この夜が明けるまであと百万の祈り

とあるマンガ好きの備忘録です。私が元気づけられた出来事や作品について少しでも共有できたら嬉しいです

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「この愛は、異端。」 とにかく漫画がめちゃくちゃ上手い

評価★★★★★(個人的評価★★★)
好きかどうかというとまだわからないけれど、「すごい」マンガだと思う。最近読んですごかった漫画を教えてって言われたらこれおすすめすると思う。(ただし、エロ要素が有るのでそういうのが苦手な人は注意)

昔からよくある「天涯孤独な子供が引き取られる」系の話だからこそ、他作品と比べても質が高いことがよくわかる

主人公の少女「よしの」は両親を事故でなくし、天涯孤独になった後、親戚をたらい回しにされるもひどい目にあい続ける。すっかり絶望していたところ、「悪魔ベリアル」との契約によって救われる。心の通わない見せかけながらも、安定した生活と家族を得るが、、、という感じのスタート。

ただ彼は私が望む通り兄か父を演じていたに過ぎない。「男」なのだと……私は理解した。私に見せた優しさも、まるで家族のように私に愛情を注ぐ素振りも、私の肉体と魂を手に入れるための虚構の演出。全ては作り物で、幻想。目の前の男は、対価を払い報酬を得る関係だけの悪魔…。人間の男ではないのだと、はっきりと再認識した。それでも私は、この悪魔が嫌いではない。あの悪魔以上に忌まわしい人間たちから救い出してくれたのは、まぎれもなくこの男なのだから。嫌いになどなれない。その行動のすべてが、虚構だとしても

類似作品は数多く有るけれど、だからこそ、この作品のレベルの高さがよくわかる。まだ話がそれほど進んでいないから個人的評価は★3だけど、1巻を読んだ時点で★5だろうなという感覚は有る。

★★★★★ チキタ★GUGU
★★★★ フルーツバスケット
★★★★ 家族計画
★★★ 魔法使いの嫁
★★★ 姉なるもの
少年メイド
うさぎドロップ
なし 幸色のワンルーム

悪魔のベリアルさんがなかなかいいキャラしてる

この手の話は、だいたい「助ける対価」と「家族愛」みたいなものが対比されてテーマになりがちだ。作者が「美しいものを描きたい」と考えているせいか、妙に寓話めいているというか、あんまり生々しい描写を避けるきらいがある。(つまらなさそうに書いてるけど私このテーマすごい好きです)

けれど、この作品の場合、ベリアルさんは光源氏なみのエロエロ悪魔であり、対価として彼女の身体をダイレクトに求めてくるなど、そういう欲望をむき出しにしており、さらに過剰なまでに「心」やら「愛」というものを否定しようとする。

「あなたは私が出会った人間の中でも、一番のお気に入り。私は死んでもあなたを手に入れる所存なのですよ。あなたの肉体も魂も、必ず手に入れます」
「肉体と、魂……だけ……心は、要らないんだ?」
「ええ、もちろん」

あなたは私に愛を求めているのですか?私にはもともと持ち合わせていないのですよ。愛などという感情は。あなたがお願いすれば、どのような愛のことばでも腐るほど吐いて差し上げましょう。ただしそこに心はありません。わかっていたことでしょう?

とにかくベリアルさんは目に見えるものしか信じようとしない。ベリアルさんは堕天使なので、天使の時代になんかあったらしいです。そんなわけで、どうしようもなく人でなし(※悪魔です)のベリアルさんの傍若無人ぶりが面白いのだけれど、一方で彼は悪魔だからこそ、契約以上の手出しは絶対にできない。「よしの」が受け入れない限りは絶対に目的を達成できない。だからひたすらお預けを喰らって生殺し状態になってるのすごい面白い。

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「ランスシリーズ」における「ランス」と「香姫」やら「セル・カーチゴルフ」あたりの関係を思い出してニヤニヤしてしまう。

いろいろ言い出したらキリがないけど、単純に「上手い」

この作品は「よしの」視点中心で語られるので、本当は「よしの」視点からいろいろ語りたいこともあるけど、もうそんなのいいからとにかく読んで欲しい。

とにかくこの作者さんはマンガがすごい上手いと思う。絵がすごく上手いのはもちろん、見せ方がすばらしい。
「よしの」にとっての「ベリアル」と、それ以外の人間にとっての「ベリアル」は全く別物だし、「ベリアル」からみた「よしの」とそれ以外の人間の視点を通して見る「よしの」は全く別に見える。こういう描写の積み重ねのおかげで、二人の特異性が際立って見える。説得力が高いのだ。

また、話の密度もすごく濃い。話の導入の巧みさもあり、物語が始まった時点で二人の関係性はしっかり積み重なっており、最初以外はあまり説明しすぎずに、絵の説得力で見せてくる。そのため日常の積み重ねみたいなダラダラした部分がなく、他の漫画だったら3巻くらいかかりそうな展開が1巻で収まっていて満足度がとても高い。


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こちらは未読だけれど、同作者の「モンテ・クリスト伯」も是非読みたいですね。

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