この夜が明けるまであと百万の祈り

とあるマンガ好きの備忘録です。私が元気づけられた出来事や作品について少しでも共有できたら嬉しいです

【スポンサーリンク】

「青野くんに触りたいから死にたい」 H×Hのアルカ編が好きな人は必読!

おすすめ度★★★(個人的評価★★★★)

人間と幽霊の一途な恋。だが、その恋は、他人を巻き添えにしていく。
君を悪霊にしたくない。ゆりの決断は?

はてなブックマークで何度か絶賛されてるのを見て、最初絵柄に抵抗あったけど読んでみたらとても面白かった。
確かに、他の人にもぜひ読んでもらいたいという気持ちになる作品です。

最初は人と幽霊のほんわかラブストーリーかと思いきや……

主人公の「ゆり」は、作品が始まった時点では無個性な女の子に見える。しかし、それはとんでもない勘違いだった。ゆりは勇気を出して青野くんに告白し、受け入れられて付き合うぞ・・・・・・と思ったらその青野くんは事故で死んでしまう。そうすると、このゆりちゃん、ためらわずに自分も青野くんを追って死のうとする。え、なにそれこわい・・・・・・。そう、ゆりちゃんは好きな人のために自分の100%をささげることができちゃうような、かなりぶっ飛んだ子だったのです。(「間宮さんといっしょ」にもそういうキャラ居たなぁ・・・)

この作品では、そのゆりのもとに、死んだ青野くんが幽霊として現れてゆりを止める。そして、触ることはできないけれど、青野くんとゆりは恋人として会話することができるようになるのです。

こういう導入の作品は結構ありますよね。この系統の作品としては「夢かもしんない」という作品がめちゃくちゃ好きですのでぜひ読んでみてほしいです。


青野くんは、自分の意思によらず「悪霊」のようになってしまう

ここまでで終わってたらいい話だなーなんだけれど、この作品はここからホラー要素が入ります。

青野くんは人ではない幽霊です。なんで青野くんだけはこの世界にとどまっていられて、しかも、なぜゆりにだけ見えるのか。たいていの作品はそのあたり考えずに「満足したら成仏する」「ほったらかしにしてたら悪霊になる」みたいな都合の良い設定になっていることが多いですが、この作品はこの部分にちゃんと理由がある。

この作品の場合、幽霊は人間とは違ったルールでできており、とある条件を満たすと、青野くんは人を傷つける恐ろしい悪霊になってしまう。

このあたりの「人と同じに見えるけど、人とは違う存在」「取り扱いを間違えると悲惨な結末をもたらす」「しかし明確なルールがあるし、それを理解すれば付き合えるはずという希望を与える」という存在についてはH×H編のアルカとナニカを思い出しますね。アルカの場合、さらに「能力」が合わさっていて複雑ですが。

f:id:tyoshiki:20180714130504j:plainf:id:tyoshiki:20180714130524j:plain
アルカは女の子

とにかく、このルールは絶対のもので、心が通じ合ってたらいいとかそういうものではない絶対的な壁になっている。

このルールが明らかになっていく過程がまず独特ですごく面白いです。詳しく語るともったいないのでぜひ読んでみてください。


「青野くんを悪霊化させないためのルール」はゆりにとっては非常に残酷

藤本くんが正しいと思うから絶対に藤本くんの手をとりたくない。
人を大事にするのはどうしてこんなに難しいのだろう

さて、ゆりは青野くんのためならためらいなく死ぬことができてしまうような女の子です。
青野くんに依存しているというか、青野くんが自分の全てといっても良い。
彼が喜ぶことなら何でもするし、むしろ自分の全てをささげることこそが彼女の本願。

しかし、この彼女の思いや行動こそが、「悪霊化のルール」にひっかかってしまう。

彼女は青野くんのことが好きで好きでしょうがない。もっと近づきたい。自分ならいくら傷ついてもいい、犠牲になってもいいから、青野くんと一緒にいたい。青野くんとひとつになりたい。傷だらけになりながら青野くんに迫ろうとする。

だけど、そうすると青野くんは悪霊化してしまってゆりや周りの人を傷つけてしまう。自分に自信が無いゆりはなかなか受け入れることができなかったのだけれど、青野くんだって、ゆりのことが大事だし、傷つけたくないのだ。だから、青野くんは、できるだけゆりから遠ざかろうとする。

この二人のお互いを大事に思いやるが故のすれ違いは、「人と幽霊の壁」がある限り、どちらかが自分の思いを捨てない限り絶対に乗り越えられない

ここが読んでて切ない。

一度はゆりが「人と幽霊の壁」を受け入れて立ち直ろうとするが・・・・・・(ネタバレ成分多いため注意)

いろいろあって、ゆりは自分の気持ちよりも、青野くんの気持ちを大事にしようと決める。
全てを青野くんにささげて何も無い自分でいるのではなく、ちゃんと一人の人間として自立しようとする。

f:id:possesioncdp:20180712050444j:plain
このあたりのシーン、とてもぐっと来る。



しかし、話はここで終わらない。たいていの作品はここで終わるが、ここから先があることが、この作品のすごみだと思う。
実は、すでにゆりと青野くんは、「月姫」の○○ルートにおける○○と○○のような関係になっている。ゆりが青野くんをあきらめて手放せば良いというではなかった。そういう意味では手遅れなのだ。

二人は、人と幽霊の壁にさえぎられながらも、思いを抑えてルールに従って付き合っていかなければいけない。しかも、そもそもゆりが「空っぽな人間になってしまった」元凶である存在が登場してくる。


ゆりと青野はいくつもの壁を乗り越えて、本来あるべき関係に立ち返れるか、それともやはり気持ちをおさえきれなくて、タイトルのような行為に及んでしまうのか。まだ連載途中だけど、目が離せない。


私には、いろんな要素がキルアとアルカの関係にかぶって見えて、本当にたまらないですが、他の方は二人の関係性がどんな風に見えるのか、わたし、気になります