この夜が明けるまであと百万の祈り

私が元気づけられた出来事や作品についてのメモ。最近TED聴き始めました

【スポンサーリンク】

ガッチャマンクラウズインサイト最終話  「自分の頭で考えよう」という呼びかけの怖さ

大変申し訳ありません。私散々このアニメについて「みんなのレベルを低く描きすぎている」と愚痴ってきましたが、まんまとやられました。



最終話、途中までは本当~~に気持ち悪いアニメだな、引くな!と思って見てました。

嫌悪感が最高潮になってたシーンがつばさちゃんのこれ。これほんとに胸糞悪いなって思って聞いてた。

「本当にそれでいいの?それがみんなの本当の気持?私も、一人になることが、みんなとおなじになることが、怖くて仕方なかったけど、そんなんじゃいつまでも変われないから、ちゃんとみんなで考えます。ちゃんと自分の足で立って、自分でしか見つけ出せない答えを見つけてください!」

これほんとひどい。はてな名物「自分の頭で考えよう」のアレ。

つばさちゃん、自分で考えてるつもりだけど考えてないじゃん。

ここまできても、やっぱりはじめちゃんの答えだけが正しいと思って、みんながその考えに近づいて欲しいと思ってる。本当にみんなが自分で考えてほしいって気持ちになってない。自分が思ってたのと違う考えを拒否しようとしてる。

そういう呼びかけの姿勢ってさ、一見正しいかもしれないが、実際には「みんな」を信じられないってことと一緒なんだってば。自覚ないかもしれないけれどコレ状態になってるから。

f:id:tyoshiki:20150928002620j:plain
(ttp://orangestar.hatenadiary.jp/entry/2015/04/11/080000より引用)



もちろんこのシーンでのツバサの心情としては理解できる。11話通してずっと空気に流される愚かな群衆を描いてきて、ほかならぬツバサちゃん自身もその愚かな群衆だったっていう後悔を強く持っている。自分たちの愚かさのせいではじめちゃんがここまで傷つくことになったことに強い自責の念を感じている。だからこそみんなに対しても言わずにはおれなかったんだと言うのはわかる。はじめちゃんの気持がなんとしても受け入れられてほしいと願ってしまうのはわかる。大事な事なので繰り返すけど、ツバサちゃんの心情としてはわかる。わかるけどダメだろって言ってます。

ツバサよ、お前は今まで何を見て考えてきたんだ。今お前が新たな空気を作ろうとしてんじゃねーか、ってツッコミたかった。 「まるで成長していない」とまでは言わんけど、このシーンでそれ言っちゃうか―、と。



で、問題はこれがつばさちゃんだけの姿勢なのか、作品全体もこれを肯定するのかってこと。それがこの時点まで本当にわからなくてやきもきさせられた。


この作品は、本当にはじめちゃん以外の人間は考えない存在として描かれている。鈴木理詰夢も、一見考えてるようで固定したイデオロギーにしがみついてただ群衆を冷笑しながら諦めているだけ。そこから何をしよう、というものを示してこなかった。(twitterで鈴木理詰夢のセリフを引用してるドヤ顔してうる人はそこまでわかって引用してますかね?) だから、もしかして作品としても「はじめちゃんの意見がそのまま作品の意見になっちゃうのか?」という危惧があった。この危惧については前回書いたとおり。

ガッチャマンクラウズ11話 「結局この作品は一ノ瀬はじめなのか」「仕方ないッス」 - この夜が明けるまであと百万の祈り


だから、もしこのままつばさちゃんの叫びが受け入れられてしまうような展開になってしまったら、「はじめちゃんの意見」をみんなが求めるような描写があったら、このアニメはクソだなって言わざるをえないところだった。それだと、このアニメは単に制作陣の答え有りき。誘導したい答えがあって、それを押し付けようとする流れ。アニメにのっかって民主党やらSEALDs叩いて喜びたいだけの馬鹿だけが得するようなつまらないアニメになってしまったってことだから。

はじめちゃんがそういうのを全力で避けてきた描写が合ったから製作者はちゃんとわかってる。大丈夫だろうとは思いつつ、もしかしてはじめちゃん抜きだとそういう嫌な展開になってしまうのかなってちょっとビクビクしてた。



でもよかった。そんなことはなかった。それはさすがに「みんな」を馬鹿にしすぎてた。信じられなさすぎだった。
ほかならぬ私が、鈴木理詰夢やツバサちゃんと同じ状態に陥りかけてた。

馬鹿は私でした。



というわけで、その後の展開は自分としては十分納得行くものでした。
とりあえず自分がいちばんヤバイと思ってたところはきっちり貫かれていたので安心しました。







やたらあっさり終わってふんわりしたメッセージが提示されたのみなので物足りない感はある。非常に楽天的な展開ではあるが、一方で、鈴木理詰夢は論破したり逮捕したりしたわけでなく今回の件では一旦引いただけでいつでも復活しうるという不安も残してある。(ただ、本当に鈴木理詰夢の使い方は微妙だった。このキャラに下手に代替案を出させると、それをうまく崩すことは難しかったということだろう)

個人的な意見としては、結局1期と同じでクラウズの全面解放には反対のままだし、「一人ひとりで考えよう」は無理だと思っている。賛成したく成るような何かは提示してもらえなかった。ただ楽観的になんとかなるさ、みんなや未来を信頼しようという「テイルズシリーズ」のようなぶん投げ感が漂っている。そんな簡単な話ではないのに。ただ、この作品は反対する私の意見も許容している。1期から通底する「信頼」という言葉はしっかり守った感じだ。作品としては「話はここまで。この後どうしていくかは反対にせよ賛成にせよ自分たちで考えてね」ということだろう。不親切かもしれないが、この不親切さは作品から視聴者への信頼であると受け止めて自分たちで補完していきましょう。投げっぱなしと受け取るか、Airのように余韻を楽しむ作品ととらえるかは個人次第ですね。




……とりあえず、本当にツバサちゃんの成長しないっぷりにヤキモキさせられる作品でした。最後まで行ってもダメダメな子のまんまでしたが、これからの成長にゆっくり期待、という感じですかね。残念ながらはじめちゃんとツバサをはじめとする他の人間との乖離は十分に埋まったとは言えないけれど、それはこれから時間をかけて埋めていくってことでしょう。でも、作品からしてみたらこのイライラさせられるダメな子こそが、私ってことになるんスかね―。だとしたら私自身、もっとよく考えないとねー……というところで終了。お疲れ様でした。