この夜が明けるまであと百万の祈り

とあるマンガ好きの備忘録です。私が元気づけられた出来事や作品について少しでも共有できたら嬉しいです

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「デゾルドル」 百年戦争における「バグ」としてのジャンヌ・ダルク

作品評価なし(個人的評価★)

ではじめて存在を知った作品。下記リンクから1話と2話がためし読み出来ます。私は1巻の最後まで読みました。

一言で言うとジャンヌ・ダルク関連のマンガ。ジャンヌ・ダルク関連のマンガは他にもいろいろあります。下記の記事でいくつか紹介してます。
安彦良和版「ジャンヌ」が素晴らしかった - この夜が明けるまであと百万の祈り
『魔法少女たると☆マギカ』 「救国の聖女」ジャンヌダルクと対比される「最悪の王妃」イザボーという女性について語りたい - この夜が明けるまであと百万の祈り

ちなみに上の記事では紹介していませんが「アオアシ」ですっかり人気作家になった小林先生もジャンヌ・ダルクを「主人公」にしたマンガを描いています。この「水の森」はジャンヌが現代に転生してくるという話であり、歴史的知識が全く不要なので気軽に読めるし、それでいて傑作です(★★★★評価)。オススメ!

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このタイトルと表紙はひどい

そんな「ジャンヌ・ダルク」ものマンガは結構好きですよーという前提でまずひとこと言いたい。「このタイトルと表紙は無いわー」と。

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まず表紙見てもタイトル読んでも何の作品か全然わからない、ってのはちょっとどうなんだろう……。
せっかくジャンヌ・ダルクがテーマの作品なのに、百年戦争ジャンヌ・ダルク好きな私でも全然存在しらなかったゾ。「水の森」は連載では一切見てなかったけどジャンヌ関連作品と紹介されていたから知ることが出来たし「ガーター騎士団」とか多分知らない人のほうが多いと思うけどちゃんとタイトルで引っかかった。 この「デゾルドル」はそういうきっかけがまったくなかった。上のまとめを見ても、とりあえず買って下さい、しか言って無くて「どういう作品で」「どういうところが見どころで」「どういう読者に読んでほしい」のかすら語ってないというのが……。
マンガ家は面白い作品を作るのが仕事であって売るのは仕事ではない、というのはもちろんなんだけれど、ここまでやるんだったら「どういう人に読んで欲しい作品か」くらいは語ってもいいのではないかと。なんかすごくモヤモヤします。


ジャンヌ・ダルク」がテーマではあるがぶっちゃけマニアック寄り

主人公は傭兵団の首領「ラ・イル」の娘として生まれながら、まだ誰も人を殺せないルーブルという女の子。この少女が、ジャンヌ・ダルクと出会い「オルレアン攻防戦」に参加するようになる、というお話なのですが……。

まず初っ端から「ニシンの戦い」についての会話から始まるのが個人的にツボ。ニシンの戦いはオルレアン包囲戦の前哨戦であり、ジャンヌスキーの人がよくネタにする戦いです。

この戦い自体は単なる小競り合いに過ぎず、そのまま歴史に埋もれてもおかしくはなかったが、数カ月後にオルレアンを救うことになるジャンヌ・ダルクの伝説と結びついて有名になった。16歳の時、ヴォクラール太守のボードリクール伯に、シノンの仮王宮を訪れる許可を願い出て嘲笑をもって追い返されたジャンヌだったが、翌年に再びボードリクール伯を訪れるとオルレアン近郊でフランス軍が敗北すると予言した。数日後にニシンの戦いの敗報がヴォクラールに届いたため驚いたボードリクール伯は、ジャンヌのシノン訪問を許可した。こうして、ジャンヌは歴史の表舞台に姿を現すことになった

http://crazyhis.web.fc2.com/ahund/herring.htm

また「ラ・イル」の娘を通じて、ジャンヌ・ダルクが傭兵である「ラ・イル」といった荒くれ者どもの心を掴んでいくという展開はテーマとしては面白いと思います。

この子はなんか、「もしドラ」のみなみちゃんが魔導書「マネジメント」の読みすぎてSAN値0になって重病人の友達をマネージャー稼業で酷使して殺してしまったように*1、ジャンヌを信奉するあまりにグルグル目になってなんかやらしそうで面白い。 「天空侵犯」において主人公の友達が、主人公のためなら笑って人を殺しまくる的なアレになりそう。


一巻を読み終わった時点ではまだこの作品が何をやりたいのかがぼんやりしていて、焦点もジャンヌ・ダルクと主人公ルーブルの間でズレているように感じます。
ルーブルが主人公として弱く、「ジャンヌ」の凄さもわかりにくい。ただ、わかりにくいからこその「不気味さ」は感じるので、ここからどのように展開するかはちょっと興味があります。


マニアックだからいけないというわけではないと思う

無名のならず者を主人公として日本の南北朝時代における楠木正成後醍醐天皇の破天荒ぶりを描いた「バンディット」とか、
百年戦争前半に活躍した傭兵隊長ホークウッドを通して、エドワード黒太子や当時の戦いにおけるパラダイムシフトであるクレシーの戦いを描いた「ホークウッド」だとか
百年戦争より前の1315年にあった「モルガルテンの戦い」を描いた「狼の口 ヴォルフスムント」と言った作品もあるので、
決して題材が悪いというわけではないと思います(どれもそれぞれ面白いのでオススメです)

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ただし、この「デゾルドル」は正直いって、他のジャンヌ関連作品や戦争向け作品と比べると、立ち上がりのところは面白くないです。

上で述べたように「面白くなりそう」な要素はいろいろと感じますが、あくまでそうなりそう、というだけ。今の所これは!というシーンがありません。

なにか一つでいいから早急に見どころが欲しい。そういう意味で続きが楽しみではありますが連載向けではないかもしれません。

*1:すごい悪意のある読み方ですが、あの作品の脚本はそのくらい杜撰だと思うのです。ハックルさんの中では死期を悟った友達が病を隠して頑張ってたみたいな事になってるんでしょうが、Kanonの栞くらい描写に説得力ないです