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「命令されなきゃ、憎むこともできないの?」(ブルーアーカイブ#3 エデン条約編3.私たちの物語)

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「ジョジョリオン」は三幕構成がしっかりしていて13巻から加速度的に面白くなってきているっッ!

お久しぶりにマンガの感想を。個人的事情で3月末まではほとんどマンガを読まないことにしているのですが、4月に入ったらまたマンガ感想を再開します。最近紹介していただいた「ホーキーベカコン」とか「銀色のジェンダーズ」って作品がすごく面白かったのではやく紹介したいです!

・等価交換には、正しい道が必要だ(15巻・東方ノリスケ)
・席が欲しいなら、順番を守って予約しろ(18巻・東方ノリスケ)

男次第で決まる女の人生なんてあたしはまっぴらごめんよ。自分で決めるわ。
でもあたしはね、あなたのためなら生きれるわ(16巻・花都)

自明の下では、見過ごされて良いことなど一つとしてないの。
大切で、意味があるのよ。自分のことだけを見つめていると、それは見えない。
大切なことがそのうち見えるといいわね (18巻・ホリィ)

ジョジョファンには申し訳ないけれど、個人的には13巻までは読んでもいまいちピンとこなかった。でも13巻でぐっと心をつかまれてからは、物語が加速度的に面白くなってきている。 私のように一度中断してしまった、という人もぜひもう一度チャレンジしてほしいです! あと、私はマンガのカラー版はあまりお勧めしないのだけれど、ジョジョリオンに関してのみはカラー版をかなりお勧めします!



三幕構成に忠実な構成でよく練られている作品

荒木飛呂彦さんは大の映画好きで、映画評の新書を執筆されているほどです。

そのためか、ジョジョの各シナリオも三幕構成に忠実な構成になっています。特に今アニメ放送中である「第五部」の完成度の高さは群を抜いて高い。

同様に、最初ピンとこなかったジョジョリオンのストーリーも三幕構成を意識すると実にメリハリがきいたストーリー展開になっているとわかってきました。
tyoshiki.hatenadiary.com

・メインプロットは「空条ジョセフミが、命の恩人にして母よりも大切な存在であるホリィさんを救うことができるか」となるか。
・前半のセントラルクエスチョンが「東方ジョウスケとは何者か」で
 後半は「自分の目的は他の人間に勝るか」というあたりになるでしょうか。

ナウシカ的な議論が最後に行われるかもしれず、そのあたりも期待が高まります。




第一幕は記憶のない主人公が「東方家」に引き取られて、杜王町でいろいろおかしな体験をする

・東方家のメンバーみんな癖がある。
サーバルちゃん的な存在として広瀬さんがいる。
・親しくはしてくれているが、謎を抱えている。
・東方ノリスケは、東方家にある呪い(必ず犠牲が出る)を解きたい?
・長男である常敏は、ノリスケとは違った思惑で動いているようだ(去っていく)



第二幕前半は14巻までは「奪われた過去を取り戻す」ためのお話。 <ダモさん襲来>がミッドポイントとなって過去が呼び起こされる。

・「岩人間」と「ロカカカの実」という荒唐無稽な話が出てきてとたんに話がややこしくなる
・この「ロカカカの実」をめぐる争いが重要なサブプロット
・過去の知り合いである「カレラ」という女が登場する。
・過去の因縁で、「夜露」「愛唱」「双子」と敵対するが撃退する。
・ダモさんに襲われ全滅の危機に陥るが辛くも勝利する。
・過去の記憶が一部語られ、東方ジョウスケの正体が明らかになる。

ずっと思い描いたことがあって、それはきっと俺の幸せのイメージだ。
ホリーさんの役に、少しでもたてることが、俺の重要な幸せのイメージだ。
もしフルーツがあるなら絶対に手に入れようと思った。ホリーさんのために。
本当に重要なことだったんだ。

子供の時、あの夏の日、とっくに俺は海で死んでいた。
海に行ったあの日から、最初からもともとどこにも俺は存在してなかったんだ。

だから生きるのは、俺のほうじゃあないな。
ホリーさんの子供、あんたのほうだ。
差し出すよ、等価交換というのなら。
喜んで、俺の身体と交換するよ。

そっちのほうがいい。そっちのほうが、幸せのイメージだ。今まで生きてこれたしな。

誰が見てもブチャラティとジョルノの関係を思い起こすであろうシーン。

ロカカカの実をめぐって過去に起きた悲劇と現在のジョウスケのつながりがようやく明らかになる。



第二幕後半にあたる15巻以降はガラッと目的が変わる。「ロカカカの実を再び手に入れ、ホリィを救う」という本来の目的に戻る(以下20巻までのネタバレを含みます)

①ミッドポイントからは主人公の危険度が急に上がる。主人公が敵対者と大きく衝突するため、このイベントはターニングポイントと同じ程度かそれ以上の転換シーンになる。ミッドポイントでは突然、主人公の目的や主張 (argument) を打ち砕く何かが起こり、ストーリーを正反対に方向転換させる

②主人公がミッドポイントで「見せかけの勝利」(a false victory) を収め、ここから危機が本格化していく

③ミッドポイントでは、主人公に新しい道標が与えられる。主人公がこれまで目指してきた試みは失敗したのであるから、新たにどこへ向かうべきかを知る必要がある。ここでは、登場人物が変化し始め、主人公がこれまでとは別の生き方を選んだり、新しい行動を開始したりする。

このルールに忠実にミッドポイントからは「主人公の危険度が急に上がる」が発生する。つまり、今までは主人公は自分のことを中心に考えておけばよかったが、「身内との対立」と「強敵との対決」が同時に発生する、と状況が変化する。


ジョジョリオンの場合、①②「タモさん」はただの小物だった。彼を倒しても過去からの呪縛から解放されたりはしない。ロカカカの実をめぐりその背後にいた巨大な組織と敵対することになる。 ③身内だと思っていた東方常敏が敵側の存在であることが明らかになる。さらに東方花都(52歳)が登場する。二人は、とある秘密で結ばれていた。また東方常敏は自分の息子を救うためにロカカカの実が必要。「ホリィを救いたい」というジョセフミとは対立状態になる。常敏は、過去のコンプレックスから組織に入り込まれ、家族のためと言いながら家族を窮地に追い込む(=重要なサブプロット)

人ってのは、何かを乗り越えようとしているときが幸福なんだ。
それは、恵まれて、大金持ちの家に生まれた長男でもそうなんだよ。
さらに上って進まなきゃあ、決して幸せにはならない。相対性さ。
生まれた地点がゼロ地点なんだからな。人は上っていかなきゃなあ。
このジョウスケには決して上らせない。

場所って不公平。絶対に平等なんてあり得ない。生まれる場所は選べない。
でも人は、その場所で幸せになるように登っていく。
常敏、これからあなたはこの場所で登っていき、そしてこいつはもともと底にいるやつってことなのよ。
このままこいつは地面の底に沈めてやる。

具体的には以下のような展開に。

・ハナレロ山に向かい植物鑑定人「豆ズク」と合流。過去に接ぎ木した「新ロカカカの枝」の特定ができることに。

・巨大な組織からの刺客に襲われるが(アーバンゲリラとドレミファソラティ・ド)辛くも撃退する。

・「新ロカカカの枝」を特定するために東方家の果樹園に戻ってくるが、そこには常敏と組織の刺客(プアー・トム)が罠を張っていた。しかしプアー・トム(グレイトフルデッドをさらに凶悪にした能力)は常敏を裏切りジョセフミもろとも東方家を無差別攻撃で皆殺しにしようとする。常敏チームとジョセフミチームはそれぞれ別個にプアートムと立ち向かう。表立ったジョセフミチームは「豆ズク」が瀕死になるも生存。常敏チーム側が「新ロカカカの枝」を手に入れる


20巻からがいよいよ第三幕。

・常敏の妻であるミツバもスタンド使いに(結局東方家はノリスケ以外全員スタンド持ち!

・ジョセフミが救おうと思っていたホリィは、実は〇〇〇〇〇だったことが判明する。(これは第三部を知ってる人間からするとやられた!って思いました)



現在の見どころ=「もう一人の主人公」である常敏がめちゃくちゃ格好良い

主人公のジョセフミの立場からしたら敵対関係にあるが、決してDIOのような悪ではない。「ライバル」である。

幼いころ母の献身によって救われ、病気から快復した常敏は、ホリィによって命を救われたジョセフミと対になる存在。

間違っているかもしれないが、子供や家族を守るために命がけで戦うし、勝利のためにギリギリまでリスクをとる覚悟がある。

ロカカカの実は一つしかないから最終的には奪い合いになるとしても、己を信じた道をまっすぐ進む姿が格好良い。

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この対立関係熱い……熱くない?

彼の存在によって主人公のジョセフミも輝く。

歴代ジョジョの主人公には「敵」も「友や同士」も「師匠」もいたけれど「ライバル」はいなかったように思います。(6部はありといえばありかな)

今後もしっかり活躍してほしいと期待していますが、21巻の予告を見る限り不穏な感じがw