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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「夢で見たあの子のために」 「僕だけがいない街」の次回作。今作は「未来を想う心」が鍵になるか

評価★★★(今後さらにおもしろくなりそう)
僕だけがいない街」と同作者のミステリー。前作の感想はこちらです。


雰囲気も「僕だけがいない街」と似てます。
大切な人を「謎の殺人犯」に殺され、その正体を突き止めようともがき続ける主人公の姿が描かれる。

前作が「王道」とするならば、今作は「やさぐれ主人公」

とはいえ、前作のようにタイムスリップで子供時代に戻るようなチートは存在しない。子供時代に己の半身ともいうべき兄(と自分を虐待していた家族)を殺された主人公は孤児院に引き取られるが、そこでも犯人への恨みだけを心に抱えながら育つ。
主人公の周りの人間は良い人が多く彼の幸せを願うが、その声は届かない。彼の人生は兄を殺した犯人を見つけ出して殺すことだけに注がれる。

人殺しを捜す金は汚くていい。このうすぎたねえ金こそが俺の武器だ。必ず犯人のところにたどり着いてみせるからな。

当然誰にも心を打ち明けることはなく、前作のような頼もしい仲間は存在しない。ただ敵討ちのことだけ考え、他のことはどうでもいい主人公は恐れ知らずにも情報を求めて一人でヤクザのもとにも乗り込むまでするがそこでついに行き詰まる。


打ちひしがれ、自暴自棄に成る彼に、孤児院の頃から彼をずっと見捨てずに見守っていたエナンがついに思っていたことをぶちまける。

千里にはさ、決定的に欠けてる物があるよ。何だと思う?

それはね、未来を想う力だよ。

あたしは生きたいって思ってるよ。生き続けるために一生懸命考えて行動する。千里は、生きたいって思ってないでしょ。だから行動が場当たり的なんだよ。


前に「子どもたちに自分の姿を見せたい」って言ったけど。自分の姿を見せたい相手って、ホントは幼い頃の自分なんだと思う。幼い頃の自分に、そばに居てほしいって思ってもらえる自分に成りたい。そのために、今できることを積み重ねて、ちょっとずつでもその姿に近付こうとしてる。その先に、あたしが思う未来の姿が有る。その未来のために生きたいんだよ



復讐が生きがいで、そこがゴールだなんて思わないで。千里、生きたいって想う未来を想像して

前作のテーマは「人の輪の大切さ」だった。「人を助けようとすること」が回り回って自分の人生を豊かにすることを何度も描いていた。
本作は、おそらくこの「未来を想像すること」がテーマで、それが事件を解決するカギにも成るのだろう。とても楽しみだ。

マンガにしては一人語りが多く、説教臭いと感じる人がいるかも知れないけれど、そういうのが大丈夫な人なら今作も面白いと思う。ちょうど2巻でプロローグが終わったところなのでオススメです!

夢で見たあの子のために (2) (角川コミックス・エース)

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