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「metoo運動のために黒服を着る」というパフォーマンスは少し稚拙だったのではないか、という話

野党のパフォーマンスは悪なのか? - 読む国会

アメリカの#metoo運動になぞらえて(あるいは、それに連帯したアメリカ民主党の議員になぞらえて)黒い服を着ることを提案した時、私はどうせ、批判されるのだろうな、と想像していた。尾辻議員は、日本ではじめてのLGBT議員であり、ジェンダー問題に関しては第一人者でもある。

上っ面に見えるというコメントがあったけど、立憲民主のツイッターなど見るとLGBT配慮とか労働時間問題でいろいろ活動してるのがわかるので見てみたらいいのではないかなーと思った。 (こちらはブックマークコメントから)

読みました。

私の感想ですが、善悪の切り分けではなく巧拙の話で理解した方がいいのではないかと。

つまり、パフォーマンス自体を否定してる人はいないと思います。ただ、パフォーマンスというのであれば、メッセージの伝え方というか演出がめっちゃくちゃ下手くそなんじゃないかな、と国会議員はパフォーマンスするのも仕事だと言うなら、そこが微妙な場合、プロとして批判されるのは当然だと思うのです。

そもそも「黒い服を着る」ことがmetooのパフォーマンスになるって自明のことでしたっけ

そもそも「黒い服を着る」ことがセクハラへの抗議を意味するとかmetooを象徴する行為だという文脈って、metooに強い関心を持っている人以外の間ではそれほど共有されてなかったと思うんですよ
そういう状況での今回の行為は、なんだか唐突な印象を与えるだけで効果が出なかったのではないでしょうか。


私は「黒い服を着る」行為の由来は知ってましたが「なぜ黒い服なのか」がわかっていませんでした。
第75回ゴールデン・グローブ賞、『スリー・ビルボード』が最多4冠。デル・トロが監督賞(主要部門結果一覧あり) (2018/01/09) 洋楽ニュース|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

1月7日に授賞式が開催されたゴールデン・グローブ賞に出席した女優・俳優の多くが黒の衣装を着用し、その様子が日本でも話題となったことは記憶に新しい。

尾辻議員以外の人はちゃんと理解してたのでしょうか。蓮舫さんの説明を聞いても「???」ってなった人が多いと思います。


「黒い服を着る行為」の元ネタは、「グローブ賞授賞式という場」で「自発的に行われた行為」だったからこそ強い意味を持ったのではないかなと

これについては下記の記事で少し触れられていますね。
なぜ私たちは黒を着る? ゴールデングローブ賞に現れた女優陣からのメッセージ|メンズファッションニュース|GQ JAPAN
「MeToo」賛同で黒づくめの英アカデミー、キャサリン妃の苦渋の決断 | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

ふつうだったら、レッドカーペットはセレブたちの色とりどりなファッションに華やぐものだけれど
今年はほぼすべての出席者が黒の衣装に身を固めて登場した。

華やかなセレブが、あえてそのお祭りムードを抑制して黒一色に統一することで、そのギャップから「今までとは違うぞ」というメッセージを伝えるという意味で非常に効果的だったと思います。

ただし、この行為はmetoo運動の象徴と言えるほど共有化されておらず、シチュエーションへの依存が大きいため、普段から堅い衣装=スーツ寄りのファッション、のイメージが強い国会議員がやっても視覚的なインパクトはそれほど大きくないような気がします。

何より、参加メンバーがちゃんとこの意味を理解して周りに呼びかけられないと効果は弱くなるのではないかと。

元ネタは目的が「女性・男性と結束し、業界の垣根を越えて(他者への)尊敬と平等を求めるため」と前向きなメッセージであった点も上手だったのに比べると野党の動きは稚拙に見える

「#MeToo」に続くセクハラ糾弾運動「Time's Up」とは? マドンナやハル・ベリーらがSNSで反応 (2018/01/11) 洋楽ニュース|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

・女性・男性と結束し、業界の垣根を越えて(他者への)尊敬と平等を求めるために今日は黒い服を着てる。職場でのセクシャル・ハラスメントを止めよう。黒い服を着て、Time's Upと言おう。

・今日、私たちと一緒に黒い服を着ましょう! そして、ハッシュタグ#WhyWeWearBlack(私たちはなぜ黒い服を着るのか)を使って、どうしてTime's Upに賛同してくれたのかをツイートして

こちらだってセクハラへの抗議には変わりないのですが、それでも、どうやれば人を巻き込めるかを理解しているなと思います。今回の件をリスペクトするのであれば、黒服を切るという形ではなく、この姿勢をこそ見習うべきだったのではないでしょうか。

すなわち、男にも、与党にも呼びかけ、これは政局や党派の争いの問題ではなく、国として一致団結して取り組むべき問題だとアピールできればよかったということです。

もちろん、そうできない事情はあったでしょうけれど、メッセージだけでも「党派を越えて」という形にできなかったのでしょうか。(実際にはそう言ってたかもしれませんが、私にはどうもそう見えませんでした。)

尾辻さんの考えがどうあれ、日頃のモリカケ問題などの追求姿勢から、今回も「与党を追求するためにセクハラ問題を持ち出している」のでは、と警戒されてしまうのではないでしょうか。

今でも言われてますけど、郵政に関する小泉劇場は非常にうまかったですよね。とにかく本音はともかく「これは国民みなさんにとっての問題です」「私達は国民のみなさんのために行動してます」という形で、関心を十分ひきつけ、その上で国民の味方である、とアピールする。そのあたりの計算を働かせてほしい。 野党の方々だって、やろうと思ったらできるはずなのでしょう。


国会議員はプロとして「パフォーマンス」がきちんと伝わらないのは自分たちの責任だ、くらいの気概は持っていてほしい

主張が正しく伝わらないという言い分は、ただの素人ブロガーがやるならまだわからなくもないです。トーンポリシング批判やらmetooの緩さも、個人レベルならまぁありかもしれない。

でも、読む国会さんがいうように、国会議員の方にとって「パフォーマンス」は立派なお仕事のうちの一つだと考えるのであれば、国会議員の皆さんは、プロとしてきちんと準備された、高いレベルを求めてほしいし、私達もそれを求めたい。そう思うのはおかしいことでしょうか。「ノイズによる誤解への配慮」や「臭み抜き」は漫画家さんだって、俳優さんだってプロならばみなさん気をつけていることだと思うのです。

tyoshiki.hatenadiary.com

それができないとか、パフォーマンスは本来の仕事ではないというなら、最初から奇をてらわずに本来の仕事である堅実に国会議論や立法審議に力を入れてください、ということになります。

とにかく、今回の件も、私的な活動だったならともかく、「国会議員の仕事としてみたときにどうか」という形で考えてほしい。

よりによって国民から選挙によって支持されリードしていく立場の人からそんな泣き言がもし出てくるようなら、それはげんなりしてしまいますね。政治のプロであるはずの国会議員が、素人ブロガーみたいなこと言わんで欲しい。足立さんや小西さんなどそれ以下の人も多くて絶望を感じる。


もちろん、問題があるのは野党の議員さんたちだけではない。

安倍総理や麻生財務省、それからtwitterで痛い発言をしている議員などもうありとあらゆるところで駄目駄目だと思います。実際こちらも批判されてるし、批判されて当然だと思う。

別に清廉潔白な人を求めてるわけではありません。それでも「パフォーマンスだって仕事のうちだ」というなら、仕事としてきっちりやってほしいなあと思うばかりです。

みなさん「特定の層からの支持」を意識しすぎて、視野が狭くなってるのか知りませんけど「信者以外から見たら」信頼性を毀損する方向ばかりにパフォーマンスしているように見える人ばかり目立ってきて、どうしてこうなった、という気持ちが強いですね。


蛇足ですが、わたしはこの問題で、いわゆる「女性の壁」なる話に一切触れてませんが、それは意図的なものなので「この記事書いた人女性の壁問題を知らないみたいだから教えたろ」みたいなのは余計なお世話です。



おまけ 服を使ったコミュニケーションはめちゃくちゃ奥が深い、ということを学べる傑作

服装をコミュニケーションのための武器として使うという発想自体はとても有効だと思います。そういうファッションを使った高度なコミュニケーションを突き詰めている漫画がこちらの作品。
50巻以上続くシリーズですが未だに面白く、私の中では★★★★★作品。自分が読んできた漫画の中でもベスト5に入る傑作です。ぜひ読んでみてほしいです。