この夜が明けるまであと百万の祈り

私が元気づけられた出来事や作品についてのメモ。最近TED聴き始めました

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「煉獄のカルマ」CASE1  いじめっ子の主張に反論できるか

この作品はいじめについて扱っている作品。

個人的評価は前半は★1→後半は★無しです。

<あらすじ>

主人公はいじめを苦にして飛び降り自殺をする。

しかし自殺した後それで終わりではなく、主人公は自分が煉獄という場にいることに気づく。煉獄において、主人公は「自殺した罪」の影響により6人の人間が苦しむさまを見せつけられることになる。

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主人公は自分のために彼らが犠牲になることを拒み、何度もループしてその6人を救い出すために奮闘する。その過程で、この世界にも生きる価値はあったと気づき、もっと生きたかったと後悔する。気がつくと、本当に生き返っていた。

さて、自殺者が出て問題になったにも関わらず、主人公が生き返った後でもなにも解決はしていなかった。いじめの主犯は罰されることもなく、自分以外の人間がいじめのターゲットになって自殺寸前まで追い込まれていた。この人間は、もともと自分をいじめていたグループの人間だったが、それでも主人公はこの人間を救うため、いじめっ子の主犯であった人間と立ち向かうことを決意するのだった。

という感じで「いじめっこ虐殺ゲーム」を思い出すような作品。
「いじめっこ虐殺ゲーム」感想 強くなければ生きていけない。優しくなれなければ生きている資格がない - この夜が明けるまであと百万の祈り


正直なところ、こうしたプロット自体は誰でも考えつくところであろう。その上でその作品をどう面白くするかが肝心になる。

これについて、生き返る前の煉獄での展開は面白かったのだが、生き返って「いじめと立ち向かう」ことを決めた主人公の取る行動はあまりにお粗末でイライラする。


いじめっ子である「不和くん」の主張

勘弁してくれよ。今更シャシャられるこっちの身にもなってくれ!
いじめられてたときには歯向かわなかったくせに、歯向かうならもっと早くしなきゃだめだろ。そうしたらこんなことになりはしなかった。

いじめがエスカレートしたのは、歯向かわなかった君がいけないんだ。仕返しが怖いとか、親に心配かけたくないから相談しないとか、やり返したら相手と同レベルになるから嫌だとか他人を傷つけることは犯罪だとか。そんな詭弁が自分を守れるわけないんだからさ!

嫌なら、その場で抗わなきゃ!今の俺のように!それを今になって、これまでの我慢を爆発させてくるなんて、それはさすがに卑怯だろ

自分のことを棚に上げまくりだが、ここまでいうと清々しい。

このいじめっ子である不和くんが、もっと賢くて、手強い相手だったら読み応えのある作品だったと思う。この作品は「いじめられっ子」を主人公としておきながら「俺TUEEEEE」みたいな展開に成ってしまい少し物足りなかった。


「いじめは無くせると思いますか?」 いじめをなくそう、という発想では無理

「どうしたらいじめの連鎖はなくなるのかな?」


「なくならないんじゃないですかね?

 知ってました?私って、学校じゃ地味でサブキャラで、
 不和くんを好いていた2軍の女子たちよりも下だったの。
 まぁ、でも周りは見ないようにしてましたけどね。
 私には私だけの誇れるものがあったから。
 そうやってずっと頑張っていたら賞が取れたし、自分の存在を認知され、皆が決めてくれた。

 なのに、それでも見た目だけのアイツの方がちやほやされる!!世の中って不公平ですよね
 だから、あの写真が撮れた時、私はとても嬉しかった。」


「でも、人を不幸にしてまで勝つって……」


「じゃあ私はずっと底辺にいればよかったんですか!?」

いじめの根本的な原因は
「不公平」や「不満」を解消する手段がないということであり、
「正しく生きていれば幸せになれる」という希望がないということであり
なによりも「悪いことをしなければ自分の身を守れる」という安全感がないということだから。


いじめの根っこは「衣食が足りてないから礼節がない」ということが根本であり
そこから生じる不安や恐怖に対する「防衛反応」でしかない。

日本の場合は国会そのものがそういう場だ。
国民の代表がそういう姿を見せているのにいじめよくない、なんてきれいごとだけでは話にならない。

「誰かを蹴落とさないと生きていけない」場において簡単に人間は相互不信に陥る
イケてない学校や、イケてない職場では、イケてない集団では、いじめがなくなるわけがない。

「いじめはなくせると思いますか?」 ムリダナ(・×・) と思ってしまうマンガ「傷だらけの悪魔」 - この夜が明けるまであと百万の祈り



同じ人間でも、学習塾や進学校に通っている間はいじめなんかなかった。
「自己防衛」の「必要」や「正当性」を主張しうる場において
いじめをなくそう、なんてスローガンを言うだけででは虚しいだけだ。
そういう動機や正当性そのものを否定する環境をつくれなければいじめはなくならない。


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CASE2に関しては、迷走した挙句に打ち切られたような作品なので評価対象外です。