頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

最近のこのブログのお気に入りは「アークナイツ」です
アークナイツ
kindleセールの紹介
新NISA解説ブログ
発達障害

「自民党の性的指向・性同一性(性自認)に関する考え方について」

www.jimin.jp
について、はてブでは自民党の対応を揶揄する人は多かったのですが、そこはどうでも良いです。それよりも肝心の実際に自民党の政策姿勢がどのようなものであるか、文書を読んで評価している人がいたので紹介しておきます。


自民党の「性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方」を読んでみる

A. 「考え方」に別紙でつけられた「性的指向性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すための政府への要望(案)」での個別の要望については必要な措置が多く、その点は評価できる。

B. しかし、「基本的な考え方」には、大きな問題があり、そのために「要望案」に制限がかかって幾つかの重要な点を回避しているように見える

この「基本的な考え方」におけるとりわけ大きな問題は、以下の点である。

1. 「社会の理解の推進」のみに特化しており、そのために必要であるはずの法的・制度的な変革を回避している。とりわけ、「基本的考え方」において「目指す方向」とされている「カムアウトする必要のない社会の実現」が「現行の法制度を尊重しつつ」との制限付きで語られていることは、この目標を実現しようとする意志がそもそも欠落しているとみなされても仕方がない

(中略)

2. 同様に、「カムアウトする必要のない社会」を実現するためには、「多様な性的指向性自認の人々に個別の特別な対応をする」にとどまるのではなく、特定の性的指向性自認を前提としない社会を作らなくてはならない。すなわち、行政、教育や医療制度における異性愛主義やシスジェンダリズム(出生時に法的・医学的に与えられた性別と性自認とが一致することを自明視する考え方)の廃絶を政策として掲げなければ、政党として「カムアウトする必要のない社会」を目指している、ということにはならない

(中略)

3. 「基本的な考え方」に、「差別禁止のみが先行すれば、かえって意図せぬ加害者が生じてしま」う、という文言が含まれているのは、SOGI(性的指向及び性自認)に基づくものに限らず、差別一般についての国際的な理解に逆行するものである。「差別」とは明確な差別的意図を持ったものだけを指すわけではない。「意図せぬ加害者」は「差別禁止の法規定」にかかわらず既に存在しており、多くの調査や国連勧告もこれを裏付けている。「加害者の意図の有無」の前に、まず、すでに存在する差別の被害者をなくすことを考えるべきだ。

この後に、「基本的な考え方」の個別の記述について詳細に評価をおこなっています。賛成するかどうかはおいておき、一度読んでみてはいかがでしょうか。

性的指向性自認に関する特命委員会」について

ちなみにこの資料を作成した「性的指向性自認に関する特命委員会」は、稲田朋美政務調査会長の指示により、古屋圭司議員を院長として設置されています

この古屋さんについては別途問題が発生しているようですが話がそれるのでリンクを張るだけにとどめます。
古屋圭司議員、パーティー券収入過少申告の疑い:朝日新聞デジタル
古屋圭司議員、パーティー収入の過少申告疑惑を否定 - 産経ニュース

さらにいうと、橋本岳さんも入ってますね。
「LGBT、政治家はどう思ってるの?」橋本岳・衆院議員に若者が聞いてみた #YoungVoice


杉田さんの新潮の記事は自民党の政策方針に反している箇所が多い

自民党の政策方針を読みましたが、自民党LGBTに関してなにか具体的な施策を行うことには消極的ですが、そのぶん「正しい理解を広めるべき」という姿勢は強いことはわかります。

そして国会議員にはその模範として「間違った知識に基づいて発言したり誤解を広げる発言をしないよう、まず自分たちが正しい知識を学ぶべき」ということを書いています。

f:id:tyoshiki:20180803154048j:plain

杉田さんもこの資料で勉強したはずです。ところが、杉田さんははっきりいってこの委員会の資料をコケにするような態度をとっています。

たとえば資料には

・「性的指向」は「嗜好」や「一過性の気まぐれ」とは違うこと
・現在でも深刻に悩んでいる人たちがいること
・歴史的経緯についても、歴史的に比較的寛容であったということは否定していないが、明治以降はそうではないこと
同性婚を認めると少子化が進むというような理屈を認めない立場であること

などを書いているのに、「I have black friends」論法や、自身の女学校時代の体験をもとにそれに反する話を書いている。

というか、杉田さんの新潮記事は、市井の人が書くならともかく、明らかに「体験至上主義」「経験主義」です。記事中で出てくるデータの扱いも青二才レベルでありきわめて質が低い。また、記事の前半と後半で意見がブレているなど大いに問題があり立法府に関わる人間としての能力を疑います。この記事を問題ないとか、そんなに的外れではないといってる人は、主義主張を是非を差し置いても、文章を読む力が低すぎるのではないかと思う。

コレに対して問題なしとするのであれば、自民党の政策方針はただの「ハリボテ」でしかない

単なる意見ではすまないというか、委員会の目的である「正しい理解を国民に広める」をコケにするようなことをした杉田さんだったわけですが。

この人たちが杉田さんの発言にどう反応したかは以下の記事に詳しいです。
杉田水脈のLGBTQヘイト発言への与党議員の反応まとめ
杉田水脈コラムについて、自民党「性的指向・性自認に関する特命委員会」全役員に質問状を送付するも… - wezzy|ウェジー

いや、「個人の意見」とか「この程度の問題」ではないと思うんですよね。杉田さんを処分するかどうかはともかくとして、「知識の間違い」や「前提の間違い」の部分はちゃんと訂正しなければいけないでしょう。それすらしないなら「適当な知識を広めても、個人の意見だからOK」になってしまう。

この状態で終わるのはちょっとまずいでしょう。


最初のステップですらまともにこなせない、こなそうとしない。そんな内部体制で大丈夫か?

というわけでまとめ。
私は冒頭のFacebook記事の評価は妥当だと思ってます。つまり自民党の政策方針の「正しい知識を広める」は、まったくもって不十分だと思ってます。ただ、それでもまぁ最初のステップとしてまずこれに取り組むというのであればそれはそれで意義がないとはいえない。まずこれをきちんと推進してくれるならそれはいいことです。

しかし、その堅実にこなすべき最初のステップですらまともにこなせない。統制をきかせられずうやむやにしてしまう。政策をコケにしてる議員でも安倍さんのお気に入りならおとがめなし。これは世間に「私たちはLGBT問題にまともに取り組んでいないか、推進する能力がありません」といってるようなものですし、他の政策についても同じようなことが怒りうるってことになります。 ガバナンスの機能不全を取り繕うともしないのはまずい。

朝日新聞とかリベラルのせいじゃなくて、自民党の内部コントロールの問題だってことをちゃんと理解してほしいなと思います。

蛇足 自民党は本音としては2012年から変わらず「杉田さんと同じ」のままで結局ボロが出ただけなのかなあ

rainbowflag.hatenablog.com

自民党は2012年衆議院選挙の時、レインボープライド愛媛「性的マイノリティに関するアンケート」で「性同一性障害者への施策は必要だが、同性愛者へは必要がない」と堂々と答えています。

その政党が「方針」として出しているのです。以後も自民党の「同性愛」に対する冷たいスタンスは変わっていません。

Q&Aを見てもこの認識は変わってないなと感じました。

最近問題になってきたから、表面的にはトランスジェンダー以外のLGBTに対しても対処していくよ、という姿勢を見せていたけれど、やはり本音の部分は変わっておらず、内部ではたぶん2012年と同じことを仲間内では言い合っていたのではないでしょうか。

そういう土壌があったから、杉田さんが「偉い人がいつも言ってるし平気だろ。朝日たたきだからほめてくれるはず」という甘い考えで暴走したという「見立て」はできると思います。 
なんせ、杉田さんは選挙で勝てる支持地盤を持たず、党をあちこちうつりながら、最終的に安倍さんに一本釣りされた存在です。安倍さんに飽きられて比例から外されたら終わりです。便利な鉄砲玉でもナンでもいいからポイントを稼ぎたい意識が強かったはずでしょう。

2012年12月、第46回衆議院議員総選挙で兵庫6区で日本維新の会より出馬し、自由民主党の当時新人の大串正樹共産党日本未来の党の新人候補と争い、自民の大串に小選挙区で敗れたものの、比例近畿ブロックで比例復活し初当選

2014年の日本維新の会分党に伴い、次世代の党結党に参加、国対副委員長と女性局長に就任。同年12月14日の第47回衆議院議員総選挙に兵庫6区から次世代の党公認で出馬し、前回の選挙でも戦い敗れた自民党の現職大串正樹民主党共産党の新人候補と争い、3位の共産党新人候補に次ぐ最下位で落選した。得票率は10.46%で、供託金没収基準である有効得票総数の10%を上回っていた。

2017年10月9日、第48回衆議院議員総選挙にあたって自民党比例代表の公認候補として、小選挙区には立候補せず比例のみで出馬比例中国ブロック17位で出馬し当選。11月2日、細田派に入会。

http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/2017/profile/YTPSREYC89001XXX076.html

正直言って杉田水脈さんの境遇って、全然うらやましくなくて、私だったら針のむしろだったと思うのですが。彼女くらいメンタル強かったら平気なのかなぁ。。。わからん。