頭の上にミカンをのせる

「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「スロウハイツの神様」 私が大好きな作品が、同じく私が大好きな桂明日香さんによってコミカライズされてた

お勧め度★★★★★
原作の読者の方はもちろん、もし原作未読の方がいたらぜひこれきっかけに読んでみてほしいです!

アフィリエイトレポート見てたら「スロウハイツの神様」が出てきた。なつかしいなぁと思ってクリックしたらまさかのコミカライズ版だった! しかも私が好きな桂明日香さんじゃないですか。なんで今まで存在を知らなかったのか恥ずかしい! けどこれうれしいです。私が好きな作品を私のブログ経由で買ってくれた人が私の好きな作品を私に知らせてくれるっていうつながり、めちゃくちゃうれしいです。ブログやっててよかったってすごく思える。

スロウハイツの神様|Kiss -読むと恋をする- 講談社の女性漫画誌

人気作家、チヨダ・コーキの小説が原因となった殺人事件から10年。コーキは新進気鋭の若手脚本家・赤羽環がオーナーのシェアハウス「スロウハイツ」に入居していた。コミュニケーションが苦手なコーキだが、環のつくったスロウハイツという「家族」はとても気にいっていた。事件の後は筆を折りかけたが、今は再び小説家として活躍している。そのコーキを尊敬してやまない環。口は悪いが純粋な彼女を好きで集まっている入居者たち。環を中心に、ハイツのクリエイターやその卵たちはその生活を楽しんでいた。しかし、新しい入居者・加々美莉々亜がやってきて全てが変わる。彼女は公輝への愛情を隠そうともせず、公輝の部屋に入り浸る。スーと正義の間も上手くいかなくなり、さらに人気覆面作家・幹永舞がスロウハイツにいたことが判明し、ハイツはどんどんギクシャクしていく。そしてある日、環を激怒させるある出来事が起こり、平穏なスロウハイツは終わりを告げる――。

「スロウハイツ」の神様は私がめちゃくちゃ好きなタイプの物語です。

何かの表現を、世に送り出すということ、人に向けて言葉を紡ぐことについて作者の熱い思いを感じる作品であり、「ある人間の存在や、ある物語との出会いは、人を殺しうるけれどそれ以上に人を救い、人生を変えうる。(だから私は物語を紡ぐんだ)」という強いメッセージ性をもった作品です

「わが心のフラッシュマン」の最後に語られていたメッセージと同じで、なぜ人は言葉を紡ぐのかをこの上なく力強く語ってくれていると思う。


「少女不十分」コミック版の感想というか自分語り - 頭の上にミカンをのせる

世間で語られるお話は、どれもこれも僕たちみたいな人間には冷たくて正しくあれ、強くあれ、清らかであれ、まっとうであれ、と語り掛けてくる。しかし今のUには、そんな教訓じみた、説教じみた話はとてもできない。
だから僕は物語を作った。即興で。それは例えば…
(中略)
とりとめもなく、ほとんど共通点のないそれらの話だったが、でも根底に漂うテーマは一つだった。
道を外れたやつらでも、間違ってしまい、社会から脱落してしまったやつらでも、ちゃんと……いや、ちゃんとではないかもしれないけれど、そこそこ楽しく面白おかしく生きていくことができるんだ……だから聞いてくれ。君の人生はとっくにめちゃくちゃだけど、まぁ…なにも幸せになっちゃいけないほどじゃやないんだよ

そして、この作品は、「物語を作る人→読者」という一方的な関係性を描いた作品ではない。「読者→物語りを作る人」の働きかけも描いている。 物語が人知れず読者を救い、またその読者が作者を救う、その美しい関係性を描いている作品でもある。

ぶっちゃけ、何かしら作品を世に出したり、そこまでしなくてもブログを書いていて、自分がかいたことが他人に影響を与えたという経験がある人なら、ラストシーンは本当に涙が出ると思う。まだそういう経験がない人でも、「自分が描く言葉には、そういう力が宿りうるのだ」ってことを感じられると思う。

作者と読者が、顔を合わせることがなくても、作品を通じて真摯に向き合ったときにできる物語なんですよね。
tyoshiki.hatenadiary.com



あの「花やしきの住人たち」を描いた桂明日香さんがこの作品をコミカライズしているというのが感慨深い

私は桂明日香さんの作品「花やしきの住人たち」がめちゃくちゃ好きなんですね。


※3巻セット120円で読めるらしいのでぜひ読んでみてください!もちろんブックオフとかでも可。

tyoshiki.hatenadiary.com

瀬戸口廉也さんの傑作「CARNIVAL」のなりそこないみたいな物語で、未完成な作品だけれど、「世の中には救いきれないものがある。それでも生きていくしかない」ってのを真正面から描いてくれていたと私は感じたから。当時どん底だった私には本当にこの漫画を読んでとても救われる気持ちになった。

この作品、とある人物以外はみんな仲良しなんですよね。そんな中に一つだけ異常な人間が混じってる。そして、その異常さはほかの人には理解できないから「見えない」んですよね。それをそこそこ主人公だけが見つけ出してしまう。見つけ出しただけで、問題を解決なんてできないまま終わってしまうのだけれど、「見つけられる」というだけでも救われるってことがあると思うんですよね。

「アスペル・カノジョ」 作者と読者の殴り合いのような関係がすごい面白い - 頭の上にミカンをのせる

「横井さんのひどい境遇のマンガを読むと、自分みたいなのを知ってくれている人がいるんだなって安心する。どの本を、何を読んでも(私みたいなのは)いつも無視されていて、治せない私が悪いって言われてるみたいだった。」
「エッセイなんかで、もっと洗練されたリアルな実情を描いた作品もたくさんあると思うよ」
「そういうのは、あったことが書いてあるだけで面白くないです」
「こんな人間がこれからどうなっていくのかそんな未来をお話してくれるから、自分と重ねて考えられるんです。

でもこの作品に「スロウハイツの神様」みたいな何かがあれば、きっとこの物語の登場人物たちも幸せになることができたかもしれないとも思うんですよね。 それは作品に対する冒とくかもしれないけれど、やはり自分に通じる何かを持ってる人たちには、幸せになってもらいたいって気持ちもやっぱりあるんです。

桂明日香さんはこの後に「ハニカム!」とか「わくらばん」といった作品を描かれてたりして、救いがたいものはあるけれど出会いが人を救いうるってテーマに近づいてるかなーって思ってた。

そんな桂明日香さんが、人間関係が棘だらけで、同じ場所にいるのに全然思想が交わらないでいがみ合っているけれど、それでも最終的に一つの「救い」を描いてくれる「スロウハイツの神様」をコミカライズするってのはすごくぐっとくるものがあります。


ああもう、表紙見ただけでどの光景が浮かぶ……これは即買って読まねば。

スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

スロウハイツの神様(上) (講談社文庫)

スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)

スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)

  • 作者:辻村深月
  • 発売日: 2012/12/03
  • メディア: Kindle版