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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「煉獄デッドロール」 

作品評価★★(個人的評価★★★)

恒例の「デスゲーム」ものです

私はこの手のマンガ、文句いいながらもめっちゃ読んでるし、記事も書いてます。

だいたいは駄作なんですが、なんとかして面白い作品を作ろうと作者の人たちが知恵を絞って試行錯誤しているのが感じ取れるから、好きなんですよね。

なにせ私は「嘘喰い」が大好きで、こういう傑作が生まれうるジャンルだと思うとなかなかスルーできない。やはり面白いものは「ギャンブル」「対戦」に特化したものが多いですが、まだまだこのジャンルには可能性があると思っています。

今回の作品は原作者が「賭ケグルイ」の河村ほむらさんなので期待が高まります。恒例の顔芸も発揮されていてなかなか面白い。


ゲームで負けても敗者復活がある「デスゲーム」もの

さてこの作品。導入だけ見ると「い つ も の」という感じです。

主人公はなにをやっても完璧にこなせてしまう優秀な高校生男子。日常に飽き飽きしていたところ、ある日自殺しようとしている女を見かけ、衝動的にその女を助けようとして自分も屋上から落ちてしまう。次に目が醒めた時、主人公は見知らぬ建物の中に閉じ込められていた。
この建物の中には他にも自殺した人間ばかりが集められ、一週間に一度デスゲームを強制されることになっていた。

ゲーム参加者の行動原理が一様で無いのが面白い

ただ、この作品の場合、
「ゲームで負けるとその都度惨殺されるが、参加者全員のうち一人でも生存すると全員生き返る」

死んでも終わり、にならないというところがポイント。更に言うと、ゲームが終わった時に生き残るとポイントが加算され、それが666に到達すると生き返ることも可能、という設定のようです。


こうすることによって、ゲーム参加者の動機をバラバラにします。

<ゲームに負けて死にたい人間>→ゲーム中で他の人間を道連れにして全員死ぬ必要がある


<ゲームに勝って生き返りたい人間>→ゲーム中で一定数人を殺した上で自分が生き残る必要がある

「デスゲームもの」はだいたい無条件でみんな死にたくないのを前提としがちですが、この作品は「死にたい」人間と「死にたくない人間」が別れているのでそこは面白い。

こういうルールなので、何度も何度もゲーム参加者で殺し合い、他のゲーム参加者への情報が蓄積され、自分の経験値も上がっていく中で少しずつ殺し合いがレベルアップしていく、という感じになります。

さて、この作品において「優秀な人間」という設定の主人公はどうするか。単にゲームで勝ち続けて一度も死なない状態をキープする、というのもあったかと思いますが、なんせ「死んでも大丈夫」というルールでは主人公には満足度が低いようで、かわりにこういう目標を設定します。

死ぬのが怖くないとは言わない。
だが、もっと怖いのは負けて死ぬことだ。
必ず勝つ。俺は…死んでも負けない!

うん。設定だけ聞けばそこそこ面白そうに見えるよね。


登場キャラクターはとても魅力的

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©河村ほむら、吉村英明「煉獄デッドロール4巻」

最初は蛇喰夢子かと思っていたら、途中から妄さん寄りになってしまった白丁花白姫さんだけど、主人公好き好き殺したいけどそれ以上に殺されたいストーカーぶりがぶっ飛んでて面白い。

鏡宮鑑もいい味を出してます。

とにかく、キャラクターを蔑ろにしがちなデスゲームものにおいて一人ひとりキャラクターが魅力的なのはとても良いことです。設定からしても、とにかく「殺すためだけにキャラを出す」みたいなことをしてないのがとても好き。



デスゲームが長期化すると必ず出てくる「宗教団体」にはもうちょっと工夫がほしい……

ライアーゲーム」にもありましたが、このゲームにも宗教団体出てくるね。多数派工作が最もやりやすいのはこれ、ということなんでしょうね。ただ、ライアーゲームはともかく本作品ではちょっと雑な感じだった。

私も不安よ。こんなセカイでどうやって生きるのが正しいかなんてわからない。
誰かにすがっていきたいのもわかる。

でも、他人にすべてをゆだねて、そこに自分の意思がなければ
もしその他人が間違っていたら、必ず後悔する。
私はもう後悔したくない。自分の責任において生きたいの。

たとえ結果として間違っていたとしても、
自分の意思ならば納得できるもの。

こんな話で納得できるなら、誰も宗教に走ったりはしないと思うけどね……。



デスゲームの内容

ここからは私が思い出せるようにするためのものです。


(1)相互信頼ゲーム
囚人のジレンマゲームのパロディ。正直あんまり好きじゃない。



(2)殺人鬼撃退ゲーム
人狼ゲームのパロディ。このゲームはちょっとおもしろかった。
ゲームバランスを調整すれば普通に単体のカードゲームにならないかな。


(3)生贄数取り

魔物を退治したものが勝者。
魔物を退治するためには生贄を捧げる。生贄とは君たち自身。
自らを生贄として捧げ、かつ生き残ったものが勝者

「取る数を指定できない」数取りゲーム。
ジェンガや砂山崩しゲームのようなものと認識してもOK。



(4)生存実験ゲーム
嘘喰いのエア・ポーカーや、エンバンメイズの毒ステージに似ているが、
このゲームは物語展開を盛り上げるためだけに用意されたもので
ゲーム単体としてみると欠陥がありすぎてゲームとしてつまらない。



(5)ニーベルンゲンの悲劇
ファイアーエムブレムなどのシュミレーションRPGが大好きな人にはたまらないゲーム。

騎士の名はジークフリート
持っている装備はタルンカッペ(下方の隠れ蓑)とバルムンク
伝承通りなら、ジークフリートには背後からの攻撃以外は無効。


(6)尋問ゲーム
これも物語に準拠するものであって、ゲームとしてはシンプル。




(7)トレジャーハンティングゲーム




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正直、「生存実験ゲーム」の後の展開で「このゲーム神」が出てきてから
私の中で危険信号がガンガンなってますが、「ニーベルンゲンの悲劇」ゲームは面白かったし
白丁花白姫は可愛いからまだ期待して読んでる。 頼むから面白いオチで終わってくれ……。