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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「彼方のアストラ」感想  4巻からの怒涛の伏線回収が素晴らしかった

今年もマンガは読んでいきますが、基本的には「作品紹介」はせず純粋に感想だけ書いていくことにします。 想定読者は「すでにこの作品を読んだ人」または「途中までは読んだ人」です。

みんなのお陰で僕は自分になれた。僕はオリジナルとして生きたい。みんなと一緒に帰りたい

評価★★★★(個人的評価★★★★)

全話読みました。

「銀河鉄道999」や「11人いる!」かと思っていたら、それらのオマージュも多分に含まれていましたが、それ以上に「進撃の巨人」と「EVE BURST ERROR」を足したような話でした。まじでこの作品でEVE BURST ERRORを思い出した人は私と友だちになってください!

おそらく6巻で完結するかと思いますが、短い作品ながら、内容は「宇宙旅行でのサバイバル」「旅の中でのメンバーの成長」「アイデンティティの話」「犯人探しというミステリー要素」「大掛かりなSF要素を含む世界の謎」「平和とは何かという命題」など実にてんこ盛りで素晴らしかった。

彼方のアストラ 4 (ジャンプコミックス)

篠原 健太 集英社 2017-08-04
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まず、とにかく主人公がいいよね。 宇宙船メンバーはみんなとある事情から一人をのぞき、みんな親からの愛情を受けずに育っていた。主人公のカナタも、愛されてはいなかった。

それでもカナタは、親ではなく教師の存在によって「周りの人間を助けたい」と願うようになり、そのために自分を鍛え続け、他人のために自分の身をためらわずに投げ出す度胸も見せる。そんなカナタの姿がメンバーの心をちょっとずつ前向きにしていく。 もしドラがマネジメントについて「リーダーの資質とは何か、それは真摯さである」というテーマを抜き出して大ヒットしたけれど、あの作品はそこまでやっておきながら肝心の「真摯さ」を描ききれなかったのに対し、この作品はその何よりも大切な「リーダーの資質」とは何かをよく体現している。

たまたま年末に「LIVE A LIVE SF編」の実況プレイ動画を見ていたのですが、同じ宇宙船のなかでのいざこざを描いた物語でも、LIVE A LIVEの方はとある存在のしかけによってメンバーが相互不信に陥るのに対し、こちらは何度も全滅や仲違いの危機に脅かされながら、主人公の求心力によってその困難や危機を乗り越え、結束を強めていくのが良い。


こういう人間の成長物語としても素晴らしいですが、SF作品とミステリー要素を組み合わせたシナリオがとても素晴らしく、改めて「歴史」を学ぶことの重要性を感じさせられます。

そういう風に育ったからそうなった。でももう、それじゃダメなんだと思います。自分の目で世界を見て、考えて、疑って、本当の自分になるって、きっとそういうことなんだと思います。


また、上で述べたようにこの作品には短い分量の中に多くの要素が詰め込まれてる。そういう要素がてんこ盛りな作品はほかにも有るけど、この作品はとにかく構成が丁寧で、話が綺麗に整理されている。そのためたくさんの要素があるのにごちゃごちゃしておらず読みやすい。これ本当に凄い。伏線もきっちりはられていて、1周めで真相が明かされる前に推理することも可能になっている。真相がわかったあとで意味が反転するシーンもあり、かならず一度読んだ後もう一度読み返したくなります。そういう意味でとても良い作品。


テーマとしても読むことになって前向きになれるし、物語としての面白さもしっかりしてるしで本当に言うことないです。


おまけ サバイバルの心得シリーズまとめ

だいたいは心得の部分はネタになっていて、実は心得でない部分で凄いいいこと言ってます。

その1 前に進めば前進する
「うまくいくかは五分五分だろう。でも進まなきゃ死ぬだけだ。道があるなら進もう」

その2 起き上がれば立てる

その3 慌て者ほどうろたえる

その4 みんなそれぞれいろんな力をがっちり合わせれば大抵のことはどうにかなる

その5 あきらめたらそこで試合終了

その6 できないのはいい やらないのはダメ
特技で役に立つ必要はねぇ。その分、みんなを手伝えばいいんだ。

その7 食べれば元気になる
一旦戻って、メシをくおう。それからだ。

その8 怒ると腹が減る

その9 問題が重なっても一つ一つ冷静に解決していけばすべて解決する

その10 立ち止まったら進まない

とにかく彼方は決断力がすごい。必ずしも正しくはないけど決めたら迷わない。特に第二惑星での決断は、誰も見てなかったけどこれ同じことやれって言われてできるヤツいないよね。


<その他の名言(5巻以降は単行本が出たら追記)>
・絶望した時は、強がれ
・ばらばらになっちゃ絶対ダメだ。暗闇なら手をつなぐしかねぇ
・なんとかなるもんだ。あきらめなければ、なんとかなる。
・わかんねえこといくら考えたって、わかんねえんだ。
・わからねえことは考えるな。一番危険なのは、お互いが疑い合って団結が崩れることだ。統率が取れなくなったら、それこそ自滅だぜ。今後一切犯人探しは禁止とする。
・俺は絶対弱音は吐かねえことにする。みんなもなるべく楽しんでこうぜ。
・お前が母ちゃんにどう育てられてたのか知らねえけど、俺達はもう子供じゃない。 夢があるなら親に逆らったっていいんだ。自分を出すことは、恥ずかしいことじゃない。友達に自分をわかってもらうのは嬉しいことだ。
・なめんなよ。俺は二度とあんな思いをしねえために、お前が銃の練習をしてる間も、ずっと筋トレしてきたんだ!
・だってお前しか撃てねえじゃん。お前が担当だ。頼むぜ。
・覚悟なんて、一生できねえかもしれねえ。だましだましやってくさ。
・俺達が家族だ!俺はいない、それがどうした! ◯◯◯、それがどうした!俺達は、同じ運命の下に生まれて、一緒に苦難を乗り越えてきた家族じゃねえか!みんなで帰ろう、そして驚かせてやるんだ。絶対に全員で帰り着こう、そして自分になるんだ
・真実はどうあれ、俺はおれの意思でそれを臨んだ。自分で選択したんだ。だから、いいんだ。別に。(これ「ネギま!」のネギくんと同じだね)