頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

最近のこのブログのお気に入りは「アークナイツ」です
アークナイツ
kindleセールの紹介
新NISA解説ブログ
発達障害

少女漫画でたまに出てくる「物語を盛り上げるために不自然なまでに女性が陰湿になる描写」があまり好きじゃない

以前にこの記事がありました。私もそういうのを思うことはあるなあとうんうん頷きながら読みました。

「足を引っ張る味方」「トラブルメーカー」って、お話の構成上凄い便利なんですよ。

勿論お話には色んなパターンがあるんですけれど、
・そのキャラクターのフォローや反発という形で、ごく自然に他のキャラの評価を上げることが出来る
・相対的に他のキャラクターの有能さ・頭の良さを強調することが出来る
・キャラクターの個性づけを強調することが出来る
・場合によってはそのキャラを排除、ないし何等かのマイナスを付与する(そのキャラがひどい目にあうとか)ことで読者の溜飲を下げることが出来る
・「敵を有利にする」要素だけに頼らずに済む

図書館戦争に出てくる「話題を盛り上げるために露骨に出てくる嫌な女たち」の繰り返しがちょっと食傷気味

んで、昨日は「図書館戦争」のコミック版(15冊)を通しで読みました。

大変面白かったのですが、この上の要素があまりに露骨すぎる点だけはあんまり好きじゃなかったです。

この作品に登場するキャラクターのうち、男に関しては、目立つところでそれほど嫌なキャラいないんですよ。 館長代理や無抵抗者の会など微妙なキャラはいるけどそんなに目立たない。 敵方のメインである朝比奈さんや手塚兄などは容姿も良く、絡め手は使うけれど、志もありちゃんと戦略的に行動していると描かれる。

でも、女はすごい嫌なキャラクター、特に「嫌なモブ」が多く登場し、いやらしく描かれる。そして、それがしんざきさんが述べているように「便利だからそうしている」のがあまりにわかりやすい。

(1)友人の柴崎に嫉妬して嫌がらせのようなことをする女たち*1
(2)主人公の母親も相当イライラさせられる*2
(3)査問の際に主人公をハブるような動きをする図書館員たちの描写も不自然すぎるし*3
(4)水戸図書館の館長の須賀原*4
(5)極めつけは12巻に出てくる水戸図書館員たち。*5

なんというか、一度や二度ならともかく繰り返しやられると鼻についてしまうんですよね。なまじ主人公たちがやたらと大人に描かれるから対比として「さすおに」か「さすおに」なのか、と思ってしまうし、こんなに嫌な描かれ方をした人たちは、その場を乗り越えたあとも絶対イヤな人たちで、警戒を維持し続けなければいけないなはずなのに、問題が解決したあとはもはや物語には不要とばかりにおとなしくなってしまうんですよね。

有川さんってこんなに「問題・イベント発生→解決」の繰り返しばっかりやる人だったっけ・・・?



他に、「君に届け」でも、序盤3巻くらいは、クラスメイトたちの描写があまりに不自然で気持ち悪くてどうしても馴染めなかったです。この漫画は読み切りとか短期連載のつもりだったものが長期連載化したゆえの不自然さであることはわかっているので、10巻くらいまで読んでようやく違和感がおさまりましたがなかなか人間に見えなくて困った。

ちなみに「王様ゲーム」のように、精神分裂病とかそういうレベルじゃない一貫性のなさで数十分後にはさっき描かれたのと性格変わっとるやんけ!ってなるとそれはそれでギャグとして楽しめるのでワタシ的にはアリです。中途半端なのが困る。

これは些細な不満であって、「図書館戦争」自体はとてもおもしろかったです

とはいえ、こういった不満は全体の面白さからしたら細かい点であり、私は「図書館戦争」はエンタメとして非常に楽しめました。(ちなみに私は原作は未読なのですが、だいぶラブコメ色がマシマシになっているそうなので、原作既読の方にもオススメかもしれない)

図書館戦争 LOVE&WAR 12 (花とゆめCOMICS)

有川浩 白泉社 2013-09-05
売り上げランキング : 68479
by ヨメレバ

「女性の願望の形の一つ」として「パパ(保護者)であり王子様であり憧れの先輩」という属性てんこ盛りの男との恋愛模様を最初から最後までブレずに徹底的に描き切り、かつ主人公もとてもかわいかった。 それを支える仮想の設定も興味深く、まさに副題である「LOVE & WAR」という感じでした。フィクションってこのくらい願望にストレートでもいいと思うのです。 

そう言えば、数日前に「恋は雨上がりのように」という作品について「おっさんと女子高生が付き合っちゃうのはポリコレ的にNG」みたいなことで騒いでる方がいましたが、この作品にもそれっぽいカップルいるよね(幼馴染だけど)。私は椎名あゆみの「ベイビィLOVE」とか好きだったので、全然違和感感じなかったし、私はフィクションでそういう作品があっても全然いいと思うのですが、騒いでた人はこれもNGなのかな。 現実とフィクションをちゃんと区別したほうがいいと思うけど。

*1:柴崎の人間不信を描くためと主人公の格を挙げるために便利に使われてる感じがして可哀想

*2:ちゃんとフォローしてるけどそういう問題じゃねえだろと。当然共感との絆を深めるために便利に使われてる

*3:チームメンバー、特に柿崎との友情を強調するためなのはわかるけど、査問終了後あっさりもとに戻っているのがかなり気持ち悪い

*4:無抵抗者の会を呼び入れたりなど主人公たちの状況を悪くするために必要とは言え、あまりに無能すぎて震える。「Highshool of the Dead」っていう作品で似たようなやつ見たこと有るぞ

*5:長期間ヒエラルキー上位だったからといって、外部から来た人間に対して無警戒すぎるし、反撃を一切想定せず、証拠に残る形で攻撃してくるのは流石に頭が悪すぎる