頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

最近のこのブログのお気に入りは「アークナイツ」です
アークナイツ
kindleセールの紹介
新NISA解説ブログ
発達障害

母子会搾取の件

やりがい搾取される「子どもの貧困対策」 - 泣きやむまで 泣くといい
やりがい搾取どころじゃなかった - 泣きやむまで 泣くといい

読みました。この部分が特に読んでいてつらかった。

けれども、これが「母子会」でない法人であったなら、このような乱暴なやり方が認められるだろうか。母子会の予算書など簡単に書き換えさせられるという傲慢さが行政にはないだろうか。

子どもの貧困対策として行われる事業が、その中心者を最低賃金以下で仕事させて当然ならば、向こう10年くらいの間に次々と滅んでいくだろうと思う。

後述するが、確認してみると、どうやら本当に「母子会でない法人であったなら」こういうことはなかったかもしれない。

しかしこれについて福祉全般がダメとか、日本死ねみたい話として認識してる人が多かったがそれは少し違う。

「事業以下の福祉活動」という部分が色々とグレーゾーンになっているという話だ。事業としての部分は制度としてカッチリしすぎており、それで賄いきれない部分をこういう人たちが埋めているのだが、その草の根活動を腐らせてしまっているよ、という話だ。

上記記事は何もごまかして書いているわけではないが、そのはてなブックマークでの受け取られ方は大いにズレている。私も最初勘違いしていたから反省を込めて書くけれど、義憤で過激なコメントを書くのは結構だが、情報は正確に理解したい。



「事業」についてはプロセスがきっちりしている

実際に関連事業をやっている知り合いにいろいろ聞いてみた

私の知り合いに、教育関係事業の会社(家庭教師や個別指導学習で有名なところ)に勤めていて、実際に「ひとり親世帯の教育支援事業」などを行っているやつがいるので話を聞いてみた。

すると

・その自治体はちゃんと公募したのか?継続の際もコンペすらないのはなんかおかしくない?

・こういう事業は予算の大枠であらかじめ決まっているはずで、こんなに急激に値下げするのはあり得ない

という意見をもらった。

また、こういう事業では既にNPO法人が受託していたが、そのNPO法人では請負切れなくなって新たに企業を募集するようになったところはあると言っていた。



ご存知の方が多いと思うが、普通自治体がこういう事業を民間に委託する場合、必ず公募でプロポーザルまたは一般競争入札を行う。

①自治体は公募の際に、必要な要件を示し、応募期間を設けて公示する。
②応募する側は「プロポーザルの提出」を行う。
③プロポーザルには、提案書の他に、企業の紹介、同様の事業を実施した実績、企業の賃借対照表、事業の実施内容、そして運営費用の見積もりを提出する。
④事業内容としては、「貧困層の学習支援」「不登校者や障碍児童の居場所確保」など多岐にわたり、それぞれの実施において「実施場所の確保」「適切な人員の確保」「保護者対応」「安全衛生」が問われる。特に専門的技能のある人材の確保が問われる。
⑤事業者選定の後、改めて担当者と協議しながら詳細を詰める。供託金は事業費用の5パーセント程度。

まぁ公的案件ならどういう事業でも必ずこういうプロセスを取る。


この際に重要なのは、基本的にある程度の予算枠は既に確保されているということだ。役所は承認の手続きが遅いため、事業者が決まってから予算確保、という形では間に合わない。そうでなければ事業者はどの程度のレベルで事業を営めばよいかわからない。必要に応じて枠を拡張したり、不要な部分は削るなどは当然あるにしても、事前に決めていた予算枠を大幅に変更するということはないとのことだ。

こういうプロセスを経て受託することになるのだが、彼の企業では今まで上の記事のような理不尽なことはなかったという。確かに予算枠が少なくその枠に収まらなかったので失注するケースは多いそうだが、少なくともいちど受注した後翌年にその予算を理不尽な理由で大幅に削られたことはない、という。

上記記事は、事業以下の領域が圧迫されているという話

そういう意味で、残念だが「母子会でなければそういうことはなかったのではないか」という上の記事の危惧はたぶん当たっている。分かっていて狙い撃ちしていたのだろうと思う。散々安くこき使って、疲弊して継続できなくなったら他の業者に変えるつもりなのではないだろうか。



ちなみに、上の記事がどの県かは知らないが、彼が手掛けているのは関西の市町村の公募ばかりだという。
そういう意味で、一番の問題はこの部分なのかもしれない。

せめて都道府県の事業でなく、市町村の事業であったならば、もう少し現場の声が日常的に届けられるのであろうけれど。地元の行政はこの件について深く心配し、同情してくれている。現場から最も遠くにいる者が仕組みを決める虚しさ

事業としてやる場合も自治体によっては無意味な活動に補助金が行くことも多い?

上記記事とは関係ないが関西で言うと大阪府N市などは別の問題があるらしい。

多種多様な公募補助金を用意しているのだが、入札の際最低条件を満たしていないものははじくが、それ以外は純粋に金額だけを見るというプロセスが決まっているらしい。その結果、かなり質の悪い業者が受託することが多く、せっかくの補助金事業があまり子供たちのためになっていない。N市はいったい何のために誰のためにこの事業をやっているのか小一時間問い詰めたい、とかなり愚痴を言っていた。

本当かどうかは知らないので意見は差し控える。


追記

id:table 行政妥当案件。
満足な額を出すとなると国から予算とって、良くてプロポーザル、通常ならただの入札になるよ。
活動に対しては出しても事業に対してはそうそう税金引っ張れない。ほんとに癒着の温床になるから

今回の件で行政を批判するのは簡単だけれど、規模によって対応が変わるのは仕方がないかなと思う。あくまで今回の件は、その自治体、その都道府県の担当者が腐っているというスコープからスタートして、類似の件がないか確認していくべきなのかなと。


あと、実名公開しろとか言ってる人たちの無神経さがほんと嫌い。理不尽な状況でも受けざるを得ない、仕事をなくせない人たちを抱えて悔し涙を流してる人によくそんなこと言えるな。はてブっていつからそんなに気遣いのない場所になったんだ?
最低限のラインくらい弁えろや