが理不尽に見えていた人も、EPISODE5でラムダデルタのゲームを体験することで「ベアトリーチェは実はすごいフェアだった」ということを感じ取れるのではないでしょうか。



第一の夜

・夏妃は「夏妃の自室」で就寝

・食堂での親族会議にて謎のノックがあり扉を開けると魔女の手紙が出てくる。

・ゲストハウスで譲治、真里亞、楼座、朱志香が死亡

・使用人室で源次が死亡。

・蔵臼は夏妃と電話した直後に殺される。

<答え>
①そもそもノックはなかった=食堂にいた全員が共犯。
 「ここにいない人間いないの何か」をでっちあげるための嘘。

②譲治、真里亞、楼座、朱志香は死体発見時では死んでいない。
 全員が犯人に買収されていて共犯。特に南條がエリカをだましている。

③源次はこの時点では死んでいない。
 ヤス(嘉音)と熊沢が嘘をついている。

④蔵臼はそもそも電話に出ていない。電話の声はただの録音。

⑤ヤス(?)が蔵臼を殺害

⑥ヤス(?)が②の時点では生きていた4人を殺害。
 死んだあと遺体は移動していないと書いてあるので、死体発見場所が殺害現場。

⑦ヤス(?)が朝になってから源次を殺害。
 

第二の夜

・夏妃は1階の「客室」のクローゼットに隠れる。
・何者かが、夏妃が隠れたままの「客室」のクローゼットで秀吉を殺害。
・一同が「客室」で秀吉の死体を確認。夏妃には気づかず
・夏妃は「客室」を出て「夏妃の自室」に戻ろうとする途中でエリカと遭遇

①秀吉は客室の時点では殺されていない

②ヤス(?)が夏妃が客室を出た後で秀吉を殺害。


ゲームがむちゃくちゃにされている

ぶっちゃけ「動機」および「共犯を作れる財力」をこれ見よがしに見せつけられなければ、別にヤスでなくても犯行が可能な人物が複数存在する雑な仕掛けです。

そしてその「動機」も真実からは程遠い形であり、ヤスを貶めるようなものに変更されている。

結果として、このエピソードでは、犯人はみんながエリカのために仲よくごっこ遊びをしているところで一人わからぬように人を殺して回り、しかもそれを夏妃を嵌めるダメだけに行っている、という極悪人にされている。


また、本来であれば、碑文の謎を解いた時点で譲治と紗音が生存しているので、「紗音のルール」が発動するのだが、完全に無視されている。悪意を持ってラムダがこういうシナリオを作っている。これは、ゲームを投げ出したベアトへのお仕置きで、彼女が大事に作ったゲームを踏みにじることを目的にしているので仕方ないね。それでも、ベアトがゲームを投げ出して戦人が永久に手番なしで終わるよりは全然まし。



戦人はベアトリーチェに対して不誠実な態度を取っていたよね

EPISODE4でベアトリーチェは「約束を覚えてさえいなかった」戦人に絶望し、自分ではゲームの続きををする意欲を失っていたが、まだベルンやラムダに代行させる形でかろうじて現世にとどまっていた。せめて「事件の謎を解き、そこから少しでも自分のことに思い当たる」ことを期待していた。

しかしEP5でドラノールに戦人が倒され、戦人が「人間犯人説」をあきらめてしまったため、ベアトリーチェは完全にあきらめて消滅。一歩遅れて「戦人」が真相に気付くという展開になっている。

そもそも、戦人とベアトリーチェの戦いは、「魔女側が一つでも謎を残せていれば勝ち」という条件であり、これに勝つためには戦人が全ての謎を切り崩すことが必要であった。にも関わらず戦人の戦い方はひたすら「アンチファンタジー」「自分が認めなければ負けじゃない」という、ベアトリーチェがなげかける謎から逃げ回り、引き分け狙い、膠着状態を作ることを狙った戦い方だった。EPISODE2までは18人の誰も疑うことを拒否し、EPISODE3では、「解いてほしくて」問題を出しているということを理解したように見えたが、結局その後も戦い方は変わらずEPISODE3で絵羽が犯人であることを見てもなお、18人の中に犯人を見出すことを拒否してまともな推理をしようとしない。その場しのぎで抜け道みたいなのばかりを探そうとするだけだった。

そして、最終的にエリカに対してもさんざん見苦しく逃げ道を探した挙句に「夏妃犯人説」にあらがえぬまま屈する。

ベアトリーチェ」は解いてほしくて問題を出していたのだから、戦人のこの態度には失望したことだろう。そして、これは、私のように推理をせずに受け身でこの作品を読んでいた私のような人間への皮肉も込めているのかもしれない。


EPISODE5という偽書を作った八城一八の目的は自虐なのか?

現実においても、第一の晩が始まる前に碑文が解かれ、戦人は真実にたどり着かず、絶望したヤスは身投げをして死んだ後で、戦人(一八)が真実に気づき、偽書作家(黄金の真実の使い手)になる。

EPISODE3が記憶を取り戻す過程で描いた真実に近い話の暴露だとしたら、EPISODE5は記憶を取り戻し、かつ謎を解いた後でひたすらに自虐めいている様子が分かる。

EPISODE2以降の偽書作成は、戦人(一八)が記憶を取り戻しながらベアトリーチェが投げかけたメッセージをも復元していく作業なのでこういう形になっていると思われる。


EPISODE4とEPISODE5、EPISODE6と「狂言殺人」という形が続いている。もうEPISODE3の時点で屋敷で起きた惨劇については思い出しているが、ベアトリーチェの謎が解けていない状態だったのだと思われる。このため、惨劇の事実は思い出さないようにしたい、なかったことにしたいという願望を抱きながら、一方でベアトリーチェの謎を解きたいという気持ちで取り組んだ結果、こうなっているように思われる。


EPISODE6は、エリカが突如殺人犯にならなければ、幸せな記憶の中で、すべての登場人物に「ベアトリーチェという魔女」が認められる展開になっていたことだろう。



うみねこのなく頃に散 Episode5:End of the golden witch(6)(完) (ガンガンコミックスJOKER)

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