この夜が明けるまであと百万の祈り

とあるマンガ好きの備忘録です。私が元気づけられた出来事や作品について少しでも共有できたら嬉しいです。 ※記事を読まずにはてなスターを押して回る行為はお断りしております。

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「裁きの銀」 ナニワ金融道好きな人向け

個人的評価★★★

この作品はちょっと古い作品なのでkindle unlimitedで無料で読めます。登録している人にはオススメ!

裁きの銀 4 (マンサンコミックス)

向谷 匡史 実業之日本社 2002-10
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by ヨメレバ


金にまつわる様々なトラブルを描いたマンガにおける位置づけにおいて


この作品の位置づけは、一言で言うと「カバチタレみたいな作品」です。

お金をテーマにした作品で最も有名なのは「ナニワ金融道」「ミナミの帝王」「闇金ウシジマくん」の3つではないかと思います。

ナニワ金融道は「金貸し」の立場から食い物にされる人を描き、悪徳業者がどういうふうな方法で人をハメに来るかは描いても、身内以外は助けません。基本的に、ヤミ金に手を出してしまったら、普通はもう誰かお金を出してくれる人が以内限り、助ける方法が無いんですね。ただ、ナニワ金融道は、もちろん間抜けな借り主をハメるだけの話もありますが「同業者との争い」やら商売の知恵みたいな形で「知恵比べ」の要素があります。

・これは「ミナミの帝王」も同じですね。ミナミの帝王は「縄張り」の意識が強く、主人公は金貸しとして人を不幸に陥れる鬼のような側面と、一方でエリア内の普通の人の相談に乗って悪者を懲らしめたりするめちゃくちゃ人情味溢れた側面があって面白いです。ちょっと違うけど「暴れん坊将軍」みたいな感じです。「暴れん坊将軍」は、マクロ的に考えたら町人を圧政で苦しめてるお上の人間なおに、ミクロの描写に特化することでめちゃくちゃいい人みたいに描かれてるのが面白いですよね。

・一方ひたすらにエグい形で描いているのは「闇金ウシジマくん」です。知恵比べの要素は少なく、ただ人が転落していく様を執拗に描き続けます。こちらは金を借りる過程もさることながら追い込まれて人がボロボロになっていくところがメインとなっており、結構読むのがしんどいですね。

そんなわけであくまで勝負の地点は「お金を借りるか借りないか」の部分であり、借りてしまったら基本的には終わりです。ここからはいかに損害を減らすかとか、ほとんどのものが失われるのは避けられないので、なにだけは守りたいか、という撤退戦になるか、すべてを失うかしか選択肢はありません。ただ、それだとあんまりおもしろくないので「カバチタレ」やこの作品のように、金を借りてしまったり、金を借りたことにされてしまった人たちを助ける人たちが主人公の作品も出てきます。




*倒産回避コンサルタント

これはそんな作品の一つで、「倒産回避コンサルタント」が主人公のお話です。

会社経営者は、基本的に何らかの形で借金をしていることが多いです。
そんな中、真っ当にやっていてもたまたま近くに悪いやつがやってきたりしてまともな会社が潰されたり、理不尽な借金を背負わされたりというケースがある。良心的な人ほど被害にあいやすい。 そういう会社を助けようというものです。

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たとえばこの作品の1巻で出てくる罠としては

・社長の個人債務保証

・包括根保証

・譲渡担保付き根抵当権

・差し押さえ競売をちらつかせた脅迫

・新規融資を餌にした包括保証契約

などがあります。

日本の法律はとにかく金の貸し手に甘く、借り手に対して非常に厳しい。仕組みを知らないとすぐにハメられる

(逆に、VALUの例を挙げるまでもなく株式発行などして資金調達をすることに対しては甘々です)

「倒産を私どものせいにされたのでは迷惑です。悪いのはあなた方でしょう。」
宅配ピザをやれといって強引に貸し付けたのはあなたではないですか!」
「成功していたら儲かるのはお宅でしょう?リスクはつきものです。」

こんな会話に象徴されるように、日本では金は貸す側が偉くて借りる側は弱い。金を貸す側がリスクを取らなくていいようになっているんですよね。なんでもかんでも担保を取って、必要があれば即座に担保物件を取り上げて競売にかけることができるようになっており「貸し剥がし」が問題になりました。

日本の企業は内部留保が多いという批判を新聞社などがよくやっておりますが、今の日本の法律では仕方がありません。日本の銀行は、銀行や政府を全く信用していないからです。信頼されないだけのことを銀行がやってしまったのです。企業の内部留保を批判するなら、不況の時に銀行がやった時のことをとっちめて、今の仕組みを根本的に変える必要があります。

世論も金を借りることに対して情けないとか、カネを借りるやつが悪い、という風潮のため「金貸し」はやりたい放題なんですね。言葉巧みに人を騙して、金を貸したり、借金を立て替えさせてしまったりできる。

「法律が複雑な上、借りる人を守るように出来ていない」ので、無知な人はカモにされてしまったあげく法律がそういう金貸し側を応援するような仕組みになってしまっているので誰にも助けてもらえないのです。


「倒産回避コンサルタント」は依頼者を守るだけで精一杯。悪い人間は法律で守られている

そういうところで、本人はまっとうに生きていたのに、罠にはめられて借金を背負わされたり倒産の危機に追い込まれた人たちを、主人公たちが同じく法律を使って助けていきます。

ちなみに、このお話では大抵のケースでは勧善懲悪なんて出来ません。

主人公たちは悪徳業者から依頼人を守したり逃がすことで精一杯で、悪徳業者たちは儲け損なう程度でノウノウと活動を続けられる、というケースが多い。

そのくらい、日本では「小さい額の金を借りてしまったら負け」なんですね。


債務整理や借金返済の一本化を弁護士に頼むときは要注意!

過払い金返還のピークは過ぎたと思ったらまだまだ出てきやがります、アイフルです : 市況かぶ全力2階建

少なくとも、借金をしている人が、借金をしている先から紹介された弁護士さんを利用しては駄目。

これは整理屋の手口ですね。

あなたの取り立てがピタリと止まったからくりはコレですよ。
「貸金庫の規制等に関する法律に基づく大蔵省銀行局長通達」ならびに
「割賦販売法に基づく通産省産業局長通達」ですね。

債務者が弁護士を立てると、業者は正当な理由無くして債務者本人に直接請求することは出来ない。要するに、弁護士先生が出てきたら、街金も当面は手出しができないというわけ。これで取り立ては一時的にストップする。そして客は信用してしまう。

債務者は完済日を楽しみにしながら言われた口座にせっせと送金するが、その金は一切返済に当てられていない、というわけです。そして、半年か一年経って弁護士がこの件から降りる。かくして再び取り立てが始まる。

あんたが死にモノ狂いで返していたつもりだったお金は、街金とつるんだ弁護士に食われたんです。

もちろんこういうケースは弁護士を刑事罰に問うことはできるけれど、お金は最悪戻ってきません。


おまけ 連帯保証についても救済策はある

連帯保証ってのは、保証人が保証にみあった財産が有ることを前提にしているはずだ

財産がないのに連帯保証を付けたことが明らかな場合は返済不能ということになる。

連帯保証人ということを脅しに使って、奥さんに返済させる腹だったのでしょうがお生憎様ですね。

「ならば給料を差し押さえるまでだ」とおっしゃるならどうぞ。ただし20%が上限と法律で決まっておりますので念のため。

第76条関係 給与の差押禁止|国税徴収基本通達主要項目別目次|国税庁

連帯保証をタテに奥さんをソープに沈めようなんて無理ですよ?

とはいえ、この場合は奥さんはあくまで連帯保証だけで、かつ借金先が銀行だからこそセーフですが
闇金相手だとこういう訳にはいかないので注意が必要ですね。



とにかく問題なのは実質的に「背任」あるいは「詐欺」にあたる行為を堂々とやってる金貸しがたくさんいるということですね。

そもそも、担保なしで300万の追加融資は背任行為だろうが!それとも最初から包括保証で引っ掛ける気だったってえのなら詐欺だぜ!この落とし前どうつける気だ!?

これはこれで銀行側にも同情すべき余地はあって、金利が低すぎるという問題があります。銀行が金貸しで利益を得ることは困難になってきており、しかも投資銀行業務はリーマンの時の反省からいろんな規制があります。

このあたりどうすんの? みたいな議論は全くされてないからね……。





日本がデフレな理由は、日本の国債残高を考慮した金融抑圧が原因ですが、景気が悪いのは「老人が将来の不安から金を死蔵していること」と「企業がいくら利益を出しても従業員に還元することもなく内部留保してしまうこと」の二点ですよね。 この問題の大きさと比べたら消費税は小さな問題です。しかし、とにかく日本人は、バブル崩壊の時に調子に乗りすぎた上に、その時に銀行を叩きはしたけれど何にも仕組みを変えられなかった。

内部留保せざるを得ない企業を責めるより、今の日本の法律ほんとになんとかした方がいいと思いますよ。




参考

滌除(てきじょ)について 9話
https://c-1012.bengo4.com/c_11/d_6543/


②倒産企業に対する未払賃金の立替払い制度
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shinsai_rousaihoshouseido/tatekae/index.html

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③単名手形→保証手形の付け替え詐欺


④信用情報
・個人信用情報センター(銀行系)
・全国信用情報センター(消費者金融系)
・シー・アイ・シー(クレジット系)
・セントラル・コミュニケーション・ビューロー(外資系)



相続税問題
・土地を担保に借り入れしている場合、相続税が払えなくて倒産するケース

<3000万円現金。土地2000万保有。抵当権付き>
相続税が2000万。銀行からの借り入れが2000万>

という状況で、「借入額を全額返済してから出ないと土地の抵当権を外せない」ため
相続税の支払いで倒産してしまう。


⑥抵当権を利用した連帯保証人詐欺
銀行は信用保証協会から代位弁済を受けられるようにしておいて、
「瑕疵物件に高額な抵当権」を設定してあるケース。
この場合、抵当権設定物件は売れないため、連帯保証人に請求がいく。

→もちろん詐欺なので無効。


⑦借金の消滅時効について
借金の消滅時効 | 松谷司法書士事務所
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ただし、時効完成後の支払いは時効利益の放棄になる。
時効が成立した後でも一円でも払えば無効になる。


⑧「請求異議の訴」について
請求異議の訴えとは -意味/解説/説明 | 弁護士ドットコムで法律用語をわかりやすく
裁判所の強制執行命令に対して異議申し立てを行うことが可能。この場合「強制執行停止決定の申し立て」もセットで行うと係争中は停止をかけられる。裁判所は基本的に公正証書の真偽を確認しない。公正証書を偽造されたり、同意なく連帯保証人に他の人間がサインした場合はこれで訴える必要がある。
 

⑨夫婦の連帯保証は「日常家事債務」に限られる。
日常家事債務と連帯保証 | いなげ司法書士・行政書士事務所


⑩区分所有法60条3項
住人の共同生活の障害が著しい場合、区分所有者の4分の3以上の特別決議で
貸借権の解除と部屋の明け渡しを求めることができる。



⑪「譲渡担保付き金銭消費貸借契約」
これが一番危険。
単なる借金なら差し押さえは上で述べたように上限ががるが
この譲渡担保付き金銭消費貸借契約は回避不能。


⑫詐害行為取消権(民法424条)
民法424条(詐害行為取消権の解説 Part1)