この夜が明けるまであと百万の祈り

とあるマンガ好きの備忘録です。私が元気づけられた出来事や作品について少しでも共有できたら嬉しいです

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「漫画貧乏」に書かれている出版社の著作権管理のずさんさについて

合法ストアによる海賊版コンテンツの販売|佐藤秀峰|note
が話題になっていますね。

佐藤さんは自分が出版社から漫画を出していたときに、出版社のずさんな著作権管理の被害にあっており、そのことを著書「漫画貧乏」という作品で描いています。

ブックマークコメントでは、版元は無断で使用されても把握や管理しきれないよ、とか、小さな出版社ではガバナンスきかないよとか、まるで大手出版社を擁護する意見も見られましたが、これを読む限りでは版元がむしろ作者に無断で他社に使用許可を出すことがよくあったようですよ?

それ以外にも、給料問題や資料管理など様々な面で、出版社の姿勢の問題をあげており、電子出版の問題というよりは、根本的な問題は出版社による作者軽視の体質である、というのが佐藤さんの意見ですね。


佐藤さんがこの問題について厳しく追求している理由が、この本を読めばよくわかります。佐藤さん自身もこの理不尽に苦しめられたから、他の人が同じような目にあっているのが許せないのでしょう。

「漫画貧乏」はなんとkindleだと無料です。 一応わかりやすいように表形式でまとめますが、漫画で読んだほうが臨場感があってよりわかりやすいと思うので、実際に読んでみることをお勧めします。


佐藤秀峰さんは、「海猿」の連載が始まるまでの間は下積み期間含めてかなり苦戦していたものの、「海猿」は新人作家とは思えぬほどの大ヒットを飛ばします。しかし、そこからがこの人と出版社との戦いの始まりでした。
時系列がわかりやすいように表形式でまとめておきます。

最初は小学館とモメる

1998年12月 ヤングサンデーにて海猿連載開始
1999年12月 小学館漫画賞ノミネート
2000年 2月 海猿の表現の一部が編集者の独断により削除、その後も度々変更される
作品の内容について、原稿提出後に無断変更が相次ぎ出版社と対立
2000年10月 海猿の連載終了を申し入れる。直後担当編集者が交代
新担当者の態度にブチ切れ
2001年6月 海猿連載終了
2002年7月 海猿ドラマ1期放送
2003年7月 海猿ドラマ2期放送
2004年6月 海猿映画公開
2005年2月 海猿ドラマ3期放送
2006年5月 海猿映画第二弾が公開

次は講談社とモメる

2002年2月 モーニングでブラックジャックによろしく連載開始
第一話からいきなり無断でセリフ変更
第2話、第3話も変更。第5話は人物の名前まで変更
第9話、無断で監修者の氏名がクレジットに
講談社が無断でマスメディア各社に作品の二次利用を許可
2002年12月 講談社から、小学館漫画賞ノミネートを辞退するよう指示
2003年2月 文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞
2003年4月 講談社漫画賞ノミネート辞退

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2003年6月 テレビドラマ放映開始
2003年6月 とある団体から抗議を受けるも監修者も編集部も責任を作者に丸投げ
医療監修者が交代
2004年2月 取材責任が編集部にあることを認めさせる

いったん落ち着くも、著作権管理がガバガバで不信感がピークに達する

2005年9月 編集部からわたされた資料が引用許可を取っていなかったことが判明。謝罪
2005年12月 とある団体からまた抗議される。
2006年1月 編集部が韓国の出版社へ作品の二次利用を無断で許可していたことが判明
2006年3月 編集部への不信がピークに達し、休載

講談社との原稿料アップの戦い

2004年10月 スタッフより賃上げ要求
編集部に原稿料UPを要求するも応じず。当時23000円
根拠を元にして27450円を要求するも。単行本の印税を理由に拒否
モーニング連載作家の原稿料平均額が31680円で有ることが判明
2004年10月 当時一番ヒットしていたにも関わらずの対応の悪さにブチ切れて連載休載
2004年12月 原稿料33000円へ上げることを条件に連載再開
2004年12月 連載再開時に必要経費を考慮し原稿料を設定する旨明文化し覚書を交わす
2005年2月 作画スタッフ解散、総入れ替え
2006年3月 編集部への不信がピークに達し、休載

出版社移転のための戦い

2006年4月 連載再開のため、自費で取材を開始
2006年6月 単行本1冊分のネームを作成。講談社との連載再開の交渉に入る
2006年7月 講談社との交渉決裂。掲載誌未定のまま原稿製作開始
2006年12月 ビッグコミックスピリッツと契約
2007年1月 新ブラックジャックによろしくの連載開始


佐藤さんからの一方的な視点で描かれているとはいえ、
事実に基づいた記述になっており、実際こんな感じなんだろうな・・・・・と私は感じました。



ちなみにこの出版社とのバトルの部分はあくまでおまけ。
この本のメインは彼が作った自分の出版社と取次の説明。
金額を含めてめちゃくちゃ具体的に書いてて面白い。

とにかく佐藤さんは、理不尽だと思ったことは一歩も譲らない。
そして、対抗するために一つ一つ丁寧に情報を集め、資料を作って請求する。
そして、必要だと思ったら自分でその仕組みを作って先頭に立ってそれを実践する。



なんというか、ナイチンゲールみたいなひとだなぁと思います。

先ず、陸軍軍医局を改革する必要がある。
女王に謁見したナイチンゲールは勅撰による陸軍の衛生委員会に関与し、クリミアの報告をまとめ始める。上流階級とのコネクションと圧倒的な世論の支持はあっても、軍官僚と議会の壁は厚い。官僚制の厚い壁を突破するには客観的な説得力が必要であった。そして統計こそ、ナイチンゲールの武器だった。

1000頁におよぶ覚書は、自費出版だったため多くの人の目には触れなかった。陸軍改革を目指したナイチンゲールは、上記の覚書から抜粋して、ファーの協力を得て2000部を印刷した。この抜粋版『イギリス陸軍の死亡率』は匿名での出版だったが、大きな反響を呼んだ。このなかでナイチンゲールは自分で開発したグラフを駆使し、統計データを表した。

この作品すごすぎて私の手に余るのでまだ紹介できてないけど絶対に読んで損はしないのでぜひ読んでみてください!