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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「理想のヒモ生活」 タイトルはアレだけど丁寧な後宮のお話

前から人気は高かったけどタイトルで敬遠してました。実際に読んでみたら評判通りかなり面白かったです。是非女性の読者の感想が聞いてみたい作品。

この作品はなろう原作だけれど、なろうにありがちな俺TUEEEEであったり意識高めの作品ではない。この作品の主人公は特に能力などはなく、何の実質もないお飾りの王配として、女王の夫となることだけが求められるという、意識低めの設定になっています。

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何もしなくていいじゃない……何もしないでくれる婿がほしいんだ!
カーブァ王国は男中心の社会…王の配偶者となった者には極端な話女王に命令することすら可能な権力が生じてしまう。もしも貴族出身の婿が権力を握ったら、女王と婿の二重権力構造。最悪の場合、国が割れる!
そういう意味で実家の紐付きでない異世界出身の俺を召喚することに意味があったんだ!

もちろん形だけでも女王の配偶者になるため、国王としての振る舞いやマナーを身につけることを求められるけれど
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それほど頻繁に表に出る必要もなく、もっぱら自室に引きこもって気ままに過ごす生活を与えられる。そういう意味での「ヒモ」生活ですね。このあたり、ちゃんと郷に入りて郷に従う感じも「俺TUEEEE」とは間逆な感じがあって良いです。

女王の伴侶という微妙な立場の俺は、
好印象を残すより悪印象を残さないことが大事!
あったく印象に残らない程度がベストだ

他にも、魔法以外にも病や風習など、明らかに現代日本と違う理でこの世界が成り立っていることがわかるように描かれており、そのあたりも丁寧な作品だなと思います。


男性優位な価値観における女性の理想像と、それに囚われない主人公

この作品でちょっとおもしろいなと思ったのは、この異世界で理想とされる女性像の話。

この国は男性優位の社会構造をしており、その価値観においては「華奢な体格と温和な性格の女性」が理想とされている。この作品ではオクタビア夫人がその理想を体現した存在とされる。他にも、オクタビアと同様にこの世界の価値観では美人とされるファティマという女性も登場する。

一方、主人公を召喚した女王アウラは、その価値観においては評価されない。

あの女王アウラをそこまで愛することができる男がいようとは。君とは正反対で、女に生まれたことが惜しいくらいの女傑だ。とても魅力的とは言い難いぞ。もう一度聞くが、ゼンジロウ様は心底アウラ様に愛情を注いでいると?

でも、この世界の生まれではない主人公はそんなの関係なく、アウラをオクタビア以上に魅力的な存在と認識してる。こういう文化コードの違いなんかも面白い。

「物分りの良すぎる配偶者」に甘えすぎる問題

他にも「男性優位の社会の中で、主人公と女王アウラの関係だけが女性優位」という関係について、主人公は全く文句をいうこと無くひたすらアウラのことを受け入れていたのだけれど、一つだけ重大なわがままを言う。

このときにアウラが「受け入れてくれるのが当たり前」だと考えていたこと、つまり主人公に甘えすぎていたことに気づいて苛立つ展開が面白い。

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こんな感じで、ちょっと変わった夫婦関係とか価値観を持ってる夫婦が、いろんなトラブルに対して二人で力を合わせて乗り切っていくという夫婦のコミュニケーションものにもなっています。
そのうえで、我々の社会における男的な要素の大部分は女王側であり女性側が男である主人公なので、むしろ女性が読むと面白い作品なのかもしれない。


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