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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「先生と僕」 ヘタリア的な雰囲気で夏目漱石とその周りの人間を描いてる傑作

評価★★★★★(個人的評価★★★★★)
文句なしにオススメ。というよりみんなも読め!

「この作品読めてよかった!作者さんありがとう!」って気持ちになる作品って年に数作しか無いけど、私にとってこの作品はまさにその1つです。

少なくとも私はこの作品もっと早く読みたかった。本当に何かを好きな人が、すきなものについて全力で伝えようとしてる作品ってこんなにパワーがあるのか。読んでて面白いだけじゃなく、なんか力が湧いてくる。


どんな作品かというと、夏目漱石マニアな人が、夏目漱石LOVEな話をネットに公開し続けてたら編集さんにスカウトされてそのまま連載が続くことになったという、まさにマニアの、マニアによる、それでいてマニアのためだけじゃない「夏目漱石LOVE」が詰まった作品。

この人の漱石マニアぶりはなかなかすごくて、全作品を読んでいるのは当然のこと、友人との往復書簡やらエッセイも当然読み込んでいるし、夏目漱石の周りの友人や門下生との関係やも全てウォッチしていくストロングスタイル。それだけ、作者にとって夏目漱石という人間が魅力的で、いくら調べても飽き足らないということだろう。

これだけ好きなものがあるってのがまず羨ましくなる。


でも、この作品で描かれてる夏目漱石は本当に魅力的に感じる。

最初に夏目漱石の友人として登場するのは「正岡子規」や「中村是公」(満鉄の総裁)であるが、彼らが正岡子規は「坂の上の雲」に代表される、向上意欲が強く歴史に名を残さんとイケイケな性格なのにたいし、夏目漱石は野心が強くなく人任せ、行き当たりばったりの人生を送っている。 周りがお国のためとか立身出世を目指すギラギラした雰囲気の中で、力が抜けた生き方をしており、それゆえに人間味が非常に強い。

そういう人間臭いところが色んな人を惹きつける。
当時漱石の周りにいた人間は漱石のことが大好きで、漱石が面倒臭がって面会日を限定しても、入れ代わり立ち代わり色んな人が訪れていく、そしてみんな漱石との会話を記録に残していくものだから膨大な数の、多用な記録がある。

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作者である香日ゆら先生は、それらの記録を読んで、その中でニヤニヤできるエピソードを私たちに紹介してくれるというわけだ。 人間味あふれる夏目漱石と、多種多様な友人や門下生とのキャッキャウフフな日常生活の中から、特に面白いところをセレクションして、「ヘタリア」のようなゆる~い雰囲気で4コママンガで描写してくれてる。これはずるい!こんなん面白くないわけがないやんかー(笑)



というわけで。めちゃくちゃ面白いです。

「正岡子規って病弱なイメージあるけど若い時はスポーツマンだったし血気盛んな青年だったよね」とか、「満鉄総裁の中村との付き合いは、公私を完全に超えた関係で尊いよね……」とか「ああああああこんなおっさん生活を送りたいいいいい」とか、夏目漱石について、いろいろと「語りたくなる」「共有したくなる」話をたくさんみせられてもう今たまらんです。


続編の「漱石とわずがたり」も読まずにはいられないし、読み終わったらこれからしばらく周りの人間に強くプッシュしていくつもり。

ホントにめっちゃくちゃ面白いので、ブログの読者さんにもぜひぜひ読んでもらいたい。とにかくこの面白いエピソードの数々を共有したい。





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